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【読書】いつか、ふたりは二匹

(人間も、そして犬や猫などの動物も、いつかは必ず死ぬ。わたしたちは、愛するひとたちととも、そうでないひとたちとも、いずれはお別れをしなければならない。いつかはみんな、ひとりになってしまうんだ。わざわざ他者を傷つけたり殺したりしようとするやつは、そんな単純で、揺るぎない真理を、まったく判ろうとはしないんだね。)

西澤保彦『いつか、ふたりは二匹』

タックとタカチシリーズで大好きになった西澤保彦先生の小説です。
本作は、眠りにつくと猫の身体に乗り移る能力を持つ小学六年生の男の子が、町で起きた女児襲撃事件の謎に挑むお話です。

薄めなのであっという間に読了

読了後のちょっと胸にしこりが残る感じ、たまらないです。
そして最後の1ページまで伏線回収してくるあたりが気が抜けないのですよ。
小学生の無邪気な愚かさが描かれていました。
主人公が猫のジェニイになった時の相棒であるセントバーナード犬のピーターがすごく良いんですよ。
ジェニイとピーターの会話は穏やかな空気感で読んでいて青空が広がるイメージでした。
主人公が賢くて本当に小学生か?と思いながら読みました。
探索パートは猫と犬の動き・視点になるところが面白かったです。
猫と犬だからできること、猫と犬だからできないことが明確に描写されていました。
アニメで観たい小説でしたね。
どうして他人を傷つけて平気な人がいるの?という子供らしい疑問を持つ主人公と他人を傷つける意味がわからず自分の欲望を満たそうとする子供たちが出てきて、その中でも反省する子供と反省していない子供がおり、反省していない子供の心情が一切描かれていません。
このお話の中で、他者を傷つけても自分の欲望を満たす人間の心情が描かれない点が面白いと思いました。
主人公視点のみのストーリー展開なので、当然と言えば当然なのですが。

とても読みやすい小説でした。
ここしばらく真夜中のパン屋さんシリーズを読んでいたので久しぶりに推理小説を読みました。
やっぱり推理小説は良いですわ。

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