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身内がアルコール依存症:入院〜退院までの1週間に起きたこと②

今書き起こしながら、たった1週間前のことをよく覚えてないなと思いました。人の記憶は風化していくものです。
やはりここで記録を残すことも、今後の振り返りのためにいいかもしれないと思います。
ちなみに、私は今すべてを諦めております。兄のアルコール依存症の治療、肝硬変の治療、すべて諦めました。
家族が諦めるまでの過程を見届けていただければと思います。

2日目:日常生活ができてなくても、社会生活はできる

この日は残業の後に、母と兄の家へ向かいました。もちろん家に猫がいるからです。多分猫がいなければ兄の家にも行かず、現状も把握できなかったと思います。
(別に知る必要もなかったと、今は思いますが・・・)

猫は相変わらず、家の畳で嘔吐しています。実は私も猫を飼っておりますので、これまた胸が痛みます。
餌の食べ過ぎで吐くのか、ストレスなのか・・・
ドン引きされる方もいらっしゃると思いますが、今はまだ「兄の猫」です。猫にとって劣悪な環境ですが、私ができることは、猫のトイレ掃除と餌の補充だけです。
淡々と、吐瀉物と糞尿が散らかる状態を片付けながら「1週間毎日はしんどいな・・・」と感じていました。

さらに言えば、そもそも母は潔癖のきらいがあります。猫の汚物を見るたびに叫び声を上げてしまうのです。
「もう少し人間の家らしくせねば」と思いました。

家を片付けながら、母から兄の現状を聞きました。
「どうやらネットで高額医療制度について申請したらしい」
お化け屋敷に住んでるくせに、そういう社会的な手続きは抜かりないんだな、と思いました。
難しいタイプの兄だと思いませんか?
日常は崩壊してるのに、社会的には自立しているのです。自営業なので経済的にも完全に自立できています。
だから公的サービスや支援を受けられない。
どうやら民間の家政婦を依頼していたようですが、それも金額がお高めです。(お化け屋敷に派遣される家政婦の方が気の毒・・・)
退院してきたとして、こんな生活、いつまで続けられるんだろう、と不安になりました。
この日は金曜日でしたので、土日に家を片付けるぞと意気込んで帰宅しました。

2日目の振り返り

はい、猫のお世話だけでなく、私はこの日「土日にこの家を片付けよう」と決意しました。
今思うとイネイブリングです。
お化け屋敷ではなく、人間らしい家で最期は死んで欲しい、と傲慢な考えで動いていたと思います。まさに家族がアルコール依存症患者の尻拭いをしてますよね。

兄のことは憎たらしいのですが、やはり普通の兄弟だった日の思い出もあります。血縁への感情は、白黒で決着がつかない複雑なものです。
母は私よりもつらいでしょう。赤子の頃から育てた息子が、今ではこんなことになり、部屋くらいは片付けてあげたい、と思ってしまうのもわかります。

しかし兄はかなり変わった人間です。
部屋を掃除したら、一般的には「ありがとう」ではないでしょうか?
兄は違います、おそらく烈火の如く怒ります。今は肝硬変で怒る気力は減ってるかな?でもイライラするでしょうね。そこが普通の人と決定的に違うと思います。

視点を変えれば我々家族も傲慢ですよね、汚い部屋に住むことも尊重してあげないといけないわけですよね。手を出すべきじゃなかったと今は思います。

追記:本日退院した兄は、綺麗になった部屋を見て喜んでいたそうです。きっと怒ると思っていた私の予想は大外れでした。
私と兄は、こうして思考がすれ違っています。
二転三転しますが、今は、あの部屋を片付けてよかったと報われた気持ちです。

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