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[人生にはBarが必要だ] 第15回 松山 Barゆめまぼろし

今日は四国愛媛県の中心都市であり、道後温泉・夏目漱石でも有名な松山市へ出張。仕事を終えて、松山の歓楽街の一角である一番町でまずは腹ごしらえ。

松山市一番町 大平寿司

いつもお伺いしている大平寿司本店の暖簾をくぐると、ストレートに伸びるロングカウンターはすでにお客さんで満席。事前予約を入れていたので辛うじて座ることが出来たが、ぜひ予約をお勧めする人気店だ。

大平寿司にて厚切りの鯛の握り

愛媛の名物である新鮮で厚切りの鯛など至極の握り寿司だけではなく、天ぷらや鰻などメニューも豊富で、しかもどの料理も実に美味しく、お酒もついつい進んでしまう。また、大将をはじめ、お店のスタッフ皆さんがとても気さくで家族的な雰囲気かつどこか昭和の良き時代の雰囲気が一日の疲れを癒してくれる。

寿司を摘まんだ後は、お約束のBar巡りだ。深夜まで賑わうネオン街からは少し離れた場所に、まさに時代劇に登場しそうな白壁蔵が姿を現す。1993年創業の老舗バー「ゆめまぼろし」。店名はもちろん信長が出陣前に舞ったと言われている幸若舞曲「敦盛」の一節から引用したものである。

Barゆめまぼろしの織田信長の当世具足写

ちょっとヒンヤリとしている建物内にある階段を昇りきると、まず目に飛び込んでくるのは威風堂々とした織田信長の当世具足写。まるで歴史博物館にでも来ているような気分のまま店内フロアへと進むと、天井には龍が描かれ、バックバーにはガラス越しに生竹がレイアウトされ美しい竹林が表現されている和の空間が広がり、まさに絢爛豪華、戦国武将 織田信長の世界感でお客様の度肝を抜く。

Barゆめまぼろし ロングカウンター

口開けでお客さんがまだ誰もいないロングカウンターへと歩を進めると、スーツにネクタイが似合うバーテンダー、浅岡温世女史が「ふるさん、いらっしゃいませ。」と丁重に迎えてくれる。バックバー上部には見事な「敦盛」の一節が掲げられている。

浅岡さんはOLからバーテンダーの世界へ足を踏み入れ、日本バーテンダー協会全国バーテンダー技能競技大会にて2004年、2005年部門優勝(フルーツ)をはじめ数多くの入賞経験を持つ実力派の女性バーテンダーである。カウンター席に腰掛け、まずは「マダムロシャス」を注文。ここ四国愛媛では「カシスグレープフルーツ」をこう呼び、これが高知のBarだと「マダムローズ」と呼び名も変化する。

Barゆめまぼろし 浅岡 温世さん
カクテル:信長

そして次にオーダーしたのが「ゆめまぼろし」の名物カクテルである「信長」。このBarの創業者である井上マスターのオリジナルであるが、私の目の前には大盃が運ばれてくる。わざわざ説明するまでもないだろうが酒器の一つであり口が朝顔形に開いた器。大相撲の優勝力士が立派な朱塗りの大盃にナミナミと酒を注ぎ飲み乾す場面や、戦国時代をテーマとしたドラマでは武将達が様々な場面で実に粋で味わい深く盃を傾ける姿が映し出されているため、誰もが知る酒器ではあるものの実際に大盃でお酒を呑むことは決して多くはないであろう。

カクテル:信長

ウオッカ、清酒、そしてグレープフルーツを主材料としてレモンとシャンパンで味を調えたカクテル「信長」。「バーで大盃を傾けるなんて何だか夢を見ているようですね」と話すと、「もしかしたら『ゆめまぼろし』かもしれませんよ」と洒落っ気タップリに切り返され思わず二人で笑ってしまう。松山の夜も旨いお酒と豊かな会話で盛り上がりそうである。

人生にはBarが必要だ。

Bar ゆめまぼろし
〒790-0001 愛媛県松山市一番町1丁目6−12 夢想庵ビル 2F
電話番号: 089-931-8638

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