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ディズニー急落、ストリーミング黒字化は前途多難Disney Stock Tumbles. CFO Says Road to Profits in Streaming ‘Is Not a Linear One.’ガイダンスは期待外れ

インドでクリケットの放映権失う

ウォルト・ディズニー<DIS>の株価は7日、四半期決算で経営陣が動画配信部門の期待外れのガイダンスを示したことで大幅下落し、9.51%安の105.39ドルで引けた。

ダウ・ジョーンズ・マーケット・データによると、これは2022年11月9日(13%安)以来の下落率。ディズニーの株価は、過去3回の決算発表後は値上がりしていた。

エンターテインメントとスポーツ番組のESPN+(プラス)を合わせたストリーミング消費者直接(DTC)部門は、第2四半期(1~3月)の赤字幅が1800万ドルと前年同期の6億5900万ドルから大きく縮小した。エンターテインメントDTCは4700万ドルの黒字を計上したものの、ESPN+は6500万ドルの赤字だった。

ディズニー+のコア有料会員数は1億1760万人で、市場予想を上回った。


BRIAN CARLSON/BLOOMBERG

ディズニー+のコア有料会員数は1億1760万人で、市場予想を上回った。

ヒュー・ジョンストン最高財務責任者(CFO)はコンファレンスコールで、「長期的な黒字化への道のりは直線的なものではないが、ストリーミング事業が進展していることに満足している。ただ、第3四半期のエンターテインメントDTCは損失を計上する見込みだ。損失の大部分は、ディズニー+ホットスターによるものだ」と説明した(訳注・ディズニー+ホットスターはインドなどで配信しているサービスで、ディズニーはインドでクリケットのプレミアリーグの放映権を失い、加入者が激減していると報じられている)。

ジョンストン氏はまた、「第3四半期はディズニーのコア加入者数の伸びは期待できないが、第4四半期には増加に転じるだろう」と述べた。ディズニーは第4四半期にもストリーミング事業の黒字化を見込んでおり、翌年度には黒字幅を拡大したい考えだ。

テーマパークは堅調

第2四半期の1株当たり利益(EPS)は1セントの赤字だった(前年同期は69セントの黒字)。スター・インディアとエンターテインメント・リニア・ネットワークに関連する20億5000万ドルの引当金を計上した。

調整後EPSは1.21ドル(前年同期は93セント)で、市場予想の1.10ドルを上回った。売上高は1%増の220億8000万ドルだったが、予想の221億2000万ドルには届かなかった。

通期の調整後EPSのガイダンスは25%増と、予想の20%増を上回った。

ディズニーはこの夏から、動画配信のパスワードの使い回し防止を強化する方針。

業界をリードするネットフリックス<NFLX>は昨年、同様の決断を下した。ネットフリックスは直近の四半期に予想以上の新規加入者を獲得したが、来年以降は加入者数の開示をやめるという。

ディズニーの重要なイクスピアリアンス部門(テーマパーク、体験施設、消費者向け製品など)は第2四半期は堅調だったものの、第3四半期の成長は緩やかになりそうだ。第2四半期の営業利益は12%増加したが、第3四半期は横ばいになる見通し。

「物言う株主」に勝利

ビーオブエー・セキュリティーズのアナリストチームは、ディズニーの評価を「買い」、目標株価を145ドルに設定した。

同チームはリポートで、「ディズニーはテーマパークだけでなく、コンテンツや知的財産でも業界最高のプレミア資産を保有している。短期的には、戦略的優先事項への取り組みが強化され、DTCの収益性の変化にも期待できる」と書いた。

TDカウエンのアナリスト、ダウ・クルーツ氏とメイ・ラン・クアチ氏は、「ホールド」の評価は維持したものの、目標株価を100ドルから108ドルに引き上げた。両氏は、第1四半期(10~12月)の決算で高いハードルが設定されたと指摘した。

両氏はリポートで、「決算発表後に株価が下落したのは、前四半期との厳しい比較によるものだ」と書いた。

7日は株価が大幅下落したものの、年初来ではまだ16%上昇している。これは、ディズニーが先月の株主総会で、ネルソン・ペルツ氏ら「物言う株主」に勝利したことが理由の一つだ(訳注・ペレツ氏は取締役2人を送り込もうとしたが、総会は否決した)。

原文: By Emily Dattilo
(Source: Dow Jones)
翻訳 :時事通信社

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