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「ベイトマンニュース」遠距離家族の在り方

26年前にイギリスに嫁いで以来、私は日本の家族とは遠く離れて暮らしていて、遠距離家族として自分はどうあるべきかをずっと考えてきました。

最初の頃はとにかくお金がかかりましたね。イギリスに越して数年は英語も話せず、いつもホームシックで、私自身が日本の家族のサポートを必要としていたので、とにかくよく国際電話をかけました。あの頃はまだ国際電話がめちゃくちゃ高かったので、格安国際電話を探し、時間を決めて、とにかく早口で必死にしゃべったり、日常のニュースや気持ちを書いて、FAXで送ったりしていましたね。そう、もうこの頃から私は状況や気持ちを「書く」ことで自分の気持ちを安定させていたように思います。

数年が過ぎて家族と離れて暮らすことに慣れてきてからも、私の状況を知らせるニュースを定期的に書く(元祖ベイトマンニュースです。)ことはずっと続けてきました。まぁそれがだんだんFAXからEメールへと変わっていきましたが。
この頃はとにかく自分が元気で楽しく暮らすこと、そしてその様子を知らせることが、離れて暮らす家族としての重要な役割やったと思います。想像もできない外国暮らしをしている娘のことを心配していた両親にとって、こうして様子を知らせ、その生活や気持ちを一緒に分かち合えたことで、少しは安心してもらえたんやないかな。
それと何としても年に一回は日本に帰る。そして帰った時には両親と一緒に旅行して思い出をつくる。あの頃一緒に旅した思い出は、私たちにとって今になっても笑いあえる大切なものになりました。

父が病気になった時にも、私が送るニュースは父の楽しみになっていたようです。そして父が亡くなるときには、姉と私は頻繁にやりとりを交わしながらタイミングを見計らって帰国し、なんと父を、父が希望していた在宅で看取ることもできました。
これは遠距離家族としては、ほんまに幸運でしたね。私自身、父を看取ることはさすがに無理やろう、と思っていたのに、父の最期の時間を家族で一緒に過ごせたことは、ほんまに私たちの宝物になりました。

さて、今年私たちがイギリスからスコットランドに移住したことで、今度は夫の家族とも離れて暮らすことになってしまいました。
そうですね。やはり子供や孫たち、両親や弟家族と離れて暮らすのは寂しいです。せっかくできた友達とも離れてしまいました。
それでも今回は移住先がスコットランドということで、頻繁に行き来はできないけれど、まぁ数時間で帰ることができるほどの距離感です。
そして国際電話やFAX時代とは違って、今ではSNSやスマホで顔を見ながら電話もできます(しかも無料やし!)。遠距離家族としては、ありがたいテクノロジーやとしみじみ思います。
それでもやはり私たちにできることは、昔と同じやと思いますね。
まずは私たち自身が元気で、楽しく暮らしていること。そしてその様子を家族に知らせること。それから定期的に連絡し、年に一度はイギリスに帰って、思い出作りをすること。

離れているからこそ想い合うことができる。私たちが元気に楽しく頑張っているからこそ、離れて暮らす家族も安心してくれる。
そして私たちがスコットランド生活で経験していることを知らせ、分かち合う。
それが私が思う遠距離家族の在り方です。

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