武蔵小山 BAR Gray

BAR Grayの店主です。 昭和生まれの昭和育ち。 アイラ島のウィスキーが好きです。…

武蔵小山 BAR Gray

BAR Grayの店主です。 昭和生まれの昭和育ち。 アイラ島のウィスキーが好きです。 オーディオ機器の修理等しながら店内で相談や視聴サービスなども行っています。 日々の徒然やバーやお酒に関する事等を書いていこうと思います。

マガジン

  • 深夜の相談室

    バーに訪れる方々の様々な人間模様です。

  • バックストーリーを噛みしめる。

    何気なく視界に映る目の前の「物」、何故それがそこに存在するのか? を紐解くとその「物」が好きになるかもしれないというヒントです。

最近の記事

濃い酒が飲みたい③

彼はいつも遅い時間に来店される。 仕事が終わらず終電に間に合わないのは普通らしい。 そんな状態で家に帰って直ぐには寝れない。 リセットするための時間が必要。 その為に酒を飲んで気分転換する、と 来店理由を教えてくれた。 今日もいつも通り「濃い」ウィスキーを楽しんでいる。 今夜の一杯目はラガヴーリン12年カスクストレングス。 カスクストレングスなので当然アルコール度数60度近くある。 これが最初の一杯目なのだ。 通常なら最後の〆の一杯に位置付けてもおかしくない濃さだ。

    • 自由になった

      その方はお酒にはあまり興味がなさそうだった。 特に、これが飲みたいと言う物は無いようで、 幾つか酒種を提案してみた。 結局ウィスキーに辿り着いた。 無難なスコッチのブレンデッドをロックでお出しした。 グラスを傾け一口飲んだ。 そしてゆっくりグラスを置いた。 違和感のない動作に僕はちょっと安心しました。 もしかしたら、ヤケ酒かなと思えたからだ。 それは 何となく落ち着かない様子を感じていたから。 一瞬の沈黙。 うつ向いていた顔を上げ、僕を見るなり 話し始めた。 「街

      • 鍵が抜けない

        今夜は、 何か落ち着かない彼女の様子を僕は何となく感じていた。 来店時間や注文内容はほぼいつも通り。 けれど 何かが違う。 その事件が起きてからあと数時間で24時間が経とうとしている。 その日の朝出勤時の事件について彼女は話し始めた。 「玄関のドアをロックしようとしたら鍵が抜けなくて」 何回もトライしたが抜けなくて抜けなくて。 部屋に戻りガムテープを探して刺さったままの鍵に被せるようにドアノブ 全体にガムテープを貼り付けた。 そんな作業をしていたら遅刻しそうになり

        • 濃い酒が飲みたい②

          彼は日にちをあまり開けずにちまちま来店してくれるようになった。 「さて、今日は何からいきましょうか?」 と僕は声をかける。 度数の高いカスクストレングス系の中から、 何にしようか 迷っているようだ。 「ラフロイグのカスクストレングスを」 最初の一杯目からカスクストレングスを頼む方は稀である。 通常なら〆の一杯として活躍するアイテムだ。 しかし、彼にはこれくらい濃くないと身体に染みないらしい。 ということが段々理解できて来た。 アードベッグ10年よりアルコール度数の高

        濃い酒が飲みたい③

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        • 深夜の相談室
          5本
        • バックストーリーを噛みしめる。
          3本

        記事

          50年前のカセットテープを聴いてみた「かぐや姫」

          目の届くところにある、僕の所有物でもしかしたら最古かもしれません。 かぐや姫のカセットテープ。         かぐや姫ライブ 調べてみたら1974年9月のリリースでした。 レコードプレーヤーを買う何年も前です。 購入当時ラジカセで何回も何回も聴いていた記憶ははっきり残っています。 小学校時の夏休みに母の実家に帰省した時、少し年上の従兄が揃えたばかりのオーディオで近所の友達を呼んで集まっていました。 このかぐや姫の楽曲をかけていたところに出くわして一聴して 好きになった

          50年前のカセットテープを聴いてみた「かぐや姫」

          リニアトラッキングプレーヤーPX-2の使い勝手

          ヤマハPX-2を使ってみて感じたことをお伝えします。 あくまでPX-2についてであり、全てのリニアトラッキングプレーヤーに ついて当てはまるわけではありませんのでご注意ください。 操作について PX-2は基本的にフルオートプレーヤーです。 再生するには 電源を入れる 回転数を選ぶ レコードサイズを選ぶ この3動作だけで自動再生し、終了後は トーンアームがホームポジションまで 自動で戻りターンテーブルが止まります。 これは簡単で使いやすいと思いました。 他機と比

          リニアトラッキングプレーヤーPX-2の使い勝手

          濃い酒が飲みたい①

          ドアが開きカウンターに向かいながら、 「濃いお酒が飲みたいんです」 これが彼の第一声だった。 「濃いお酒?」 僕は聞き返した。 今までウィスキーやラムや焼酎など飲んできたが、 どうも違うらしい と教えてくれた。 そこで近所でお酒の多い店を調べ当店のHPを見つけた。 多ければ何か出会えるかもしれない。 そう思ったらしい。 濃い、と言っても味なのかアルコール度数なのか個性なのか 分からない。 HPを見られての来店だというので、当店がアイラモルトに力を 入れていることは承知

          濃い酒が飲みたい①

          レコードを良い音で聴くために②

          前記事の続編です。 プレーヤーには主に三つの要素が存在します。 本体 シェル カートリッジ 本体とはレコード盤を回転させるターンテーブルとトーンアームが 設置されたベースになる部分。 シェルはトーンアーム先端に差し込み、横から出ているレバーに 指をかけてトーンアームを操作するプレート。 カートリッジはシェルにネジ留してレコード盤溝をトレースして 音声信号を拾います。 これらが一体になって初めてレコードプレーヤーとして 機能することになります。 そして盤溝に刻ま

          レコードを良い音で聴くために②

          カセットデッキTC-K88、43年目の現状

          僕の所有物。 1981年購入。 新品で購入した物の中で5本指に入る古さを誇るこいつ。 久しぶりに動かしてみたら片方から音が出ない。 数年ほど前にかなり力を入れたメンテナンスを行い 快調に動いていたのが、他の機器に浮気などしている間に 拗ねてしまった。 ソニーのカセットデッキ TC-K88 当時は新品価格158000円 購入当時ソニーのカセットデッキとしては最高峰だった。 カセットを入れる部分が手間に開くのではなく、 スライドメカとしてブロックごと本体からゆっくりとせり出してく

          カセットデッキTC-K88、43年目の現状

          1滴でも12年

          社会人になって酒が飲めるようになると、 そこからお酒との付き合いが始まる。 高齢になって仕事は引退して縁が切れることがある。 しかし、酒との付き合いは続く。 健康上の理由で 「飲めない」 がない限り 死ぬまで一緒だ。 酒との向き合い方はそれぞれだ。 食事を美味しくするための相棒。 会話をはずませる為の潤滑。 現実を忘れたい為の逃避薬。 眠れない時の入眠薬。 明日の為のエナジー補給。 酒という嗜好品を堪能する。 ある意味人生の万能薬かもしれない。 バーというところはいろ

          戦後の酒事情

          いつの時代でも酒は必要だ。 どんなに貧しくても酒を飲みたい時はある。 戦後、物や食糧が不足していた時代。 闇市では屋台の酒場が人気だったらしい、。 安価に酒が飲める憩いの場、仕事終りに語らいの場として庶民には 無くてはならない物になっていた。 しかし、 いつの時代にも悪いやつはいる。 酒=アルコール。 アルコールには飲めるものと飲めないもの2種類存在することを ご存知だろうか? 飲めるのはエチルアルコール 飲めないものメチルアルコール 安価に酒を売る為、酒にメチルアルコ

          1粒でも1年

          普段何気なく生活していて、 「良し」 と思っていたことが、 「いけないんだ」 と気づかされることがある。 学生時代の友人数人と食事に行った時の事。 そこは肉類が売りの洋食レストラン。 洋食なのでスープを除けば殆どのメニューは 盛り付けは平皿である。 メインディッシュは大皿 ライス、サラダは中皿。 他愛もない会話をしながら食事は進んだ。 早く食べ終わった一人が、ナイフとフォークを揃えて ご馳走様合図を出した。 奇麗に食べ終わったかのように見えるそのライス皿を見て 一人が

          レコードプレーヤーの為のアンプ選び

          ご存じの通りアンプに繋げないとレコードプレーヤー単体で レコードを聴くことはできません。 アンプと言ってもメーカー、機能、性能が様々です。 結局 どれを買えばいいの? と言う疑問が湧きます。 ここでいうアンプとはプリメインアンプの事をさします。 見分け方はアンプの正面パネルに「AMPLIFIER」の印字を確認するか 背面に入力端子とスピーカー端子がそれぞれが付いているかで 判断できます。 これとは別に機能を分けたセパレートアンプ というタイプで プリアンプ (コントロ

          レコードプレーヤーの為のアンプ選び

          43年目レコードプレーヤーパイオニアPL-50Lの行く末

          2024年今年で43年目を迎えました。 新品購入したPL-50L。 昨年YMOの坂本氏と高橋氏の逝去時に追悼再生したのが最後です。 その後2の故障が発覚。 PL-30L/30LⅡ PL-50L/50LⅡ PL-70L/70LⅡ パイオニアのこのシリーズはベストセラーと言っても過言ではない くらい良く売れたようです。 当時は販売状況などは分かりませんが、2000年頃にヤフーオークションが スタートすると、かなりの出品数が見受けられる様になりました。 現在でもその傾向は続いてい

          43年目レコードプレーヤーパイオニアPL-50Lの行く末

          1円でも1時間

          若きサラリーマン時代にちょくちょく先輩に飲みに連れて行ってもらった。 先輩と二人きりの場合は大体居酒屋一軒で終わりだ。 金曜日などの場合に上司が居たりすると二軒目は必ずスナックになる。 これは結構苦痛だった。 無礼講だがカラオケをやって盛り上がるだけ。 車通勤の方もいる為職場のグループチーム全員で飲みに行く機会は 少なかった。 そのせいかみんなが集まると皆テンションが高くなる。 カラオケ課長や盛り上げ部長は決まっていてハイペースで お酒を勧められる。 今では明らかにパワ

          カセットテープを聴こう

          昨今、アナログオーディオ人気が再燃している記事などを見かけます。 特にレコードに人気があるようです。 渋谷には大手とは別に小さなレコードショップがあります。 昨年久しぶりに渋谷に行く機会があり、かつて中古レコードショップが あった界隈を歩きました。 僕が初めて輸入レコードを買ったCISCOは無くなっていました。 レコードの話を振っておいて実はカセットテープが本記事のテーマです。 どうしても、捨てられないのですよ。 カセットデッキ。 高校時代にアルバイトをして買ったカセッ

          カセットテープを聴こう