コンサルに潰されない為の正しい付き合い方


  少し前に読んだ書籍で「申し訳ない、御社を潰したのは私です」という有名な本がある。この本自体は要約すると「結局はひざ詰めで話すしかない」という中々示唆のある内容で結構良かった。(中々衝撃的なタイトルだったので、今回の標題はこちらを一部もじらせていただいた。)

 本件について、私個人も実は平日日中には色々な所謂"""コンサル""""と関わりがある。と、言っても私は所謂コンサルティング企業に勤めた経験があるワケではなく、事業会社にてコンサルを発注する側として、外資系/内資の大手専業、金融機関の系列コンサルから、専門コンサルと言われる様な独立系の職人集団まで、様々な切り口で20件程度はコンサル発注、その後の実践まで関わって来た。

 過去の経験からいくと、上記書籍にもある様にコンサルに組織を「ぐちゃぐちゃにされる」ことがあるかないかと言えば、これはもう間違いなくある。コンサルを使う事は正に諸刃の剣であって、正しい局面に、正しい方法で活用しなければ、無益であることは勿論、有害にも十分なり得るし、最悪の場合は組織に致命的なダメージを与える可能性すらある。勿論、コンサルに発注するのは社内に専門人材や機能を備えられないか、あるいはリソースが不足しているからであって、必要になってしまっている背景をどうするかということはあるのだが、それでも考えなしにこれを活用する事は決してお勧めできない。では、コンサルとはどの様に付き合い、発注に当たってどう手綱を取るべきなのか。経験も踏まえて、その方法論を書いていきたい。

コンサルは何をしに来ているか

 まず、重要な前提として、コンサルはボランティアではない。しかも人工が恐ろしく高い人間集団であって、御社には収益を獲得する目的で来ている。よって、意味も無く時間を費やすことも無い。そしてその主な目的は、コンサルティング業務の発注を受けてそのものから収益を稼得することか、あるいは別の大口受注に繋げる手段としてコンサルティングを実施する等して、彼らの収益を最大化することにある。題目として御社の業務受託し、タスクを消化し、課題を解決し、問題を改善することは、彼らが収益を獲得する為の手段でこそあれ、それそのものは目的ではあり得ない。つまり、御社にとって何のメリットも無いがコンサルの利益になる状態か、その逆の状態のいずれかがあり得るとすれば、彼らは何の躊躇もなく悪意を持って前者を選択してくるということだ。極論、一発彼らが儲ける為に必要があれば御社のビジネスや利益を損ねる事すら彼らは特に厭わない。現にそういう場面に何度か遭遇してきた。

 1つケースを考えてみたい。あるPJに取り組むにあたり、アドバイザーを求め、そこにコンサルが入ったとしよう。しかし、発注の要件が適当で、まともな選定も行われず、俗人的な繋がりから「業務支援」の様な名目で変なコンサルが入った、この場合何が起きるか。このコンサルはできれば長期契約が欲しい。そしてPJが完全に完成して自走されてしまうと、委託が終わってしまう、その場合、悪質な所であればPJ自体を完成には向かわせず、発注者を煙に巻く様な堂々巡りのタスクを組んで、「何かが進んでいる」様に見せてその実態は何も前に進めず、フィーのみを延々回収することを専らの目的としてしまう。これの最悪な所は、金を失っただけではなく、独力でやっていればゆっくりでも進捗できたかもしれないPJそのものを大きく毀損してしまった。この様な事はコンサル発注時には実際にあり得る。(あった)

コンサルは必ずしもプロではないし、まして魔法使いではない

 コンサルは必ずしもプロではない、というのは彼らはコンサルタントとしてはプロだろうが、発注する領域についてプロであるかはケースバイケースであるということだ。コンサルにワンショット何千万、何億というフィーで発注するに当たり、そのテーマが例えばシステム入れたいとか、会計税務上の問題を解決して欲しい、みたいなことであったり、発注先が専門コンサルであれば、流石にプロが送られてくる。が、そうしたものでない、特定の事業領域について戦略立てるみたいな話を総合?コンサルに発注すると、送られてくる相手が必ずしもプロではないのだ。もっと言ってしまうと下手すると発注している事業会社側より知識がない要員が送られてくる可能性すらある。考えてみれば当然の事で、彼らは花屋でもエンジニアでも海運業者でもない。その後発注内容がどうなるかは推して知るべしだ。

 どうも事業会社側ではコンサルの事を何か魔法使いの様な何かと思っているケースがある様に思われる。「あんな立派な会社の奴に高い金払ってるんだから何とかなるだろ!」勿論、そんなことはない。コンサルに頼んでも実現するのは人が来て考えたり手を動かす事なのだから、社として全く出来もしないことがコンサルの結果突然出来る様になったりはせず、実際には本当はできるけど何か障害があったものを取り除いてくれる、あるいは本当にプロを呼べた場合、指針を示して貰えることはあり、結果してそれが刺さったのであれば、売上が倍増することもあるかもしれない。ただ、例えば今にも潰れそうな商店をいきなり大デパートに変える様な魔法はどんなコンサルも使えない。

正しく活用できた時のコンサルは強い

 コンサルの負の側面ばかり書いてしまったが、コンサルを本当に正しく活用した時のパワーというのも同時に強力である。本来であれば社が活用する事の出来ない外部専門人材をPJに専任で投入した上に、成果についても強力にコミットさせることができる。そして高給取りの彼らを平時雇用し続ける事は普通とても叶わないが、都合の良い事に彼らは仕事が終わればまた別の現場に飛んでいき、また頼みたくなった時だけ金を払えば、それに必要な専門人材がやってきてくれる。こんな都合の良い事はない。必要な人員を必要な時にだけ使うという効率化を果たした企業は当然強い。実際、これから書いていく様な要素を充足して発注されたコンサルについては、目を見張る様な成果が上がり、フィーの何十倍もメリットが出た事もあった。それは独力では殆ど不可能な内容であった。

win-winとなる為のコンサルティング業務 企画/発注/管理の方法

 ではどうすればこの様な事態を回避し、彼らの持つ技能やリソースを最も効率的に活用して、社のタスクをこなすことができるだろうか。以下、その具体的な方法論を書いていきたい。基本的な答えはケ

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