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丁寧に日常を生きること

平成15年11月に新潮社から刊行され、平成19年8月に文庫化された堀江敏幸氏の短編集を、連休中に読み終えました。

小さなレコード店や製函工場で、時代の波に取り残されてなお、使い慣れた旧式の道具たちと血を通わすようにして生きる雪沼の人々。廃業の日、無人のボウリング場にひょっこり現れたカップルに、最後のゲームをプレゼントしようと思い立つ店主を描く佳品「スタンス・ドット」をはじめ、山あいの寂びた町の日々の移ろいのなかに、それぞれの人生の甘苦を映しだす川端賞・谷崎賞受賞の傑作連作小説。(Amazon内容紹介より)


雪沼(作者が作り上げた架空の地名)を舞台に、閉鎖されるボウリング場の主、亡くなった料理教室の女主人の思い出、レコード屋を引き継ぐ中年の男、息子を亡くした書道教室の夫妻などの話が語られるオムニバス形式の作品。

誰でもそれぞれが傷をもち、過去を負いながら、それぞれの日常を生きている田舎町の人々が、自分ができることをどうにかこなしながら生きてきた、それなりの重み、温かみがあることを改めて感じました。

8つの物語は雪沼という田舎町の中で所々つながっていて、人の繋がりを恐れる現代社会のなかで人間らしく生きていくあり方を示しているようです。

田舎町に生きてきてそれほど重要とは感じていなかったけれど、今この日本にいちばん足りないのはそれぞれが丁寧に日常を生きることや、純粋に自分のことを考えるよりも隣にいる人のことをまず思いやることができる社会なのかもしれません。

今日も読んでいただき、ありがとうございます。

体調が思わしくなく、文章も拙いこと、ご容赦ください。


いつも読んでいただき、ありがとうございます。これからも励みますね。