休業の前夜

昨日は臨時休業前の最後の営業日だった。


お盆や年末年始、どんな強烈な台風の時も、必ずといっていいほど、定休日の月曜しか休まず店を開けてきた。


それは今までは数日間、店を休めるような経営的なゆとりがなかったこともあるけど、何よりお店を開けていることが楽しく、毎日顔を会わすような常連でさえ、会うのがいつだって新鮮に感じるからだ


そんな自分は、(周りから批判されようが)コロナが猛威を奮っているのご時世でも営業していくつもりだったが、一昨日に三重県でも休業補償があることが確定したので、休業を決めた。(条件としては、4月22日~5月6日の休業に応じること)


常連さんのライングループがあるらしいので、ライングループをまとめてくれている方に一昨日、休業する可能性があることを伝えて、みんなに拡散してもらって、SNSでも休業を発信した。


昨日は新規はもちろん来なかったけど、常連さんが集い、回数券で遊ぶ人もまとめ買いをしてくださったり、物販で貢献しに来てくださり、コロナ前のように賑やかな店内になった。


まあ2週間という短い期間ということもあるけど、誰も休業を前にして悲観的になる様子はなく、ただただ登れる【昨日という日】を楽しみ、休業期間をどうしていくかを肴として、楽しく酔ったようなテンションでクライミングをしていた。まるで、何かのイベントのようだった。


イベントといえば、4月17日は、旧店舗の周年だったし、結婚記念日だったけど、こんな慌ただしい日々で全くもって忘れていたな。どちらも何にもしてないや。

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一年前の4月30日に起こった全焼火災のおかげで、僕自身はもちろん、お客さんをも強くしてくれた。それはクライマーとして、人としても。



クライマー的な【強さ】でいうと半年というホームレスクライマーがあったのに、お客さんのほとんどが火災前より強くなって、中堅層のだいたいが『あめご』を登って初段がベースとしてあって、今年は2段を数名登ったうえに、何人も続いていきそうな雰囲気。T君は『キングジョー(3段)』のリップにダブルダイノしたら、後ろの木に足が当たったらしい。


それと人としての【強さ】。発言の節々に、ホームジムがあることや、岩場に行けることの有難みを感じる事があって(みんな気づいていないだろうけど)、そんな感謝の気持ちを自然に持てるということも、火災という究極の不幸がなければ、持てないことだと思う。


美しい格言などを言葉で理解するのは簡単だけど、心で理解するのは、何かキッカケがないと無理なことだと思うから、それが僕たちにとっては、火災だということだ。休業を前にネガティブな事を発している人は誰もいなかった。


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コロナの影響で、4月の売り上げは2月と比べてたら半分以下で、数十万の赤字だ。僕の貯金なんて、火災ですべてを無くして、あるわけもないから、公庫に4月の赤字額×12ヶ月(コロナが一年続くと過程して)の借り入れの申請をしている。


しかしながら、強がりでもなんでもなく、コロナショックの感覚的な辛さは、火災と比べてら100分の1以下の出来事だ。


乗り越えるのは100%あって、なんならバンブーが未来永劫続くと過程して、そこから逆算して、色々と施策や生き方を考えている部分もある。


苦難を受け取れたのは自分の特権だと思っていたのに、コロナという苦難を平等に与えられた事は、僕にとっては脅威である。コロナを乗り越えたクライミングジムは、恐らくずっと繁栄するだろうから、業界はもっと盛り上がっていくかもしれない。







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