アルコール依存症家族

<兄の話:12杯目>失踪への序章

台風が去った後の月曜日。
兄の様子を見に行って来た。
水曜日の調子が嘘の様に、また両手を拘束されていた。
熱がぶり返したのか朦朧としており、わたしには見えない何かの話を、聞き取れない言葉で呟き続けていた。
担当医師が不在だった為、この日は詳しいことを何も聞かずに帰宅した。

タイトルの話に戻ります。

兄は教師になりたいと教育大への入学を目指してた。
残念ながら不合格となり浪人生として2年を過ごし

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<兄の話:11杯目>わたし達が育った環境

わたし達はMゴロウ王国の所在地でもある某北国で生まれ育った。
父と母が2人で食料品店を始めた頃に兄が生まれ、その5年後にわたしも生まれた。
兄が小学校高学年、わたしが小学校1年の頃、それまで小さなスーパーの中に店を構えていた両親が、遅れてやって来たバブル景気の波に押され、店舗兼自宅を構えた辺りから父に余裕がなくなって来た様に思う。
多分に漏れず、社会に出てから”働いて家族を養う”ことの大変さが身に

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<兄の話:10杯目>嬉しい1日

先週土曜日、兄が誤嚥性肺炎にかかり、悪化すれば危ないと説明を受けていたのだが、病院から電話がかかってくることはなかった。
容体が安定しているんだなと思いながらも、不安な気持ちで毎日を過ごしていた。

昨日は仕事が早く終われたので、17時頃に会社を出て病院に向かった。
恐る恐る病室を覗くと、看護師さんが痰の吸収をしているところだった。
こんにちはと挨拶していると、後ろから担当医師に声を掛けられた。

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<兄の話:9杯目>搬送前夜

兄が病院に運ばれた前日、兄の彼女が出ていった。
出ていくタイミングを作ったのはわたしだった。
彼女は別れたと言っているので、正確には(元)彼女になる。

彼女が兄と付き合っていたのは3年くらいだと思う。
付き合っている女性がいると聞いた時は驚いた。
なぜ兄と?、と不思議に思った。
家族のわたしから見る兄と、彼女から見る男性としての兄は違うのか、いずれにしても男女の関係については当人同士の問題だし、

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<兄の話:8杯目>土曜日の電話

ケースワーカーさんが兄と1回目の面談を終えた日の翌日。
この日は土曜日で、わたしは自宅で掃除や洗濯など、平日にゆっくりできない家事に勤しんでいた。
一息ついてTVを見ていた13時頃、携帯のバイブレーションに気付いて画面を見ると、D病院からの架電だった。
平日ならば、手続きの件や治療のことで電話が来ることを想像できるが、今日は土曜日だ。
兄に何かあったのか、不安な気持ちで電話に出ると担当医師の声が聞

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<兄の話:7杯目>前に進んだと思えた数日間

見舞いに行った翌日、ソーシャルワーカーさんから電話を頂いた。
内容は、福祉事務所のケースワーカさんが話を伺いたいということで、わたしの電話番号を伝えたこと。
もう一つは、転院先の目星が付いたという報告だった。

ソーシャルワーカーさんと面談した際、わたしの連絡先を福祉事務所の方に伝えて頂いて構いません。と、元々話をしていたので、何の問題もなかった。

転院先の件は、A区A病院が受け入れ可能というこ

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<兄の話:6杯目>頑張ってます

ソーシャルワーカーさんと面談した翌週の月曜日、仕事を終えたわたしはD病院に向かった。
病院から呼び出されたわけではなく、兄の病状に進展があったらいいなぁという気持ちから見舞いに行った。
見舞いといっても、搬送から固形食を摂取していなく、また摂取できるようになったとも聞いていないので、食べ物や飲み物は持参していない。
わたしは「今日は話せるかな」と、まだ会話にこだわっている。

兄の病室に入ろうとし

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<兄の話:5杯目>戻ってこない兄

ソーシャルワーカーさんとの面談後、そのまま一緒に兄の病室がある階に戻り、今度は担当医師と3人で話すことになった。
担当医師からは血液検査の結果も問題なく、食事を取れていないので体力は落ちているが、点滴を続けて身体の方は回復していると告げられた。
問題があるのは、やはり意識障害。そして精神障害という言葉が続いた。

少し汚い話なのでご注意を。
兄は病院に搬送されて以降、自らトイレに行けない為、紙オム

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<兄の話:4杯目>ソーシャルワーカーとの面談

兄が搬送されたD病院に行った翌日、看護師長さんから電話を頂いた。
内容は、追加で記入の必要な書類があることと、ソーシャルワーカーさんとの面談の日程についてだった。

前日に担当医師と話しをした際、病院側で兄と意思疎通が取れない為、連絡が取れた家族(わたしor両親)が兄に代わり意思決定を行えるか、入院費用などの金銭的な支援を行えるかどうかを尋ねられていた。
お金の話が早々に出たのは、腫瘍治療の入院中

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<兄の話:3杯目>覚え書きという名の補足

わたしが兄に代わり署名した書類の中に、【入院診療計画書】というものがある。
”2杯目”で書いた病状や治療の内容は、医師から聞いた内容で覚えていることを自分なりに書いていたので、ここに【入院診療計画書】の一部を原文のまま記載する。
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(病名)意識障害

(症状)意識

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