見出し画像

旅の記憶 1994・夏 トルファンからカシュガルへ バス旅2日目 #3


30年前の夏
 僕は中華人民共和国 新疆ウイグル自治区
トルファンからカシュガルへ向かう
バスに乗っていた

西に向かう僕たちのバスは
何もないはずの一本道で
突如できた渋滞のため
砂漠の真ん中で止まってしまった
その先にあったのは・・・


大きな川だった


砂漠の一本道が川で分断されていた


対岸にもこちらと同じような人だかり
本来続いていたであろう道路も見えている
間違いなく数時間前までは
対岸まで道は続いていたようだ


こちら側の対岸にもこの人だかり

カシュガルに続く
国道であるこの道は
西へ向かう唯一の主要道路で
迂回路はない

分断された道路の前で
誰もがなすすべなく
ただ見守るだけに見えた

だがよく見ると
右側の人はどこか違うところを見ている
その視線の先を追うと

遠くで川を渡ろうとしている人がいる

危ないな 
何をしようとしているんだろう
と彼らの動向を
他の人と一緒に見守る

彼らはどうやら
水深の浅いところを探していたようだ
調べていた辺りはさほど深くないようで
いけると判断した彼らは
車に戻ると
強引に浅瀬を渡って行った

彼らの乗っていた車は
ランドクルーザー
走破力のありそうな
オフロード車が何台か後に続いた


対岸が少し騒がしくなったと思ったら
今度は分断された道路に
突っ込んでくるトラックが現れた


川に勢いよく突っ込んできたトラック

渡れるのか?
と周囲の人がざわつく中
勢いよく突き進んでくるトラック
川底は荒れているようで
左右に大きく揺れながらも
力強く向かってくる
最深部はタイヤが半分埋まるほどで
渡り切れるか?
とみんなが固唾を飲んで見守った


途中で止まることなく
トラックが川を渡り切ると
周りで見ていた人から
大きな拍手と歓声が沸き起こった

トラックはそのまま走り去って行く
先を急いでいたのだろう

後に続く車が現れるかと思ったが
これを見ていた他の運転手たちは
リスクが高いと判断したのか
この後は誰も川に挑もうとはしなかった


僕たちの乗っていた
オンボロバスも
この川に挑むはずはなく
僕たちはこの後も
ひたすら待ち続ける事になる
結局 僕たちのバスが川を渡るのは
日もとっぷりくれて
真っ暗になってからだった


ところでこの砂漠に突如現れた川の水
いったいどこからきたのだろうか・・・


続きはまた明日



このバス旅が気になった方は
ぜひ1日目から読んでみてください


1994年のシルクロード一人旅の様子を
当時のフィルムをスキャンしながら
写真と共に毎日公開中です。
マガジンフォローしてもらえたら嬉しいです

この記事が参加している募集

スキしてみて

旅のフォトアルバム

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?