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1滴でも12年

社会人になって酒が飲めるようになると、
そこからお酒との付き合いが始まる。

高齢になって仕事は引退して縁が切れることがある。
しかし、酒との付き合いは続く。
健康上の理由で
「飲めない」
がない限り
死ぬまで一緒だ。

酒との向き合い方はそれぞれだ。
食事を美味しくするための相棒。
会話をはずませる為の潤滑。
現実を忘れたい為の逃避薬。
眠れない時の入眠薬。
明日の為のエナジー補給。
酒という嗜好品を堪能する。

ある意味人生の万能薬かもしれない。

バーというところはいろいろな方がやってくる。
一言に酒を飲む
と言っても
先に書いた通り多種多様な向き合い方がある。

どう飲もうが飲み手の勝手ではある。

酒というのは時として厄介のものでもある。
人の思考を麻痺させることがある。

既に出来上がっていて、
「もう飲めない」
状態でも来店される方がいる。

当店に限った事ではないが、良くある。

入店時に察すれば
「お断り」
する時はある。

しかし分からない場合もある。
酒をお出ししてから
気が付くこともある。

「結構飲まれてるんだ」
と気づいたときはもう遅い。

そういう方はほぼ、注文の酒を残してお帰りになる。

そういう残されたお酒を捨てる時、
毎回罪悪感が湧いてくる。

この一滴のウィスキー

12年もの歳月を一瞬にして流してしまう。
もし人間に例えるなら、生まれてから小学校を卒業するまでの
12年間。

お酒を提供するようになってから、一滴に込められた歳月や
物語を感じるようになった。

勿体ない。

と一喜一憂していたら毎日疲れてしょうがない。
これは職業病だろうか?

しかし、この12年のロマンをいかにして伝えるか?
ほんの少しでもこの歳月を噛みしめて飲んでいただければ
ありがたい。
そんな事を思いながら日々奮闘して酒を提供しています。






















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