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ホームステイはビジネス、夢を見てはいけない ①

こんにちは、バーバです。初回では家の前までたどり着いたとこで終わってしまったのでやっと本題に入りたいと思います。

どんな家庭なのかはブラックボックス

さて、やっと家の前まで来たけど俺のホストファミリーはどんな人たちなんだろう?実はこの疑問は扉を開けるまで解決しない。ほかの国ではどうかは分からないが、少なくともカナダではホームステイの際に事前にこちらから家庭の希望を伝えることはできない。どうしてかというと、人種や性別の要望を出すのは差別だと捉えられてしまうかららしい。
だから実際に会うまでは、白人なのかアジア人なのか黒人なのかは本当にわからない。ただ、アレルギーは生死に関わる重要な問題なのでペットの情報だけは前もって知ることができる。俺が事前に渡された資料には [ Fish ]とだけ書いてあった。食うわけじゃないんだから魚はアレルギー関係ないだろ。とツッコみたかったがぐっと抑え、これから始まる生活に少しの緊張と大きな期待を抱いて扉をノックした。

衝撃の家族構成

前回の投稿でも書いた通り、俺は賑やかな大家族を想定していた。やんちゃな子どもたち、それに手を焼く両親、一緒に子どもたちとゲームをしたり日本の文化を教える俺。ガラにもなく3日前に折り紙も買って手裏剣を折る練習なんかもしていた。しかし、ドアを開けるとそこにいたのは、おじいさん1人とおばあさん2人。え?ちょっと待ってくれ、脳内の処理が追いつかない。なんだこのトガり散らした家族構成は!?まず誰と誰がペアなのか教えてくれ。
いやそんなことはどーでもいいわ。とりあえず落ち着いて受け入れて自己紹介しなきゃ、と思って気を取り直して挨拶をすると、家の案内をしてくれるという。よし、その間になんとか気持ちを落ち着かせよう。と自分を納得させてリビングを歩いていると水槽が目に入った。何がいるんだろうと思ってのぞいてみると、カメが一匹。カメはフィッシュじゃねーぞいい加減にしろ!

ホームステイというよりアパルトヘイト

ひととおり洗濯機の使い方やシャワーの出し方、その他もろもろのハウスルールなどを聞き終わると、階段で別の階へと案内された。なんと、この家では地上階では家族が住み、地下階ではいろんな国からの留学生が4人もステイしていると言うのだ。それを聞いて俺のテンションはもとに戻った。
やった!その人たちと仲良くなればいいや!だがまだどんな人たちかはわからない、油断は禁物...と思っていたが挨拶しにいったらめちゃめちゃ明るくていい人たちばっかりだった。ブラジル、メキシコ、ニュージーランドからの留学生で男1人女3人。男はめちゃ気さくでいい奴だし女の子たちめっちゃ美人で最高!と思ったのもつかの間、ホストマザーから衝撃の一言が発せられた。
ノーノー、あなたはここじゃないのよあなたは外の別の建物。」え?なんだ?聞き間違いか?だって庭に他の家なんてなかったぞ、と不安になりながらマザーの後をついていくとマザーは俺が物置だと思っていた汚い小屋を指さした。「あなたはあの部屋。」

ホームステイはビジネス

今だから分かることではあるが、カナダではホームステイというのが一つのビジネスモデルとして確立されている。決められた期間部屋を一つ貸し、朝晩の食事の提供さえ遵守していればその他の待遇は完全にホスト側に一任されている。日本でもしホームステイを受け入れた場合、自分の家に住まわせている間はいろんなとこへ一緒に遊びにいったり文化を教えてあげようとできるだけ努めるという感覚の人が多いと思うが、ここは外国。ホスピタリティではなくただのビジネスという意識が強い。そんなわけで俺は小屋での生活を余儀なくされた。

寒暖差

小屋に入ってみるとかなり肌寒い。窓が割れて外気が入ってきていることに気づいた。8月まで日本にいた俺は、35℃の蒸し暑い世界からカナダに来たせいもあり見た目の数字以上に寒さを感じていた。ホストファミリーに暖房器具をくれと頼んだが「まだそんな季節じゃないわよ。」と一蹴された。時刻はもう夜の10時を回り、これ以上起きていても無意味だったので布団にくるまって寝ることにした。
しかし翌朝、俺はがちがちに震えながら目が覚めた。時刻は4時、気温は10℃。寒い、寒すぎる、外で寝てるのと変わらない。ファミリーが起きるのを待ってまた突撃し暖房をくれと直談判したところ、「だから、まだそんな季節じゃないわよ。」と同じ台詞を吐かれた。ただ一つ違ったのは、マザーはもっこもこの羊みたいなセーターを着てミネストローネを飲んでいた。寒いんじゃん。


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