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生活の建築知識.81

おはようございます。

前回の続きとなります。

今回はキッチン扉の面材について説明していきます。
一昔前の話ですが、今でもよく使われるMDFと言われる木材チップを固めて成形したパネルに仕上げ材を施して面材とすることが多くありました。
仕上げ方にもよりますが、特にポリ板などの貼り物で仕上げた際に隙間からMDFに水が入ってしまうと膨張して仕上げもろともグズグズになってしまうことがよくありました。
MDF自体は強度や使いやすさもあり良い材料ではありますが、水廻りには全く適していないと言えます。
今でも水廻りで同様に利用しているものがあれば、いかがなものかと思います。
一方、塗装などで隙間なくコーティングされていればすぐにそのような状況にはなりません。
もちろん損傷箇所から水が回れば同じようなことになります。

キッチンの扉は直接水がかかる場所ではありませんが、一般的な収納扉と比べたらかなり濡れる可能性が高い箇所となります。
ですので、水に対しての耐久性はあるものとした方が長く使うためにも有利になります。
安価なグレードではよくポリ板を利用し、少しグレードをあげればメラミン板が利用されます。
メラミン板は耐水性があり、なおかつR加工や角もジョイントではなく一体として隙間ない仕上げが可能です。
さらにグレードを上げると塗装仕上げとなります。
建築の現場でよく行われるような塗装ではなく、工場で何層にも吹き付けて行われる塗装のため、耐久性や仕上がりはかなり高い水準のものとなります。

特殊な例とはなりますが、ステンレスでパネル材を巻くことで仕上げとする場合や無垢の木材(ウレタン塗装仕上げ)を利用した扉とすることもあります。

水への耐久性とそれに対する仕上げの話をしましたが、キッチンの面材は天板と合わせてキッチンの意匠そのものとなります。
見た目で言ったらキッチンの良さを左右する部分であるため、やはり見た目にも配慮すること良いでしょう。
さらに見た目に関わることで、面材と同様に重要なのが扉に付属する金物類です。
開き戸でも引き出しでも手掛けを設けることとなりますが、その機能をする引手金物やつまみ金物でも印象は結構変わるものです。
多く利用されていますが、アルミの手掛け金物を扉上部に設置するタイプがあります。
アルミは軽量で耐水性もあることから機能的には優秀と言えますが、アルミ素地のままですと存在感が強いことや、どうしても面材と色合いが合いにくい印象があります。
ステンレス製の引手やつまみなどを利用すると、ポイントとして利用でき、艶感から高級感も出てきて色合いも違和感がなくなってきます。
さらに塗装面材であれば、同系色の引手などを選定することで存在感を弱めることも出来ます。

そもそも金物を付けることに抵抗があるという方もいらっしゃるので、その時は扉の上部を加工して手がかかりやすい形状としたり、プッシュラッチと言われる押すと扉が反発して開いてくれる機構も有効です。
お行儀は悪いかもしれませんが、手が濡れていることを考えて膝などで扉を開閉することは意外と便利だと思います。

キッチンの面材を考えるだけでも、仕上げ・使い方・金物と決めていかなければいけませんが、さらに収納機能やレイアウトまで考慮するのはそれなりに大変なことでしょう。
時間はかかるかもしれませんが、ご検討の際に参考にして頂ければと思います。

では、また。

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