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【ライト・ヴァーシズ】

 百回話に
 聴かせてあげやう
 己のあほだら経 -

薄い珈琲だが
ないよりマシだ
夜中いつもの目醒めに
独りごちてゐる

何かの巡り合はせで
詩を書く訳だから
泡のやうなポエジーでも
捕らへたら離すものか

煉獄に生きた証し
スプレー缶持つて
冬の小雨へと
そろりと出イヅル

私の紋章は
四つ葉のクローバーに赤い13
覺えといてくれ
夜は長くしつこい

アートアートアート
そしてニートニートニート
滅茶苦茶汚れた川に
蓋を下ろした行政

化学工場は
横丁の謎である
昔はよく
小爆発をしてゐた

冗談ぢやないぜ
これが所謂「郊外」だ
公害企業
下手な洒落だよ

みんなギターを弾く時代
みんな歌を歌ふ
輝けばいゝが
生け贄だ 私はくすんだ

そして赤くなり青くなり
毎日が苦しい
XXXXはあいつ
己ぢやない

XXXなどしてはいけない
流行り病ひみたいに
また毒蔦みたいに絡みつく
近松秋江がゐる!

だがそれも小康状態さ夜更け
泥水を飲み
私がとりもなほさず
生きてゐるのは輕い

ほんの輕いヴァーシズのお蔭。これを
あなたに差しあげる
キャンディ篋の如く
クラッカーの糸を引つぱり

これを。

©都築郷士



(オマケに - )

冬の雨尿シトと唱和す内は熱い

男ゐて生きたく思はゞさゝめ雪女はみんな雪女かと

瞋恚あり眼マナコに宿る部屋寒し

狂うたかたゞ泣くばかりしとゞ濡れ裸足あはれな冬の吾妹子

出任せに熨斗付け南無南無寒垢離ぢや

黙つてりや賢く見える然しまたその眞意すらも筒抜けな世だ

くにを

詩なんて個性の領域にあるものぢやないか!

筆者近影。

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