夢を諦め、地に足を着けるのはいつだ

昔見た映画での一コマ。 

不運が続き、自信を喪失した主人公が、車の中でこう呟く。
「夢を諦め、地に足を着けるのはいつだ」

同乗している友人が、中空を見上げ、おもむろに、こう答える。
「まだ朝の7時だぜ」

当時二十歳そこそこで、人生経験があまりない僕でも、いいシーンだな、と思った。それから少なくない月日が流れて、それなりに色々な経験をしてきた今、改めて思い返してみても、やっぱりいいシーンだな、と思う。

僕には、この映画の主人公のように、人生を懸けて挑戦した夢はないけれど、絶え間なく訪れる、希望と失望の中で、喜び、悩み、人並みには、「色々あったよね」と言えるような人生を過ごしてきたつもりだ。

今、自分の人生が、まだ朝の7時なのか、もう昼過ぎなのか、はたまた既に日が暮れかかってしまっているのかは、正直よく分からない。

だけれども、主人公の友人が言ったように、少なくとも気持ちだけは、いつまでも、「まだ朝の7時だぜ」と思いながら、生きていきたいな、と思う。



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