ながちろ

出版社勤務を経て文筆編集弾語デザイン装丁WEBとウロウロしているうちに自分が何屋なのか…

ながちろ

出版社勤務を経て文筆編集弾語デザイン装丁WEBとウロウロしているうちに自分が何屋なのかわからなくなっております。著書ぼちぼち。詳細は http://www5a.biglobe.ne.jp/~banric/ まで。Twitterは@Banric

マガジン

  • 画像利用大感謝マガヂン(仮題)

    弊社画像をヘッダーに採用いただいた皆さんを紹介させていただきます。 ご利用ありがとうございます!

最近の記事

  • 固定された記事

#101 101回目の風呂坊主

 101回目である。ここで殊勝にも読者の皆さんへの愛読御礼など申し述べれば真っ当であろうのは承知しているが、たまにイイネを付けてくれるひとがあって見に行けばどうみても自分の記事への誘導目的のことが多く、すっかりすれっからしになってしまうとあんまり感謝の念が湧かんのであった――というようなこともなるべく書かないようにして表面上はニコニコとしているのが(腐っても)人気商売の常であるというのはやはり重々承知しているつもりだが、それを真っ当な態度だと規定するとどうしても破ってみんな開

    • えねーちけーアーカイブス #132 金星

       ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第132回は「金星」。  日曜日は市場へ出かけ「意図」と「朝」を買ってくる。ここが全てで、「一週間」に対する理解の歪みであり、その歪みを全体に押し広げて整合性をとっていくと世界がひっくり返る。  と、この小説の作り方を30年やってきたんだなあという作品でございました。こういう作品は作っているのが楽しいのである。  宮崎駿・押井守・高畑勲について鈴木敏夫が語る非常に面白い記事があって、 ちょいと引

      • #147 大往生

         とうとうプリンタがあかんくなった。型番を見ると2006年の製品とあるから18年使い込んだ。2006年というと、出版社をよして編集プロダクションの嘱託(というか食客というか)をやっていたころだ。当時は文学フリマなんかに出たり落語のチラシを作り始めたころだったり、「全部自宅で作れたらコストが掛かりませんなあアッハッハ」と陽気にA3まで印刷できるモデルを買ったのであった。当時で55,000円くらいだったっけ。  が、結局ほとんどA3の紙はプリントアウトしていない。そもそも自宅です

        • えねーちけーアーカイブス #131 ハミルトンの鯨

           ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第131回は「ハミルトンの鯨」。  今回長いんですよ。  思い入れの強い作品(であった)。うすぐらい、水の溜まった地下牢の入口に女の子が座り込んで虚空を見つめている。かび臭い虚空、闇の向こうからは空想上の鯨が泳いできて、いや、泳いでいくるのをじっと待っているのか。  と、こういった具合のイメージが20代くらいからあって、いつか作品化しよう、作品化しようと思っているうちに30代になり、40手前、「

        • 固定された記事

        #101 101回目の風呂坊主

        マガジン

        • 画像利用大感謝マガヂン(仮題)
          81本

        記事

          #146 内肉外骨

           ちょっと前のアーカイブス「桜を見る会」(#128)を出して諷刺がどうこう云うとったころに、近所の入ったこともない画集専門みたいな古本屋の店先に「ユリイカ1993年9月号『特集・宮武外骨』」なんぞ置いてありまして、びっくりして買ったわけですが、久々に読むと面白いね外骨。で、読んでいて思い出したり考えたりしたことを書く。  昔はもっと頑張って文芸批評もやっていたのですが、ズボラゆえ止め――止めた話はええわ、この宮武外骨についての作文がかつてはどっかの文学賞の二次選考まで通った

          #146 内肉外骨

          えねーちけーアーカイブス #130 鶴

           ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第130回は「鶴」。  とある砂漠、日本から技術者が派遣されて「井戸を掘った」てぇン。ここで、あたしたちの了見で、となると「日本人すげー」になるのかもしれないが、向こうからすると「神が極東から技術者を遣わした」てぇことになるらしい。へえ、と感心した部分が「鶴の恩返し」と融合している。  それでもなにか、関係者に事の顛末を(自ら)告げて回れという神の思し召しというのはなんなんであろうな、ある朝マドレ

          えねーちけーアーカイブス #130 鶴

          #145 ソファーの上の蛙(Toad on the sofa, 2024)

           世の中が新年度になってしまったので、昨年度やり残しのネタを今のうちに……今日は娘の小学校の入学式でしてね、などということを書いておくと後で読み返したときに「そうか、あのときか……」と紫煙をくゆらせることもあるかもしれない。この場合の紫煙はおそらくようかいけむりなんですけど。Amazonで見たらえらい値段してけつかる。  息子の小学校の図工の時間にて「古着やもう使わない靴下なんかを使ってなんか作ろう」という、例の持続可能な感じの工作がお題に出されてきまして、じゃあ、ってんで

          #145 ソファーの上の蛙(Toad on the sofa, 2024)

          えねーちけーアーカイブス #129 七回忌風景

           ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第129回は「七回忌風景」。  思いのほかいい仕事してるじゃん、と(あんまり云われないので)自分で書くんですが、冒頭の「フェリーと陸をつなぐ橋の下の燕の巣」が絵として強力で、ここからカメラをまわして、船が出るまでの待ちの景色に画面を引く、と。おお、ちゃんとやるべきことをやっている。  頭の中の映像をそのまま書いていくだけで、と申せば、かつては「だったら映像やれや」「アニメチック」と揶揄されたもんで

          えねーちけーアーカイブス #129 七回忌風景

          #144 たぬき

           後の記録として残しておくことだが、今年の3月頭頃からTwitter(現X)界隈で突如、謎のたぬきブームが巻き起こった。たぬきだんごとよばれる寒さで群れ固まったたぬき、突然の自動車に立ち尽くすたぬき、好奇心のままに人によってくるたぬきなど、多くの人々の目には好意的に映ったことであろうが、その後間もなくとーんと見なくなってしまった。世の人はあれは何だったんだろうと話し合い、人間に在するたぬきによる印象操作であろうとか、その割にはたぬきだから途中で飽きちゃったのだとか、色々なこと

          #144 たぬき

          えねーちけーアーカイブス #128 桜を見る会

           ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第128回は「桜を見る会」。  時事ネタだ! と思いきや、もう「桜を見る会」、話題になったのも4年前ですわい。風化する。タイトルだけこうなので、諷刺にもならない。ただただ、桜を見る会があるならば、煮る会もあり、切る会もあっていいだろう、というほうに興味がある。  諷刺、やっていたこともうっすらあった気もするけど、自分で「これだ」というレベルに達さなかった。理想がモンティ・パイソンあたりにあるのは違

          えねーちけーアーカイブス #128 桜を見る会

          #143 包丁のできるまで

           包丁のオーダーが来たのでエイヤホイホイと請け負うことにした。聞けばいままでのは「全部稽古の果てに毀れた」という。アイヤサイサイ。そういえばアササボンサンという妖怪がいたな。語感が好き。  今回はそうした舞台小道具の包丁のできるまでを追っていくので、舞台に包丁を出したいみなさんは見るとよいらしい。 材料  こうした有事の際に浅草今半の箱だの、そうめんの箱の蓋だのをストックしておくと役に立つのであった。なお揖保乃糸より島の光派。無いかたはホームセンターや100均などで端材を

          #143 包丁のできるまで

          えねーちけーアーカイブス #127 でんしゃ

           ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第126回は「でんしゃ」。  鷗外に「不思議な鏡」という短編があってですね、通勤途中に魂がすーっと抜け出したかと思うと、とある屋敷の鏡にスパーンとはまってしまって、その場に集まっていた人からなにか色々な悪口を云われる話だと思ったんですが、多分そのへんの「通勤中に魂が抜ける」あたりのアイデアを援用したものと思われます。  いや、そう。本来は「鏡にはまってから悪口を云われる」ところのほうが面白かったはず

          えねーちけーアーカイブス #127 でんしゃ

          #142 閑話休題(ネタがない)

           しまったなにもないぞ。なまじなにかある(動き回ってはいた)だけに(書くような内容が)なにもない。と、すっかり「自分も見てくれが完全におっさんになっちゃったしおっさんとして振る舞っていかないといけないなぁ、精神は高校生のまんまなのに」という愚痴を垂れ流していましたが、なんかいいタグがあったのでこっちをネタにさせてもらおう。#うちの積読を紹介する する。します。でも最近、積読を一斉に古書肆に売り払うという英断をしたのでそのへんも含めて。  この辺の本が、なぜうちにある(あった

          #142 閑話休題(ネタがない)

          えねーちけーアーカイブス #126 ねずみ

           ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第126回は「ねずみ」。  「すべらない話」という番組があったと思いますが(最近はなぜか見かけない)、ああいう場のエピソードトークは構成もふくめ、小説的だなぁ、などと考えたのは愚かゆえ、そもそも、物語というのはそういうことぢゃね、と思い直した。そう、「語り」においては現実に起こったことにしれっと誇張をしたり混ぜものをしたりして完成度を上げていいもんなのだ。  というのが今回の「ねずみ」であるが、ねず

          えねーちけーアーカイブス #126 ねずみ

          #141 蟹鋏Ⅰ

           一週間があっという間だ。  今年はながしろばんりを始めて30年になる。プロデビュー、というのではない。名前を使い始めてから30年だ。これは忘れもしない1994年10月11日、ふと「いいな」と思ったのである。以来、名乗っている。  当時は絵を描いては中学校の学年通信のトップに使ってもらっていた。ところが、当時は絵のうまい女子というのがたくさんいて(一番最初のスラムダンクのBLの最盛期だ)、打ちのめされた――かというとそうでもなかった。当時のお手本は『ディスコミュニケーション』

          #141 蟹鋏Ⅰ

          えねーちけーアーカイブス #125 菠薐

           ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNHKアーカイブス。第125回は「菠薐」。  「My favorite things」シリーズの内ひとつ。といっても、大方の読者にはどうでもええ話やな。菠薐、とはホウレンソウのことだ。  中にある園長先生の話は実際にあった話で、アタシの祖母はもらってきたホウレンソウを食べずに捨てた、という。という、というか、インパクトのある話なので何度となく聞かされる話であった。そういえば私立の幼稚園なので、ごくたまに通りかかっても

          えねーちけーアーカイブス #125 菠薐