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純喫茶|手土産にも嬉しい優美なシュークリーム【欧風菓子 白鳥(中板橋)】

都心近くの老舗洋菓子店

背の高いショーウィンドウの向こうから小柄なお母さんが対応してくれる

池袋から各駅停車で3駅、中板橋駅を出た目の前に古い洋菓子店がある。
具体的にどのくらい長くやっているのかは知らないけれど、80歳になる祖母がよく行っていたと言うのだからだいぶ長くやっているんだと思う。

お店の名前は「欧風菓子 白鳥」。ハクチョウではなくてしらとり。1階には昔ながらのショーケースにケーキが並んでいて、急傾斜の階段を登って2階が喫茶室。
この日の目的は決まっていてどきどきしならが階段を上がる。

今では珍しいあの動物のスイーツ

頼んだのは「シュークリームとあたたかい飲み物のセット」。

ビジュアルに1000000点あげたい。

跳ね上がった左右の羽にピンの伸ばした背筋と澄ましたお顔。想像よりずっとのキレイな白鳥のシュークリーム!

スワンシュークリームをこの目で見たことがあるのは子供の頃読んだ古いレシピ本の中だけで、誰が家でこんなん作んねん、と思った記憶がある。あの頃のわたしへ、いま実物に出会えたよ。

クラシカルなロイヤルブルーのお皿に粉雪を被った白鳥。下に敷かれたアルミカップが時代を感じさせるだけじゃなく、レフ板にもなってより白鳥が輝いている。
その姿はさながら真冬の静かな猪苗代湖を優美に泳ぐ白鳥。井の頭公園の池をわいわいと漕ぎ進めるスワンボートのそれではないね。

粉雪をまとった白鳥のシュークリーム

ベースとなるシューにはたっぷりの生クリーム。白鳥の体部分だと思っていたけど、あまりに綺麗に均されているその表面はもしかしたら体ではなくて水面なのかもしれない。

たっぷりの生クリームは甘さ控えめで、その下に隠れるカスタード。
シューは某有名なパパのシュークリームのようなカリカリのものではなく、しっとりと柔かい。どこまでも上品、それでいて素朴で食べやすい味。みんなに一目置かれるけど好き嫌いされないタイプ。卒なくなんでもこなしちゃうタイプだね。

そしてシュークリームには美しく!という気概を感じるのに、それとセットになっているコーヒーは無頓着な見た目と味なのも、あくまで洋菓子店の喫茶室という感じ。うちはカフェちゃうで!それもまた良し。

裏面に店名の印字が入った伝票

今は使っているお店も減ってしまったけど、このタイプの伝票が好き。残していきたい文化のひとつだと思う。

ちなみにこの「シュークリームとあたたかい飲み物のセット」が700円。
安い、安すぎる。このビジュアルにはもっと払ってもいい、いや払わせてください。

内装好きにも刺さる空間

上品さと素朴さを兼ね備えた白鳥、内装もまた”パーラー”の名にふさわしい優しい上品さ。

起毛のソファっていいよね撫でちゃう

橙のタイルベースに上品な深緑の起毛ソファ。オレンジとグリーンの組み合わせ、良い。
橙タイルのパーラーといえば鎌倉のイワタをを思い出すので、そのレポはまた近い内に。

よく見ると壁の絵に描かれているのは白樺だったので、白鳥といいお店の誰か寒い地方にルーツがあるのかしら。終始忙しそうにしていたので尋ねることは叶わず、次回の宿題に。

椅子の方は六角形のラタン織りの背もたれ。
記事を書いていて気付いたのだけど、こちらの席はシュガーポットが赤くて私の席は青色。提供皿と同じ青だったから揃えてるんだと勝手に思っていたけど、他の席は何色だったんだろう。
このぽてっとしたシュガーポットも可愛いくてポイントが高い。

客席数はつめて30前後。だんだんと暗くなってくる日曜の夕方にしては地元のおばさま達からファミリーにお一人様まで、わりと幅広い客層で賑わっていた。地元人の和やかな会話が流れてくる地元民に愛される喫茶室。居心地はかなり良い。

白鳥、めちゃくちゃよかった。次きたらほかのケーキも食べてみたいけど、きっとまた白鳥のシュークリームにしちゃうんだろな。

店舗情報

喫茶の利用はもちろん、お土産選びにもぴったりなパーラー。
池袋からわずか8分、すぐ近くにあんバタートーストで有名なカフェもあるのでハシゴしてもいいかも。こちらのレポもまたいつか。
喫茶利用時にはぜひシュガーポットの色と椅子の触り心地の良さも確認してみてほしい。


欧風菓子 白鳥
〒173-0021 東京都板橋区弥生町31−15
水曜定休
10:00~20:00(喫茶は~19:00)

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