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#100 他人どころか

 その昔、鶏肉を炊いて卵でとじたものをご飯に載せた料理を「こりゃあ親子丼だながっはっは」と命名した人は割に「人が親子丼(と銘される前のなにかを)食っている人の前で云ってはいけないことを云ってしまうタイプの人」なのではないかという気がするのだが、これを豚肉に入れ替えて「こりゃあ他人丼だわなアッハッハ」といった人も案外に面白いことを云おうとして失敗するタイプの人だったんではないかと思う吉宗であった。お母さんまた上様が余所の家に上がり込んでるーっ。

 昨今卵が高いので「もう卵のかわりに納豆で我慢してね」という会話をスーパーで聞いたりもするのであるが(あまり釈然としていない)最近は近所のスーパーでも10個入りひとパック259円(税抜)で安定してきた。とはいえ安いところではひとパック108円のころ(ほんの数年前だぜ)からするととんでもないのではあるが、「親子丼を食べたい」と云われた場合に対応策はないのか。娘が偏食だけど親子丼(とクリームシチュー)だけは親の敵のように食うという場合にゃ如何したらいいのさヤーマン! というわけで卵の代替はなんかないのか、と考えたところ、なんとおなじ蛋白質でも植物性のやーつこと充填豆腐に白羽の矢を立てる。MSサイズの卵が50g25.9円(税抜)ならば最寄の業務スーパーの充填豆腐は300gで33.333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333333…(無限小数)、すなはち3つで100円(税抜き)の豆腐であった。税込にしたら36円で割り切れますよ博士!!!!!

 さて、作るかと冷凍庫を開けたところで鶏肉がない。じゃあ豚でもいいや、と室温で半解凍した豚コマ300g位を菜切り包丁で刻みまして、あらかじめ煮立ててぐちゃぐちゃになっているたまねぎの上に投下し蓋を閉める。いいんです、最終的に火が通っていれば。あとはいい感じに煮えたところにボウルに入れて菜箸で粉砕した充填豆腐をぼとぼとぼとーーーっ、もう製造工程が綺麗ぢゃない。卵ならばつーーーっときてるっと枝に留まるところではあるが、そうはイカのきぁんたまぶくろとなりにけり。
 豆腐なんか火を通そうが通すまいがぶっちゃけどっちでもいいのであるからして、

手前はシーフードミックスを駆使したエビイカチリでござい

 出来ましたの。うわあ見栄えしねえ。

 とはいうものの、味付けなんぞは普段の親子丼と同じなので想像以上の味にならんのでござった。どうせアレンジするならば相乗効果でもっとうまいものを作ろう、という部分に関してはどうもならんかった、という結論でよろしおすか。いや普通に食えるんだけど。うちのヤングらもよう食ってたけど。

――しかし「親子丼」「他人丼」ときて、この「豚と大豆」というのはなんだろうな。他人でさえない。家畜と飼料の間柄。
 この関係につけられる名前を、アタシは知らない。

みなさんのおかげでまいばすのちくわや食パンに30%OFFのシールが付いているかいないかを気にせずに生きていくことができるかもしれません。よろしくお願いいたします。