2023/5/30 西に日が沈むのを見た

今日は7時に起きた。早起きだ。

今日は焚火をしにいくぞと思って朝を迎えた。
あまり人には言わない趣味として焚火がある。私は炎が大好きで常に火を見ていたい人間だ。でも人にはあまり言わないできた。

理由はいろいろあるが、なんといっても昨今のキャンプブームで、いわゆる「にわか」と思われるのが嫌だからだ。

本当に好きなら、にわかと呼ばれないような高等テクニックなどを見せつけて敵を黙らせればいいだろうという声が聞こえる。しかし、私は高等テクニックを身に着けるほどにこだわりを持っていない。
キャンプ好き、焚火好きの人なら、マグネシウム棒を削って火をつけるファイアスターターなんかを使って火をつけるだろうが、それは面倒なのでやらない。木と木をこすりつけて着火する原始的なやり方も見せつければ、焚火マニアとして一目置かれることだろう。

私はそんな面倒なことはしたくない。卓上コンロで使われるカセットガスを使うガスバーナーで着火する。イメージがわかない人は、お寿司屋さんで炙りサーモンを作るときに浸かっているゴーゥと音を立てながら炙るあれと言えばわかりやすいだろうか。

私は火が上がっているのを見るのが好きなのであって、着火はめんどうなのだ。よってはたから見れば、ハイパーにわかな着火方法をやる。

次の世間からのお便り。本当に焚火が好きなら、誰からにわかだと思われようとやればいいんじゃないでしょうか。

なるほど確かにそうだ。論破されました。申し訳ない。

さらにお便りが届いている。
焚火をやるなんてお金持ちの遊びですよね。そんなお金があるなら恵まれない子供たちに寄付するべきではないでしょうか。

これについては、近年のキャンプ・焚火ブームの悪い影響であると思う。本来、焚火はハイパー貧乏な私にもできる安い遊びである。それが各種雑誌やテレビ、アウトドアグッズショップによって高価、高品質でないと楽しめないぞというプロパガンダが横行し、お金がかかる遊びだと思われている。

私は焚火をするときは飯能河原という無料で使わせていただける場所に行っている。飯能までは電車で片道600円くらいで行ける。薪やなんかは川の周辺に落ちている木や葉を使えば無料である。
焚火台もネットで1000円で買ったものを使っている。お金がかからない遊びなのである。


話を日記に戻す。支度をして8:30頃に飯能に向かって出発する。
ちょうどサラリーマン&ウォメンの皆さんが会社に向かう時間だ。私は巨大なリュックを背負ってその人の流れにお邪魔する。
みんな朝から仕事に向かっていてえらい!

池袋駅から西武池袋線に乗り換えて、飯能駅を目指す。電車は誰も乗っていない。多少は乗っているけども、もう気の抜けた人ばかり乗っている。
おにぎりをモリモリ食べている人や、ジャージ上下にぼさぼさの髪でどこからどこに向かっているんだといった人、すでに深い眠りについている人。
今頃、山手線の内側ではパリッとしたスーツに身を包み、日本の不景気に立ち向かっている人々がいる。どろにまみれ、汗にまみれながら高層ビルを作る人々がいる。みんなが日本を良くしていこうとしている中、この電車に乗る我々は何も良くしていこうと思っていないのだ。少なくとも私は落ちている木の枝を燃やすために電車に乗っている。

この西武池袋線、飯能行き電車はなんのために走っているのか不思議だった。

10時前に飯能駅に到着する。まずは駅前のスーパーで食べ物飲み物を購入し、約1㎞離れたところにある飯能河原へ向かう。

昨日まで雨が降っており、今日も雨が降るかもしれないという天気予報であったため人が誰もいない。そして天気はどんどん晴れていった。最高の焚火日和だ。

この後は特筆することはない。ただただ、日が沈むまで木を足して燃やして火を絶えないようにするだけの時間だった。
火が消えそうだから木を足さないと、これくらいのストレスが生き物としての人間にはちょうどいいのだと思う。世の中はストレスが多すぎる。

帰ることにした。片付けをしていると、パーティ系のギャル二人組が河原にやってきた。川を背に、飲み物を高く掲げたりしながら写真を撮っていた。
インスタ映えというものを狙っているのだろう。良いことだ。

彼女らは、写真を撮るために1.5人分くらいの幅しかない橋のところで写真をたくさん撮っていた。片付けのために、私が橋に近づくとちゃんと道を譲ってくれた。ちゃんとしたギャルだなと感心した。
ギャルの話声が聞こえる。

まじさいこーなんですけど。ちょーえもい景色。泣きそうなんだけど。

ああ、これはいいギャルだな。自然の景色に心動かされる感性をもっているギャルだ。ギャルと言う生き物は、原宿の虹色綿あめくらいでしか感動できない生き物だと思っていた。

水が流れ、鳥がさえずり、夕日が沈むのを見て心動かされるギャルもいるんだな。私は偏見の目でギャルを見てきてしまったようだ。今日も反省である。

帰りの電車は疲れた学生と仕事人で混雑していた。みんなお疲れさまでした。ゆっくり休んでほしい。

今日面白いと思ったことは「ギャルも一枚岩ではない」

こんなつらい人生。ここに空き缶を置いておきます。