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🦉⚾️2018年~夢のまだ途中・文武両道 筑波大学の挑戦~

勝ち続ける組織へ
2018年、12年ぶりに全国大会出場の切符を手にした筑波大。同リーグ3年連続の神宮大会出場の快挙となる。同大学はリーグ唯一の国立大学であり、他大学と比べると推薦入学者も限られる。この年、投げては村木文哉(静岡)と加藤三範(花巻東)の二枚看板。そして彗星のごとく現れたルーキー佐藤隼輔(仙台)。打っては、種子島(膳所→筑波大学→現:日立製作所)や中島(鹿島→筑波大学→現:Honda熊本)の強打者を引っ提げ全国の舞台に挑んだ。
今回は組織力をキーワードに、全国出場までの歩みを辿る。


筑波大の三本柱・村木文哉×加藤三範×佐藤隼輔

筑波大の強さに欠かせないもの。それは強靭な精神力を誇る3投手だ。

長身エース・村木 文哉
1年春よりベンチ入りを果たし、リリーフで登板。同秋よりリーグ戦中盤から先発を担う。翌年の2年春から先発1番手としてチームを牽引。首都リーグ通算17勝9敗。防御率2.41の成績を残す。同秋に、関東大会準優勝。同大会で敢闘選手賞を受賞。全国大会では1回戦・近畿大学戦に先発で登板。6回を1点に抑えたが、追撃及ばず1-2で惜敗となった。
大学3年次は春のリーグ戦で6勝を挙げ、ベストナインを受賞。ところが秋季リーグ戦では不調に陥った。最終学年である今年、村木の力投に期待が寄せられる。

村木 文哉 投手


救援の騎士・加藤 三範
村木とともにWエースとして挙げられるのがこの加藤だ。村木同様、1年次より登板。以後、救援左腕としてチームの勝利に貢献。2年秋にはベストナインを受賞。大学日本代表候補の強化合宿に召集された。3年次は怪我の影響もあり、1年間マウンドに立つことはなかった。ラストシーズンを迎える今年、誰もがその復活を心待ちにしている。

加藤 三範 投手


加藤 三範 投手 関東大会出場時


プロ注目最速151㎞左腕・佐藤 隼輔
首都リーグを代表する左腕の代名詞。1年秋からリーグ戦に登板し、村木に次ぐ先発として起用。5試合25回を投げて無傷の3勝。防0.00の成績を残した。関東大会準決勝までは31 2/3回を無失点に。同秋から翌年春(2年次)にかけては44 2/3回連続0封の好投を披露した。大学2年次には日本代表にも抜擢。彗星のごとくあらわれた左腕の進撃はまだまだ止まることを知らない。

佐藤 隼輔 投手

大器晩成型捕手・島 実沙樹

筑波大は数多くの捕手を抱え、その競争は激しい。過去に主将をつとめた三木(2016年度卒)や松谷(2017年度卒)を筆頭に、同学年で主将であった福永。そして1学年下には経験豊富な髙瀨がいる。島はじっと根を張り、ようやく3年の春季リーグ戦で日の目を見ることになる。4年次には髙瀨と2人制で挑むが、秋に髙瀨が怪我で離脱。1人で筑波大のホームベースを死守することになる。過酷な状況の下、晴れて全国の舞台に立ったのだ。

島 実沙樹 選手

現在は地元富山に戻り、富山国際大付の野球部の監督に就任(2019年~)。
教え子が筑波大はじめ首都リーグのチームに進学し、活躍する未来もそう遠くないだろう。

筑波大屈指の最強スラッガー 種子島大輝×中島準矢

筑波大を語るには、2人の存在が必須だ。種子島大輝(膳所高校→筑波大学→現:日立製作所)と中島準矢(鹿島高校→筑波大学→現:Honda熊本)だ。チャンスに強く、筑波大の得点源である。彼らの活躍こそ、勝利に直結しているといっても過言ではない。

種子島 大輝
1年春よりリーグ戦に出場。3年春までに3度のベストナインを獲得。2年次秋の受賞の際、トロフィーを破壊し話題になった。本人に曰く、最初から壊れていたとのこと。 2017年には大学日本代表侍ジャパン候補に選出。現在は日立製作所に進み、内野手としてプレー。

種子島 大輝 選手

中島 準矢
右の強打者といえば、中島の名前が挙げられる。大学3年次より、内野手から外野手へコンバート。臨機応変に対応し、レギュラーに定着。内外ともに守れるスキルが武器となった。4年次の関東大会では一塁手で出場。対 神奈川大戦では中島の一振りにより全国出場を決めた。現在はHonda熊本にて外野手としてプレー。

中島 準矢 選手(関東大会・本塁打を放ったシーン)

苦難を乗り越え・川﨑 朝太

知る人ぞ知るだろうか。筑波大には三本柱以外にも、支柱となった投手がいる。それが川﨑朝太(ともひろ)だ。1年次より常時140㎞をこえる速球を投げ込んだ。鳴り物入りの右腕だったが、制球が定まらない苦しい時期があった。しかし、見事その壁を乗り越え復活を遂げた。関東大会での登板はとても感慨深いものがある。
現在はどんどん北上し、JR北海道硬式野球部でプレー。今後の活躍に期待が高まる。

川﨑 朝太 投手

筑波大のスピードスター・星 貴裕

3年春よりレギュラーに定着。俊足俊敏な身のこなしに定評があり、首都リーグを代表する遊撃手としてその名が挙げられる。守備や走塁のみならず、打撃力も申し分ない。4年間でベストナインを逸するも、その身体能力の高さはトップレベルだ。現在は三菱重工神戸・高砂でプレー。2019年の都市対抗にも出場し、注目が集まる。

星 貴裕 選手

影の司令官・福永 大貴

先述したとおり、筑波大の捕手のレギュラー争いは激しい。福永もその中の1人だった。3年春に代打で出場。その後も代打や指名打者などで出場し、チャンスを模索してきた。全国大会でマスクをかぶる夢は叶わなかったが、最後までチームを牽引してきた。近畿大との試合後、最後の挨拶で誰よりも深く一礼をした姿が印象に残る。

福永 大貴 元主将

筑波大のホープ・上中尾 真季

この年の筑波大の新1年生は逸材が揃った。先ほど紹介した佐藤隼輔(仙台)、片岡心(報徳学園)、そしてこの上中尾真季(敦賀気比)だ。1年秋に右翼手でレギュラーに定着。打率0.323の成績を残し、ベストナインを獲得。関東大会、全国大会でもその勢いは衰えず上々のスタートを切った。
しかし翌春、上中尾に悲劇が起こる。リーグ戦を間近に控えたオープン戦で、大けがを負ってしまったのだ。2年次の1年間、上中尾は仲間に声援を送りながら静かに過ごした。
そして迎えた今年、3年目の春。1日でも早く打席に立つことを願うばかりだ。

上中尾 真季 選手

なぜ強い~組織力の筑波大~

全国大会まで導いた主な選手を紹介したが、筑波大の強さは個々のレベルの高さだけに限らない。その理由を私なりに考察した。

① 地域を巻き込んだ活動
筑波大は毎シーズン、牛久運動公園野球場で行われる試合をホームゲームと位置付けている。
グッズの販売を行ったり、筑波大の学生には特典もある。また、地域の人々との繋がりを強化するために試合終了後に記念撮影を行うなど、様々な工夫を凝らしている。年々盛り上がりを見せ、マスコットキャラクターも誕生。コズミくんといい、筑波大学アスレチックデパートメントに参画するチーム共通の「OWLS(フクロウ)」にちなんだものだ。昨秋のホームゲームに応援にきている。

② スタンドの団結力
筑波大のスタンドは首都リーグNo.1。断言できる。
準備のはやさ、いつでもだらけることのない真っ直ぐな姿勢。無駄な離席もない。もちろん試合に出ている選手への声援も凄まじい。歴代、このスタンスは崩されることがない。誰もが見習うべきものだ。これに筑波大応援部のWINSが加わると、大迫力の応援となる。これは首都リーグファンの私がとても推したい項目だ。

③ マネージャーへの労わりを忘れない
筑波大の声援は、自チームを鼓舞もさることながら相手チームのリスペクトも忘れない。そして、味方や相手を卑下する言葉を投げかけない。とても気持ちのいい応援である。それだけではなく、マネージャーへの思いやりも忘れない。
アナウンスに耳を傾けてほしい。アナウンスが筑波大のマネージャーが担当の試合であると、名前を読み上げた後に筑波大スタンドから拍手が起きる。私はこれを聞くたびに、何て素敵なチームなのだろうと思うのだ。


あとがき

今回は組織力をテーマに筑波大の歩みを振り返った。皆が同じ目標を共有できる環境にあること。これが筑波大の組織力であると私は考える。そして、日頃全員が相手への敬意と感謝をもっているからこそチームが輝く。その過程には多くの葛藤や意見の食い違いもあっただろう。

夢のまだ途中と表記したのには理由がある。それは、優勝を手にしていないからだ。もちろん2位も素晴らしい成績である。しかし、彼らはそれで満足をしていない。優勝したい、1番になりたい。悔しい。その思いを何度も聞いてきた。平成28年度から3季除いて全て2位。全国大会出場を決めた関東大会でも、創価大に敗れ2位となった。

あと一歩、あと少し。何度その場面に遭遇してきただろう。激戦の首都リーグは今後も見逃せない。どのチームもだが、必ずや筑波大が頂点をとりにいく。

補足

今回は2017年の筑波大のまとめを更新させていただきました。
筑波大で最も欠かすことのできない立役者として、2019年度卒の篠原涼元主将がいます。
今回は篠原元主将を書き綴っておりませんが、もちろん最強の戦力であり、勝利の鍵です。篠原元主将につきましては以下の記事をご確認いただければ幸いです。


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