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生活の建築知識.33

おはようございます。

日本は衛生設備が飛び抜けて発達しており、文化的な側面も相まってどこに行っても水廻りが綺麗ですよね。
これは私だけではなく、多くの方が感じることではないでしょうか。
日本は経済成長をしておらず、少子高齢化が早く進んでいることなど負の側面をよくニュースで取り上げられますが、一方でこれだけの衛生大国であることは非常に誇らしくも感じています。
その衛生設備を考えるときにまず思いつく企業があります。
それがTOTOとINAX(現LIXIL)です。
どちらも衛生設備における代表的な企業であり、今日の綺麗な水廻りを作り上げてきた功労者であることは間違いありません。
今回はその2社について簡単ではありますが、解説をしていきます。

この2社は現在、陶磁器の売上において一位二位を争うライバル企業でありながら、その始まりには非常に密接な関係があります。
TOTOの始まりはある陶器会社の研究部門でした。
ある会社とは日本陶器合名会社(愛知県名古屋市:1904年創業)というところで、初代社長は大倉和親です。
この人物はのちに再登場しますので覚えておいてください。
そして日本陶器合名会社は、現ノリタケカンパニーリミテドとなっており、食器などに詳しい方ならご存知だと思いますが、あのノリタケです。
同会社が海外で普及していた生活様式に触発され、独自に研究開発をし製品化をしていきました。
その需要が拡大していき、生産と運輸の利便性から拠点を北九州に移転すると同時に東洋陶器株式会社(福岡県小倉市:1917年創業)が設立されました。
その後、東陶機器株式会社への社名変更を経てTOTOとなりました。

一方のINAXは伊奈初之烝による個人経営の伊奈製作所(愛知県常滑市:1900年付近で不明)が始まりとなります。
元々は常滑焼の窯元であった家柄ですが、陶芸に進まず工業製品を作り始めます。
現在でも業界では有名ですが、この頃からタイル製作も始めており、大型の物件(有名なところではフランク・ロイド・ライト設計の帝国ホテル)にも納品しているそうです。
その後も多くの工業製品の開発に尽力し、長男の伊奈長三郎が経営を継ぐこととなります。
そこで当時すでに陶磁器業界で重鎮となっていた大倉和親の援助を受けて、伊奈製陶株式会社(1924年)を設立しました。
援助と書きましたが、初代社長は大倉和親です。
のちに、INAXを経て現LIXILとなります。

ここでわかるように、どちらの会社も初代社長が同一人物だったんですね。
TOTOに関しては起業でありINAXに関しては援助ですが、なぜこのようにアグレッシブに展開出来たかというと、背後に森村財閥という存在があったからでしょう。
6代目当主森村市左衛門の義弟になるのが、その財閥の中核を担うノリタケをはじめとした複数の有名企業を生み出した大倉和親だったのです。
話の最初の方で、陶磁器の売上に関して触れましたが、実は1位から5位までの企業は全て森村グループに関連している企業です。
唯一2位のINAXだけは、現在森村グループではありません。
その辺の経緯に関しては詳しくありませんが、とにかく今の衛生設備環境の礎はここから築かれたわけですね。

今回はここまでとします。
また機会があれば3.4.5位の売上である企業も解説してみたいと思います。

では、また。

見出し画像 大倉和親
大倉和親記念財団 引用

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