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【漫筆】ショートショートの練習(その5)「行動の自由を与えられた国」

Ken Tanahashiさん撮影

【ショートショートの練習】

「行動の自由を与えられた国」

大人達は子供達に伝えなかった。
子供達は知っていても大人達が内緒にしているからと知らないふりをした。
お年寄り達は生まれ育った大好きな場所と共に一緒にいることを選んだ。
大人達は親がそれを望むならと一緒にその時まで過ごすことを選んだ。
子供達も親がいなければ過酷な人生になるから。
その時まで一緒に過ごす事を選んだ。
大人達も。
子供達も。
お年寄り達も。
全員知っていた。
まだまだ未完成な所が多かったからこそ強くあり得たことを。
行動の自由を与えられた国は多様性が認められた世界。
その国は。
行動の自由を与えられ。
多様性があるから。
柔軟性があり。
強かで・・・
行動の自由を与えられた世界は。
同調と協調の天秤で揺れ動く日々。
感情が理屈を上回る事の多い日常。
右往左往し落ち着きのない毎日。
酷く。
脆くて。
弱い。
無秩序で。
アナーキー。
それを実感した朝。
どうしようもない風景が広がり。
とても不自由な国に思えた。
ただ・・・
ここしか知らず。
知らないことを知ろうとせず。
否定とか肯定とか。
そういうことじゃないと思えれば。
とても、かなしくて、優しい。
そして、温かい場所でもあった。
ふと。
こんなうたを思い出して声に出してみた。
「砂たちに行動の自由与えたら湘南海岸どうなるだろう」

【ショートショートのお手本】

「キノの旅II the Beautiful World」(電撃文庫)時雨沢恵一(著)黒星紅白(イラスト)

「90秒の別世界 短歌のとなりの物語」千葉聡(著)

「歌集 スキーは板に乗ってるだけで」(角川短歌叢書) 単行奥村晃作(著)

【関連記事】

【漫筆】ショートショートの練習(その1)「文にあたる」
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【漫筆】ショートショートの練習(その4)「未解決事件:「わたし」連続殺人事件」
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【カーニバルには日常が必要よ。】

2004年にデビューした、ボーカルの田村キョウコと、アコースティック・ギターの砂田和俊の2人ユニット。

「ちょっと暗めで、アコースティックで、歌詞が渋くて、声のいい女性ボーカル」の典型で、音的にはフォークとブルースとポップスのミックスですが、その詞世界と曲調はジョニ・ミッチェルやリッキー・リー・ジョーンズの系譜かな。

田村キョウコの、いい意味で、今井美樹が酒とタバコで喉をつぶしたようなボーカルも、抜群に素敵です。

質のいい短編小説の書き出しみたいな歌詞もかっこいい!

サンタラ「Wait,Catch & Run」

サンタラ「バニラ」

【春歌】

根源に「陽」の空気を持った歌ロックバンドです。

まさに短編小説のような仕上がりの曲ですね。

【書物めぐりの旅】

何事もそうなんだろうけど、名著、奇書、珍本・・・価値があるかどうかなんてのは、人に訊くことじゃなくて、自分で決めることで、書物めぐりの旅は続いていくはず。

また、角田光代さんの本に、本との出会いのストーリーを描いた『さがしもの』という短編小説があり、その中のひとつの短編である「ミツザワ書店」のおばあちゃんの言葉に「あんた、開くだけでどこへでも連れてってくれるものなんか、本しかないだろう。」って言葉を聴くと、やっぱり、本って、すごいもんだなあ~って、素直に感心したり(^^)

「さがしもの」(新潮文庫)角田光代(著)

日々の中で、私の中身が少しずつ増えたり減ったり、かたちをかえたりするたびに、向き合う人やもの達との関係が、がらりと意味をかえるんだろうね。

現実はドラマチックじゃないけど、まだまだ知らない世界はたくさんあります。

BGMに松岡直也氏のアルバム「見知らぬ街で」に収録されている「MIRAGE」聴いてみて♪

【参考図書】

「短篇小説講義」(岩波新書)筒井康隆(著)

「雨の中で踊れ 現代の短篇小説 ベストコレクション2023」(文春文庫)日本文藝家協会(編)

「5分後に意外な結末 赤い悪夢」桃戸ハル(編)

「5分後に意外な結末 青いミステリー」桃戸ハル(編)

「5分後に意外な結末 黄色い悲喜劇」桃戸ハル(編)

「5分後に意外な結末 黒いユーモア」桃戸ハル(編)

「5分後に意外な結末 白い恐怖」桃戸ハル(編)

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