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ツアーサポートの内容〜ギタリストの腱鞘炎について考える〜

はじめまして!

元バンドマンで現在理学療法士(※)として
働いてるやまねと申し訳ます。
記事を読んでいただきありがとうございます!

※脳、筋肉、生理学、運動学などの知識を学び
 病院やクリニックなどで
 身体の痛みを取り除き、身体が動かしやすく
 なるように指導している職業。国家資格。


Twitterでも更新しましたが
3日間Chantyのツアーに
理学療法士として同行しました!

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バンドマンに理学療法士がどう関わるか、
どのタイミングでどんなことをするか、
色々模索しながらの3日間でした。

僕を受け入れていただいた
Chantyのみんな、スタッフの皆さん
本当にありがとうございました!!

今回の記事では
Chantyのギタリスト白くんに
どのように関わったのか、
一部紹介します!


加えて
白くんは腱鞘炎を患っていたので
今日のメインは腱鞘炎について
お伝えしようと思います!


それではいきましょう!

①僕がツアーでギタリストにしたこと

ライブの前後でしたことは以下の通りです。

・ライブ前夜の背筋リリース
・前腕、肩甲骨、脊柱のリリース
・右肩関節の外旋誘導
・左腱鞘炎に対してアプローチ

ツアー中ということもあり、
身体には疲労がありました。

ライブ後は身体全体に
疲労を感じやすいということで
身体を硬める筋トレ系というよりは、
身体を緩めるマッサージ系を行いました。

特に
ギター中は猫背になりやすかったり
首振ったりするので、、、

✔️背骨の位置、背筋の筋緊張の調整


ギターを背負うため、、、

✔️肩周囲の柔軟性


指や手首をよく動かすので、、、

✔️それらの筋肉が集合する腕の調整

これらの調整をさせていただきました!


僕がライブ同行したのは
あくまでライブを大成功させるためなので
無理には施術せず、
本人の希望があればマッサージ、筋トレする
ような感じでツアー同行しました!

ちなみに白くんからの要望は
手首を動かした時の痛み(腱鞘炎)の軽減と
アップピッキングの強化
肩を楽にしてほしい
でした。


アップピッキングの強化は
母指外転と肩甲上腕関節の外旋誘導で
行い、改善しました!

腱鞘炎については次の項から紹介します。

②腱鞘炎のメカニズム

よく耳にする腱鞘炎ですが、
実際はどのようになると腱鞘炎になるので
しょうか。

そもそも腱鞘というものは
筋肉の腱(スジみたいなかんじ)が
スムーズに動くために、腱を包みこんでいる
潤滑材みたいなものです。

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腱鞘炎は原因不明とも言われていますが、
標準整形外科学の教科書を要約よると以下のような感じ。

"腱の肥厚または腱鞘滑膜の肥厚によって
腱がスムーズに動けない状態で、
過度なメカニカルストレスがかかることで
起こる"


難しい文字が並んでなんのこっちゃねん!
って感じなのでめちゃめちゃ簡単に言うと

"手首や腕が硬い状態のまま指を動かしまくると炎症が起こります"

というような感じです!


病態としては以下のような感じ。

一定方向ばかりに指を動かすと
腱鞘が分厚くなり、筋が動きにくくなる。
(滑走不全)

筋肉が硬くなってしまう。
(筋内圧の上昇)

筋肉や筋膜の短縮、皮膚が硬くなる。

硬く短くなった筋肉や皮膚が
筋の腱や腱鞘を圧迫して
長期的に痛みが続いたり、腕がパンパンに
なったりする。

つまりは、
手首や腕の筋肉の硬さが腱鞘炎を
引き起こす原因になります

そのため、
腱鞘炎にならないようにするためには
手首や腕の筋肉、皮膚を柔らかくしておく
必要があります

予防法は④で説明しますね! 

③ギタリストの左手アライメント

白くんは左手が腱鞘炎とのことでした。

痛いところは中指から親指の間くらいでした。
背屈したり手首を床についたり
ギタープレイ中に痛むとのこと。

白くんの左手は尺屈+軽度背屈でした。
そして触診すると有頭骨と小菱形骨が
少し浮いてるような感じでした。

ギター、ベースを弾く時は
ポジションや押さえ方で
手首の角度は変わります。

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ストラップの位置などによって変わります!


ちなみに白くんの場合は
尺屈と背屈方向にいくことが多かったです。

その手首の位置で指を広げたり
速く動かしたりするので
腱を包む腱鞘が擦れて痛くなったり、
骨の位置が少しズレたりしてしまうわけです!

白くんの場合、、、

手首を尺屈方向に引っ張っている
尺側手根伸筋と屈筋、
背屈方向に引っ張っている
総指伸筋をリラクゼーション

有頭骨、小菱形骨のモビライゼーション

普段動きにくい橈屈方向の筋肉
腕橈骨筋、長母指外転筋の促通

で症状が改善してくれました!👍

ギタリストの左手が使いすぎてしまう
尺屈、背屈をさせる筋肉は
主に肘の外側から手の甲にかけて
ついています。

特には
尺側手根伸筋、総指伸筋
頑張りすぎてしまう傾向にあるようです。

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④腱鞘炎の予防〜腱鞘の場所を知ろう〜

腱鞘炎を予防するには
筋肉の腱を圧迫してくる組織を柔らかく
しておくことが重要になってきます!

そのため、
手首や腕をケアすることが腱鞘炎の
予防に繋がってきます!

まず、腱鞘がどこにあるのか解説します。

手のひら側

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手の甲側

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このように腱鞘は複数あります!

さらに知識として、
手のひら側の腱鞘は
手掌腱膜というものに覆われています。

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そして、
これらの腱鞘に包まれている筋肉や
手掌腱膜は
基本的に肘付近からつきます!


ざっくり言うと、
手のひら側の腱鞘の筋肉は
肘の内側から、
手の甲側の腱鞘の筋肉は
肘の外側からついてます!

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腱鞘炎を予防するためにも

❶親指、小指の付け根
❷指と指の間
❸腕の内側と外側

の柔軟性をあげておくと良いでしょう!


❶親指、小指の付け根
❷指と指の間
のポイントは写真の丸印のところです!

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丸印あたりを想像してほぐしてください!
痛気持ちいいくらいでok!


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手の甲側の腱鞘もほぐしてあげてください!
手の甲側は中指付近に腱鞘が多いです!
これも痛気持ちいいくらいでok


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①〜③指の骨の間を広げるイメージで
ほぐしてください!

④ほぐせたら指の骨の間を触りながら
指を素早く動かすと、腱の動きが
スムーズになります!
回数は押してるとこが痛気持ちくなるまで!



❸肘の内側と外側のポイント

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圧迫したまま肘を曲げたり伸ばしたりします。
回数は圧迫してる指が入り込んで
いくのを感じるまで!
痛気持ちいいくらいでok!

入り込んでいったら
圧迫する指の位置を下の方に
変えてやってみてください!

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圧迫したまま手首を上下に動かしてください!
回数はこれも指が入り込んでいくのを
感じるまで!
これも痛気持ちいいくらいでok

入り込んでいったら
圧迫する指の位置を下の方に
変えてやってみてください!

まとめ

まとめると以下のような感じです!

・手首や腕が硬い状態のまま指を
動かしまくると腱鞘炎になりやすい

・ギタリストの左手は
尺骨、背屈の負担が大きく、
尺側手根伸筋や総指伸筋が突っ張りやすい。

・予防は手と腕の柔軟性を上げる!

ギタリストを見させていただくのは
はじめてだったのでかなり
勉強になりました!


白くんは僕の施術の後
"腱鞘炎になる前よりも弾きやすい!"
と言ってくれました。

心から嬉しかったし、
勉強しておいて良かったと思えた
瞬間でした…!


白くん本当にありがとうございました!😊


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↑白くん施術中

ギターで手首にお悩みの方や、
今よりも更にスムーズに動かしたい
という方は是非一度相談して
いただければと思います!

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最後まで読んでいただきありがとう
ございました😊

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