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少年と犬  ロードノベル

我が家の最後の犬が旅立ってから犬のドラマや映画、小説に至るまで犬の話はなるべく避けてきていたのに、「少年と犬」はなぜか惹かれて購入してしまっていた。オーディブルだけど。

あれから年月が経ったということかな。

この本の作者である馳星周氏は、同じく私がずっと避けてきた馬にまつわる本「黄金旅程」でも私に感銘を与えてくれていた。

黄金旅程についてはこちらの記事で書きました。


そしてこの「少年と犬」は最近私が読んでこれまた感動をしたロードムービーならぬロードノベルな「旅する練習」とも自分の中でリンクして不思議な思いに包まれました。

旅する練習について書いた記事はこちら。


2011年、津波の震災後の仙台。主人公である迷い犬、多聞(タモン)が出会う何人もの人たちの人生の一コマに織り込まれつつ、自分の道を健気に進んでいく。

多聞のゴールはどこに?なぜ多聞は進むのか?

「黄金旅程」を読んだ際にも同じようなことを書きましたが、著者の動物の描写の仕方が本当に愛情たっぷりで細微に渡り、今まさに読んでいる自分がその背に、その顔に触れているかのような錯覚を味わうのでした。

目の前に多聞がいる。多聞は深い意志を秘めた状態でただじっとそこにいる。

生きていくために、命を繋ぐために、時には出会う人の感情や行動に阻まれながらも、ただじっとそこにいて、彼は心の支えとなり、応援者となっていた。

その誰もが最後には多聞の強い意志を感じ、その意志を尊重してくれた。

天命なんだろうか。
目に見えないけれど、声にはならないけれど、大切だよね。

また大好きな小説が一つ増えました。

犬が好きな人も、そうでない人も、私のように犬から距離をおいた人にもおすすめな一冊です。


最後までお読みくださりありがとうございました。




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