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【オリジナル小説】俺の名は。 2話

1話はこちら


以下本編


次の日、鳴り響くインターホンで俺は目を覚ました。

眠い体を叩き起こして玄関を開けるとそこにはスーツ姿の男性が立っていた。
「あの〜新聞なら間に合ってます」そう言ってドアを閉めようとした時

「拓郎さん、何寝ぼけてるんですか!!私ですよ!マネージャーの里中です。」
あっそうか。そういえば俺ヨシタクになったんだった。

やっぱ夢じゃなかった。

俺は「あ〜お前か〜!」と寝ぼけていたフリをして里中を家に入れた。

「早くしてください!撮影が始まりますよ!着替えてすぐ向かわないと間に合いません!」

そうえば、ヨシタクは今ドラマに出演してるんだったな。
全部撮り終わってから放送かと思っていたけどそうでもないのか。

どうやらドラマは全部撮り終わらないまま、放送が開始され
視聴率に応じて多く登場させる俳優や女優を変えたり
逆に視聴率が悪いと予算を削減して簡単な撮影に切り替えたりと
放送の結果を見ながら撮影を進めていくらしい。

俺はとりあえず着替えて車に乗り込んだ。

寝ながら到着を待つか〜とのんきに考えていたが、よくよく考えると
俺は演技なんてしたことないし、セリフも分からない。
すぐに里中に台本を見せてくれとお願いした。
「拓郎さん、台本はいつも撮影の前に全部完璧に覚えてるから必要ないって言ったじゃないですか。」と。
ただ、念の為持っていた台本を渡してくれた。

内容を見て驚いた。
「まじかよ。。セリフの数が尋常じゃねぇ。こんなのあと数十分で覚えられねぇよ。
唯一知っている情報は、入れ替わる前に見た予告編での情報くらいだ。」

そんなことを考えている間に現場に着いた。

「吉岡さん、おはようございま〜す」そう話してきたのはめるだった。
なんかすごく他人行儀な感じだな、、と思いながらも
「昨日はごめんな」と話しかけたら思いっきり足を踏まれた。

なにすんだっと怒りそうだったが
めるの表情を見て気づいた。

そうか、俺とめるが付き合っていることはこの現場にいる人すら誰もしらないのか。
隠れて付き合ってるわけだ。

芸能人は大変だなぁと改めて感じたが、こんな経験初めてなので何か楽しくなってきた。

ただ、そんな楽しい状況も一瞬で終わる。
すぐに撮影が始まった。

「吉岡さん、お願いしま〜す」という掛け声で俺は結局何を覚えられないままスタジオに入った。

スタートがかかる。

俺はどうにでもなれとしゃべりだそうとした。
すると体が勝手に動き出す。
そしてさっきまで頭に全く無かったセリフがどんどん口に出る。

撮影は無事に終了した。

どうやら、本職の仕事は本物のヨシタクの記憶が呼び起こされるらしい。
とりあえず助かった。

ひといきついてコーヒーを飲んでいると
めるがやってきた。
「お疲れ様。どうしたの?昨日から何か変だよ?コーヒーなんていつも飲まないのに」

そうか、だからコーヒー飲んでも美味しく感じないんだ。
ある程度の部分はヨシタク本人の感覚が生きているらしい。

しかし、このままヨシタクを演じていてもめるにはすぐにバレる。
俺たちが付き合っていることをどこにも口外していないめるなら信用してくれるかも。

そう思って俺は本当のことを告げることにした。
「実は俺・・・」
その瞬間また前進を電流が走った。
忘れていたこのスマートウォッチの存在。


昨日寝る時外そうとしたのだが、どうもこれが取れないようになっている。
恐らく本物のヨシタクも苦しんでるだろう。

俺は結局、めるには何も言えなかった。

撮影も終わったので今日はこのまま帰ることにした。
買い物に行きたかったので里中にはこのまま歩いて帰ると告げた。

とりあえず、撮影の場所が俺が入れ替わる前に住んでいた場所の近くだったため
家の近くまで行ってみることにした。

仮に電流が流れても、まだスマートウォッチの禁止行為回数が0になるまでには余裕がある。
昨日、めるとキスできたように意外と抜け道もある。

そんな事を考えながら歩いているといつの間にか
俺の周りは人が溢れていた。

皆がスマホを向けている。
「なんだなんだ、人を有名人扱いして。」

そこで俺はまたハッとした。
俺はヨシタクなのに、マスクも帽子もサングラスも何もせずに出てきてしまっていたのだ。
「握手してください!」「ドラマ見てます!」と若い女の子がどんどん寄ってくる。
面倒くさいと思ったが、可愛い女の子と握手もできるし
ちやほやされるのも意外と悪くないなと思い握手やサインに応じた。

すると、「あのヨシタクがサイン書いてる!初めて見た!すごい!」とさらに人が集まる。
昔、芸能ニュースを見ていた時に、ヨシタクはファンサービスが悪いと言っていたのを思い出した。


ヨシタクの好感度でも上げてやるかとサインを書いていると
周りにはもっとすごい数千人の人だかりができており
パニック状態になっていた。

いくら書いても書いてもファンの列は終わらない。
終わりまーすと言って立ち去ろうとするも身動きが取れない。

「あんただけサインもらってずるい!」「ふざけるな」とファン同士であちらこちらで
喧嘩が始まっている。

こりゃ、ファンサービスなんてやってられませんわ。俺はそう思った。

警察が来てくれて俺は何とか逃げることができた。

そして、家が目から見える距離に見えた時
いつもの電流が走った。

やっぱりここまでか。と思い帰ろうとしたその時
家の側に人影が見えた。目を凝らしてみるとあれは嫁と子供だった。

とりあえず無事でいてくれたことにホッとした。

眺めているとさっきまで大丈夫だったはずの場所にいるのにまた電流が流れた。
離れても離れても電流は収まらない。

とにかく走って何とか電流から開放された。

多分、推測するに俺の姿をしているヨシタクが家に向かって歩いてきてたんだろう。
近くなったため離れるよう警告がなったんだと理解した。


まぁ少しだが収穫はあった。

さて家に帰るかと思ったはいいものの重大な事に気づく。

「あれ、俺の家ってどこだっけ。。」

続く。。。


No.3 についてはこちら



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