近年、球場で一眼レフを構える女性が増えました。彼女たちは試合を見て楽しみ、撮って記録に残すことを喜びと感じています。

カメラ女子といえる年齢でなくなった私ですが、今現在も野球を撮り続けています。記憶に留まらず、自分の力で一瞬を残せることに嬉しさを感じています。

近頃SNSが発展したことも相まって、作品を発表する機会も増しました。その中で、カメラを構える皆さんの悲鳴が、時折聞こえてくるのです。

こんな気持ちを抱いたことはありませんか。心当たりはありませんか。これは、過去の私を指しています。今でこそ自分のペースを貫いていますが、色々な思いを抱き、潜り抜けて今に至ります。私が経験してきたことを通して、少しでも気持ちがラクになるならと、今日は筆をとっています。

伝えたいことは主に五つです。

好きなことに苦しむのではなく、どうやって楽しんでいくか。そのためには、どういう心持ちでいたらいいか。気持ちがラクになり、大好きな撮ることを続けてほしいと私は願っています。少しでも誰かの心に届いたら。今、そんな思いが頭を巡っています。

カメラを手にした理由

皆さんが一眼レフを手にした理由はなんでしょう。自分の好きな選手、チームを撮りたい。憧れのカメラ女子がいて、その人のようになりたい。撮ることで、選手と交流を持ちたい。誰かに褒められたい。様々な理由があったでしょう。

私は、野球ライターのお手伝いをすることになったことがきっかけです。必要にかられて購入したカメラですが、今では私の大切な相棒となりました。カメラを買ったときのワクワクした気持ちは、今でもはっきりと覚えています。これからどんな瞬間が残せるのだろうと、喜びで満ち溢れていました。

褒められるのが嬉しい

写真を撮り続けるといわゆる『需要』が生まれます。皆さんも選手本人やご家族、その友人から喜ばれた経験はないでしょうか。そんなとき、とても嬉しい気持ちになりませんでしたか。

私は、今でも誰かに褒められたら嬉しくなります。もっと良い瞬間を残したいと、考えるようになります。そのために練習を重ね、撮り方に工夫を凝らします。写真を撮り続けられることの原点は、誰かに自分の技術を認められること。写真に限らず、全てのものにいえます。学校の成績とか仕事ぶりとか評価されたら嬉しいですよね。それと同じではないでしょうか。

褒められたいという気持ちは、誰もが持っている当たり前の気持ちです。他人の評価だけを気にして生きるべきではありませんが、これはごく通常の欲求であるということは心に留めておくとラクになるかもしれません。

自分の存在意義を考える

好きで始めたことなのに、途端に苦しくなる。それは、自分の存在意義がわからなくなったときでした。カメラを構える女性も増え、自分以外の人も記録を残せる状況に立たされたとき、自分の存在を見失いました。

あれ、私が残さなくてもよくないか。

後にこれが大きな誤りと気が付くまで、私は苦しみました。別に自分が撮らなくても、もっと上手な人がいる。その人が撮っていれば、私なんていらないのではないか。そんなふうに自分を認めることができなくなりました。しかし、それは大きな勘違いなのです。

あなたは、何のために撮っているの。

原点回帰を試みました。なぜ、私はカメラを構えるのだろう。もちろん、誰かに褒められるためというのも立派な動機です。ただ、全ての評価が他人任せになると必ず壁にぶつかります。大切なのは自分がどうしたいか。まず、自分が己を認められないことには始まらないのです。自分の将来を他人に委ねるでしょうか。最後は自分で決めるでしょう。それと同様に、方向性や理由は、自分が決断するものなのです。

私にしか撮れない作品があるように、あなたにしか撮れない瞬間があります。だから他人と比べず進んでください。自分が残さなくてもいいなんてことはないのです。誰も、あなたのかわりはできません。

批判を受けたとき、考えること

いわれのない批判を受けた経験はないでしょうか。選手とつながるために撮っている。撮ってやっているっておごっているのではないかなどなど。嫉妬からくるもの、指摘を受けたもの。様々なものがありました。

批判を受けると、とても悲しい気持ちになります。同時に、いわれのないものであれば怒りの感情も芽生えてきます。そのときに、一旦落ち着いて考えることを心がけています。批判とは、自分を振り返る良いチャンスなのです。

実は私、調子に乗っていなかったかな。

貰い事故のようなものもあります。突然刃物を持ち出して、暴れてくるようなものもあります。しかし、火のない所に煙は立たぬといいます。もしかしたら癪に障るような物言いをしていたかもしれません。言葉にこそ出さなかったかもしれませんが、とても天狗になっていたかもしれません。嫌なことが起きたら、自分を見返すことが何より大切です。人はいつでも再出発できます。私は幾度となく失敗し、それこそ知らぬ誰かを傷つけてきました。今でさえも誰かを不快にしているかもしれません。

よく、批判は嫉妬だといって、耳を傾けなくてもいいという意見をみかけます。それも一理あると私は思っています。なぜなら、いちいち反応をしていたら自分の精神がもたないからです。全てを真摯に受け止めて辛いのであれば、逃げるべきです。しかし、自分を振り返る余裕ができたら、今以上に人として成長できるのではないでしょうか。そう考えるようになってから、私も気持ちがラクになりました。

もちろん中には真っ当な指摘もあります。それは絶対に取りこぼさないようにしたいと私は思っています。間違っていることまで正当化するのは、好ましくありません。

また、批判を受けなくなったときこそ『最も恐ろしい状態』だと私は考えています。誰からも指摘をされないということは、諦められているか呆れられている証拠です。全てがありがたい言葉とも限りませんが、人からの指摘はとても貴重なのです。大人になると、誰も注意をしてくれなくなります。化け物になっても、止めてくれる人はいないのです。

人と比べない、いつだって基準は自分

あの人より上手く撮れない、私が撮っても誰も褒めてくれない。卑下してカメラを置きたくなることはないでしょうか。

バズーカレンズを持っていないので球場で肩身が狭い。そんな話も聞いたこともあります。私はそんな皆さんに伝えたいと思います。

自分は自分。人は人。

どんな高価な機材を持っていようが、どんな腕前であろうが、人は人です。先ほども書いたように、あなたの代わりは誰もいないのです。同じ場所で撮っていても、あなたと同じ作品は出来上がりません。

私の撮り方は私のオリジナルであり、誰にも真似はできない。私は自分の腕を誇りに思っています。上手いとか下手とか、技術云々の問題ではありません。初期と比較して、明らかに撮り方が変わりました。毎度成長を感じるのです。もっともっと上手くなりたい。昨日の自分より、今日の自分。いつでも比べるべきは自分です。

誰かに技術や撮り方で何かをいわれたら、よくぞそこまで他人に興味が持てるなと心で思っておきましょう。腕前はあとで絶対についてきますが、根本の人間性は一生変わりません。己の道を貫きましょう。

好きの形はそれぞれ

なぜ、全員を撮らないのですか。それって、本当に野球が好きだといえるのですか。いつの日だったか、いわれたことがあります。

カタチやきっかけってそんなに大切でしょうか。どんな理由でカメラを構えても良いのではないでしょうか。好きなチームだけ、好きな選手だけ、みんなを撮らないことがそんなに悪いのでしょうか。

他のカメラ女子みたいにできないと、否定的な気持ちを抱いている人がいました。みんなと一緒であることが、そんなに大事なのでしょうか。あなたはなぜ、カメラを持つようになったのでしょう。いいではないですか、自分の好きな道を貫いて。好きの形は人それぞれで、全てが合致することなんてありえないのです。

誰が正しくて、誰が間違っている。そんなこと一つもありません。いつも自分の気持ちに正直にいてください。撮ること、そして野球(やその選手、チーム)が大好きなのでしょう。人の『好き』をとやかくいう筋合いなどないのです。多様性を認め合い、受け入れる。そのかわり心で何を思うも自由です。相手のことは絶対に攻撃しないこと。自分と違う人だ、異なる思考を持つ人だと認め、相手にしないことです(とはいえ、異なる意見を考えてみるのは良いことだと思います)。

カメラ女子と呼ばれたくない

これも何度か聞いたことのある言葉です。カメラ女子。そんなに悪い響きでしょうか。私はみんなと違うので、一緒にされたくないです。そのように思う人もいるでしょう。もちろん思うことは自由です。ただ、一つだけ思い違いはしたくないと私は考えています。

自分が人より優れているというおごり。

作品は人の好みが強く出ます。誰かにとっては素晴らしい作品でも、誰かにとってはいまいちかもしれません。無論、自分の中で最高と思っていればいいのです。ただ、人と差別化をしたいという思いが強く出ると、誰かと比較をするようになります。あの人より私はうまい。あの人より優れている。そんじょそこらのカメラ女子なんかと一緒にされたくない。

その気持ちって、意外と顔に出るのです。表情というより、生き方や文言。細かいところでぼろが出ます。隠せないのです。

そんなに誰かより優れていることが重要でしょうか。私はかつて褒められたくて、誰かに認められたくて仕方のない部類でした。でも、生きづらかったです。とても苦しかったです。そこらへんの人と一緒にするなと思ったこともあります。しかし、全部誤りです。自分で自分の首を絞めていたのです。

人より劣っている、人より優れている。どうして人と比べたがるのでしょう。そのときは原点にかえりましょう。なぜ、自分がカメラを構えるようになったのか。

苦しみは、全て自分の意思

ここまで読んで気が付いたかもしれません。苦しみは全て、自分の意思一つなのです。最も大切にしてほしいのは、自分が楽しむことです。己の機嫌を取れるのは、己のみ。疲れたら、休んでいいのです。

この先、球場でカメラを構える女性が増えるかは未知数です。仮に増えていったとしても、絶対に卑下しないでほしいと私は願っています。自分なんかどうせとか、もう需要がないとか、考えないでください。

あなたは誰のために、何のために撮っているのか。
自分のためではないですか。

自分は自分。人は人。基本的なことですが、これが究極のスローガンです。好きなものが同じでも『価値観』が異なることがほとんどです。むしろ、それが当たり前だと思っても過言ではありません。

以前、好きなものが同じ者同士が仲良くなるのではなく、価値観が似た者が仲良くなれると書いたことがあります。カメラ(写真)の世界も同様ではないでしょうか。無理に人間関係を構築する必要はないのです。

好きなものをずっと好きであるために

好きなもののパワーは凄まじいです。人生を彩り、一層楽しくなります。だからこそ、疲れたときは潔く休むことが重要です。

ずっと好きでいるってなかなか難しいのです。矛盾しているようですが、細く長く楽しむための秘訣です。24時間365日、支配されなくていいのです。野球とカメラを楽しむために、人と比べないこと。何かをいわれたときは、気にしすぎない程度に自分を顧みること。何より、自分のペースで動くこと。

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球場でカメラを構える女性陣は、様々な悩みを抱えています。その多くは人間関係です。カメラや写真、野球で思い詰めているわけではありません。

SNSが発展してきたことで、誰でも気軽に写真を載せられるようになりました。多くの人に作品を見てもらう機会も増えました。だからこそ、人のいいね数や反応が気になってしまいがちです。

いいねの数や、コメント数で全ての価値は図れません。一定の指標にはなりえますが、それだけではないのです。いつだって自分の気持ちが優先です。

褒められることや、認められることは喜びに繋がります。人生も豊かになりますし、自信を持つこともできます。ただ、他人の評価だけを気にして『頑張る』状況に陥ると、途端に崩れていきます。人に舵取りをさせる状態になるので、自分の思う人生を歩めなくなります。

私はカメラを構えて、多くのことを学びました。撮る技術だけではありません。人との付き合い方、マインド。心の持ちようや、多様性を認めること。撮影以上に大事なことを吸収しました。

今日に至るまで、たくさんの失敗を重ねてきました。天狗になったこともありますし、人と違うと思いたい自分もいました。今でさえ成功しているとは到底思えません。

多くの人に迷惑をかけ、助言をいただいてきたからこそ、今も好きなことを続けていられるのだと思います。そして、いわれのない文句をいってきた人々は消えていきました。好きを持続できなくなった何かがあったからかもしれません。ライフスタイルが変化したからかもしれません。一ついえるのは、他人を蹴落とすことに時間をかけた人々は、自分を成長させる機会を失ったということ。だからこそ、自分に向き合うことが大切になってくるのです。

他人を羨むこともあるでしょう。気にいらない人も出てくるでしょう。しかし、そのときに絶対に攻撃してはいけません。人と張り合い、文句をいっても自分自身の進化を止めるだけです。そういう人は、数年のうちに消えていきます。

なぜなら、好きを持続させる努力より他人を潰し、見下すことに時間をかけすぎて、自己の能力を伸ばすことができないからです。本来持っていた目標を忘れるからです。力が身につかなければ面白くない。だから去っていくのです。

自分の『好き』という気持ちを大切にしましょう。人と比べない。たったそれだけで、救われます。好きなことをしているあなたは輝いていますよ。これから先も細く長く、続けられますように。疲れたら少し休んで、また動きましょう。せっかく出会えたカメラという趣味(もしくは職業)なのですから。心が健やかな方が、素敵な写真が撮れますよ。絶対に。

あなたは写真が好きですか。私は大好きです。
間違いなくこれから先もずっと。