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佐藤一斎「言志四録」を読む

「最強の人生指南書・佐藤一斎言志四録を読む」斎藤孝・著祥伝社新書2010年6月発行

著者は1960年生まれ、明治大学教授。専門は教育学、コミュニケーション論で多くの著書を持つ。

「言志四録」は佐藤一斎が42歳~82歳までの40年間の語録をまとめたもの。言志録・言志後録・言志晩録・言志耋録の四書からなり、全体で1133条となる書籍。本書はここから100条を選び、解説する。

佐藤一斎は60歳で昌平坂学問所のトップとなる。儒学、朱子学、陽明学から荘老思想の流れの道教も修めた儒学の第一人者である。

弟子に佐久間象山、横井小楠らがいた。象山を経由して、吉田松陰、勝海舟にも影響を与えた。西郷隆盛は不遇時代、言志四録より101条を抜き出し、「手抄言志録」として肌身離さず持ち歩いた。

「一燈を提げて暗夜を行く。暗夜を憂うることなかれ、ただ一燈を頼め」の有名な言葉がある。一つのことを信じて、立ち向かえば必ず成功すると言う。

「少にして学べば、則ち壮にして為すことあり。壮にして学べば、則ち老いて衰えず。老いて学べば、則ち死して朽ちず」とある。人生は学びの時期を問わない。老いて学べば、社会貢献でき、名の朽ちることはないと死ぬまで学べと言う。

「聡明にして重厚、威厳にして謙沖。人の上たる者、まさにかくの如くなるべし」とリーダーのあり方を語る。「謙沖」とは、謙虚にヘリ下り、しかもわだかまりがないことである。なかなか難しいが目指すべきことだろう。

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