『童夢』と書いて『イノセンツ』と
読ませてもいいのでは？っていうくらいほぼ実写化と言っても過言ではなかった。
しかし・・・

80年代の初頭にこの作品『童夢』を読んだ時(あえて漫画とは呼びたくない)
の衝撃って言ったら今でもカラダの
一部としてハッキリとその痕跡は
残ってる。
それからずっと何回も映画化の噂も
あったりしては消えていった
(プロト版はある。未見)。
でその後『AKIRA 』の連載が
始まるのだが。
『イノセンツ』の監督も『AKIRA 』からこの童夢を知ったらしい。
今の映画にありがちなセリフで状況を説明することなどなく「団地」で
生活するそれぞれの子供たちの表情と家庭環境を映像で見せて余計なモノを削ぎ落とし観る側の想像力に委ねていた。

果たして『イノセンツ』は『童夢』を
超えられたのかと問えばどうなんだろう。
ブランコの支柱のシーンをしっかりと
フォローはしてたけれど。
　遅かったんじゃないのか。
遅かった。
世界が大友克洋さんに追いつくのが。
CGなんて言葉も映像もない頃の
『童夢』だからこそもっと早くに
映像化されるべきだった。
『クロニクル』(名作)でさえ遅かった。
どちらも甲乙つけ難い素晴らしい作品だけど。

映画を観ながらもどこかでずっと
日本が(世界も含めて)映像化できなかったジレンマと嫉妬が僕のココロを覆っていた。
今のVFRの技術や編集能力でさえ
オリジナル『童夢』の世界は
描き切ることができない。
40年前のあの団地の世界がまだずっと未来のまま。
もっと早くに実写化できていたなら
『ブレードランナー』『エイリアン』『ターミネーター』を凌ぐ作品になっていたかもしれないのが悔やまれる。
こんなことのないように何度も頓挫している『AKIRA』の実写化を待ちたい。