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旅の記憶 1994・夏 フンザ ウルタル氷河を目指す




30年前の夏
僕はパキスタンの山間の街
フンザにいた


遠くに見える山に名前はついているのだろうか


この日僕たちは
ウルタル氷河トレッキングに向かう

この村は、氷河トレッキングで有名で
今調べても、いろんな旅行社が
トレッキングアーの情報をたくさん出している


実はこの時は体調がまだ復活しきっておらず
日記にもトイレに何回駆け込んだ
みたいなことばかり書いてある


トレッキング中に振り返って写真を撮っているようだが、景色はそんなに変わらない


そんな体調にも関わらず
僕は他の日本人の旅行者とともに
ウルタル氷河を見に
トレッキングに出かけている

なぜなら当時のガイドブックには
このトレッキングコースは
お手軽なハイキング的な
紹介をされていたからだ




体調が悪くても
ハイキング程度なら行けるだろうと
たかを括っていたのが運の尽き


道なき道を行く


この写真だとわかりにくいが
いざ登り始めると
かなりの急勾配と
全く整備されていない山道が続き
標高もぐんぐん上がる
これのどこがハイキング程度なんだと
悪態をつきたくなるほどのハードな山道


見よこのスケール感 全然お手軽じゃない


こんな風な岩山をひたすら登る
登山道があるわけでも
標識があるわけでもなく
どう考えても軽装で登っては
ダメなやつだったと思う


当時の日記によると
先行する元気なメンバーに
ついていくのが精一杯だったようで
何度も引き返したくなる気持ちを
騙し騙し登ったと書いてある


途中の水路は人為的に作られたもののようだ


目の前に聳え立つ山は
当然山頂までも登れるはずもないから
どこかで引き返す選択をすればよかったのに
やめ時もわからずに
あと少しだけあと少しだけと
僕は3時間ほど登り続けた


川のそばを足場を探しながら歩く


3時間と侮るなかれ
フンザの村が既に標高2400メートルあるのだ
酸素も薄く、ただ歩くのでも辛いのだ
ましてや国境越えで体力の衰えた僕には
かなりきつかった


しかも急勾配に加えて
結構な勢いで流れる川が行手を阻み
靴を脱いで川を渡らなければならないような難所もあった
目指すウルタル氷河が溶けてできた川だから
その水の冷たさといったら・・・

今思えば、ここが引き返し時だったのかもしれない
僕は帰り道ここを越えたことを
後悔することになる

続く

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