水族館でアルビノを見つけて思ったこと
純白の体に赤い目を持つスノーホワイトシクリッドは、悠々と水をかき分けて進んでいた。カラフルな魚がひしめく水族館の水槽の中でも、それはひときわ目を引いた。
スノーホワイトシクリッドはアフリカ・マラウィ湖原産の小型シクリッドを品種改良したもので、元々黄色の原種がアルビノの白色になるように改良されたようだ。アルビノとはメラニンの生合成に関わる遺伝子の変異によりメラニンが欠乏した個体で、体が白化する。外敵から発見されやすいため、自然界での生存はまれなようである。
僕ら動物は、父方と母方から受け継いだ2倍体のゲノムを持つ1つの受精卵から発生し、すべての細胞が基本的には同じ遺伝情報を持つ。この事実は生物学における基本であるが、実際に生物を構成する細胞は多様で遺伝子発現も異なるパターンで調整されているため、それを実感する機会は少ないように思う。アルビノは、ゲノム情報の変化が体全体の体毛、皮膚、虹彩、瞳孔にまで一貫した変化をもたらすことを、視覚的に教えてくれた。
参考文献
アルビノ - Wikipedia
スノーホワイト・シクリッド - アクアリウムWiki (aqwiki.net)
スノーホワイトシクリッドは、アフリカ・マラウィ湖原産のアルビノの小型シクリッド。体は白く、赤い目を持つ。アルビノはメラニンが欠如する遺伝子の変異により発生し、外敵から見つかりやすいが、遺伝情報は1つの受精卵から来るため、基本的に同じ。アルビノはゲノム情報の変化が体全体に影響を与え、生物学の基本を示す。