見出し画像

えねーちけーアーカイブス #129 七回忌風景

 ながちろのオンライン作品を掘り出して再利用しようというNながしろさんH恥のK掻き捨てアーカイブス。第129回は「七回忌風景」。

 思いのほかいい仕事してるじゃん、と(あんまり云われないので)自分で書くんですが、冒頭の「フェリーと陸をつなぐ橋の下の燕の巣」が絵として強力で、ここからカメラをまわして、船が出るまでの待ちの景色に画面を引く、と。おお、ちゃんとやるべきことをやっている。

 頭の中の映像をそのまま書いていくだけで、と申せば、かつては「だったら映像やれや」「アニメチック」と揶揄されたもんですが、だったらほなどないせいうね、と描写に対する(映像発生以前の)しかたがとんとわからない。映像以前、たとえば漱石の「吾輩は猫である」はどうかと、安直に、さも安直に青空文庫をディグって見れば、猫の了見で、猫からの見えようで描写している。なるほど御もっとも、小説の首脳は人情で、世帯風俗これに次ぐ(逍遥)、と、そういうことをやっとればよかったのであった。

 とはいえ、売り物ぢゃなし、全米を泣かすわけぢゃなし、骨なし皮なし見たくな※1、となると個人の経験を、残った印象を(趣味で)精緻
にものしてみんと欲するものなりよキテレツー、というのが関の山でありやんした。仕事はいいが、需要はないときたもんで……

みなさんのおかげでまいばすのちくわや食パンに30%OFFのシールが付いているかいないかを気にせずに生きていくことができるかもしれません。よろしくお願いいたします。