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【オリジナル小説】俺の名は。 1話


俺は、早乙女 英治 (さおとめ えいじ)30歳。

今は普通にサラリーマンをしながら奥さんと1人息子と3人で暮らしている。
今日も汗だくになりながら営業活動を終え
奥さんに頼まれた買い物をして家に向かう。

家の側には大きなショッピングセンターがあり
夜でもライトアップされて光輝いている。

俺はそこにある大きな液晶に目をやった。

この春から始まるドラマの番宣広告がそこには流れていた。
主演は今をときめく人気俳優の「吉岡 拓郎」(通称:ヨシタク)
俺と「ヨシタク」は同い年。

片一方は大人気俳優で、俺はしがないサラリーマンかぁ。
同い年って思う度に嫌気が差す。

「俺もヨシタクみたいにバリバリの人気俳優になりたいなぁ」
そんなことを1人つぶやきながら俺は家に着いた。

「ただいま〜〜〜帰ったぞ〜〜〜」と勢いよくドアを開けた瞬間
開けたドアからまばゆい光と強い風で俺は吸い込まれるように家に入った。

「う〜ん・・・」

あまりの衝撃で意識を失っていたようだ。
俺は目を覚ました。

周りには誰もいない。

何だ俺がこんな大変な状況だったのに出迎えもなしかよ。
と思いながら立ち上がった。
するとすぐにその違和感に気づいた。

「あれ?俺会社帰りなのに何で私服なんだ。。しかもこんなハイブランドの服持ってないぞ。」


周りを見渡す。


すると、そこは明らかに自分の部屋じゃなかった。

テレビでしか見たことないような高級家具に窓からは東京一面が見渡せる最高の景色。
「え?俺もしかして死んだのかな」とほっぺをつねって確認しようとした時だった。

玄関が開いた。

「あれ?もう帰ってきてたんだ」
そうつぶやいて入ってきた女性。

俺はすぐにそれが誰かということが分かった。
そう、その女性は今春のドラマでヨシタクと共演している人気女優
「澤山 める」だった。


俺は彼女がアイドルとしてデビューした時からのファン。
その彼女が目の前にいる。

俺はやっぱり死んで天国に来ちゃったんだなぁと思った。
めるはどんどん俺に近づいてきてこう言った。

「拓郎?どうしたの?突っ立っちゃって。
そんなことより聞いてよ〜。今日帰る途中週刊誌らしき人が後つけてきてさ〜
バレたかと思って撒いてくるの大変だったんだから〜」


あれ、流石にリアルすぎるなこれ。
しかも拓郎って俺英治だし、、、と思ったその時
窓ガラスに反射して映る自分の顔を見た。

「え〜〜〜〜〜〜〜」
俺はすぐに洗面台に向かった。しかし、どこに洗面台があるかわからず
ひたすら広い部屋を彷徨ってやっと見つけた。
そして鏡を見た。


「やっぱりだ。俺、ヨシタクになってる。。。」

ポカーンとしている めるをほったらかしにして俺はテレビを付けた。
日付も時間も、俺が過ごしていた時間と一緒だ。
もしかしたらこれ、あれか?
君の名は的なやつか??

家に帰った時、玄関を開けたあの時の光は現実だったんだ。

俺はトイレに篭りひたすらこの現状を理解しようと頭の中を整理した。

俺がヨシタクになったって事はヨシタクが俺になってるのか?
じゃぁ家に電話して確認すれば良い。
そう思うと、ズボンのポケットに入っていたスマホを取り出した。

当然、ロックがかかっている。
「そりゃそうだよなぁ・・・」と画面を見ているとロックが解除された。


「そっか、顔認証のスマホか。俺の顔はヨシタクのままだしそりゃ開くのか。」
数字入力から顔認証に進化したセキュリティシステムに感謝した。


そして、電話アプリから家に電話をかけようとした時
俺の手に信じられないくらいの電流が流れた。

思わずスマホを落とした。
何だこれはと自分の腕をみると、そこにはスマートウォッチが装着されていた。

そして画面には「その行為は禁止されています」との文字とともに
「残り99回」という謎の表記も残っていた。

意外と入れ替わっていてから時間が経っていた事もあり俺は冷静だった。

なるほど、入れ替わった物同士が接触する事は禁じている訳だな。
そしてあと99回禁止行為をすると恐らくもっと強い電流が流れて殺されるんだろう。

そう推測した。

「いつまでトイレ入ってるの〜〜?」
めるが心配になって呼びに来た。

「ごめん、ごめん。」そう言って俺はトイレから出てソファーに座った。

めるが家に居るってことは、ヨシタクとめるは付き合ってるのか。
くそ〜ヨシタクめ〜〜〜
俳優で人気者にもかかわらず俺の好きなめるちゃんまで手に入れてるとは。


同い年のやつに全て負けていると思い無性に腹がたった。

「ご飯つくるね〜」めるのその声で再び冷静に戻った俺は
今の自分の状況を再認識した。

「そうか!俺は今ヨシタクじゃないか。そしてめるとは恋人関係。
やりたいほうじゃないか!!!!」

とにかく、何故自分がこんな状態になっているか考えるのはやめて
せっかくのこの状況をとりあえず思う存分楽しむことにした。

俺はそうと決まればすぐキッチンに向かって
後ろから抱きつこうとした。

すると、再びものすごい電流を体に走った。
めるが心配そうに、倒れている私を見ている。

スマートウォッチを見ると
「この行為は禁止されています。残り98回」の文字が。


ふざけんなよ。。入れ替わって唯一の楽しみまで禁止かよ・・・
俺は黙ってリビングに戻った。

めるは料理を作ると、
「私、次の仕事があるからもう行くね?何か今日様子が変だし
風邪でも引いたんじゃないの??早く寝てね」とつぶやいて
そそくさと家を出ようとした。

俺は玄関まで行って見送る。

「じゃぁまたね!」そう言って俺にキスをした。

やばい、、電流が来ると思いめるからすぐに離れたが、何も起きなかった。
「電流こないんかい」とつぶやきながら
電流が来ると思ってすぐに離れたため、せっかく好きな女優とキスできたのに
その感触を思い出せないこの状況にイラついた。

その夜、俺は顔認証で入れる唯一の情報源であるスマホの中身を夜中までチェックした。

カメラフォルダには、テレビで見たことある人達との写真がたくさん入っていた。
LINEには、めるとのイチャイチャLINEや多くの芸能人とのやり取りがたくさん入っていた。
そしてTwitterのアプリを開いた。
そこには彼が公式で使用しているアカウントとは別にもう一つアカウントが入っていた。
ログインしてみると、それは名前も「???」となっておりフォロー・フォロワーも0
そして鍵がかかっていた。

そして最新のつぶやきを見ると
「俳優に疲れた。一回で良いから普通にサラリーマンになってみたい」というつぶやきがあった。
投稿の時間を見ると、夜8時。

「俺がヨシタクになりたいと思った時間とほぼ一緒だ。」


奇跡的に俺がつぶやいた時とヨシタクがTwitterにツイートしたタイミングが全く一緒だったから
こんなことになったのか。

俺はこんな現実では絶対ありえない状況もなぜか意外と飲み込めていた。

部屋も真っ暗になって、寝る直前。
俺になってしまったヨシタクと嫁と子供の事が心配になった。

まぁ、でもあのヨシタクだよ。
ハリウッドにも名を届かせてるあいつなら、俺みたいな平凡なサラリーマンを演じるなんて
朝飯前だよな。きっとうまくやってるんだろう。
俺も俺でヨシタクになったんだから普段できなかった経験をさせてもらおう。

そう思って眠りについた。

続く。。。

2話は下記から!



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