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結束性のある文章を書くには?

文章とは、文と文が連なったものです。

当たり前?のことかもしれませんが、単に文と文が機械的につながったものは文章とは言わないんですよねぇ。

文と文が意味的な整合性を持って連続していなければならない。

文と文が意味的な整合性を持ってつながっている文章を結束性のある文章とよびます。

ここで、結束性も一貫性も文の結びつきをいうときにいいますが、以下のように説明されます(衣畑他 2011, p. 170)。

結束性(cohesion):文と文の意味的な関係

一貫性(coherence):(文章の)内部において統一した文脈を保つこと

ざっくり言ってしまうと、結束性は、ある文とある文のつながりという、よりミクロレベルの話になります。

一貫性は、文章全体の意味の一貫性ということですので、マクロレベルの話です。

例えば、「おばあさんは川へ行った。芝刈りをした。」は、”バツ”となります。

この文章はつながっていないですよね。

なぜならば、私たちは、川と芝刈りに意味的なつながりを感じないからです。

もしも、これを意味的なつながりを持った文章に直そうとするのならば。

間に何らかの文章を入れなければならないんですよね。

例えば、「おばあさんは川へ行った。洗濯をした。」なら”○”です。

一方、この文章は、つながっているからなんですね。

川と洗濯が意味的なつながりを持っているからなんです。

川には水があり、洗濯をするには水が必要だから。

また、他の例を挙げてみると、「喫茶店に入った。花を買った。」は、”バツ”です。

この文章もつながっていないですよね。

なぜならば、私たちは喫茶店と花に意味的なつながりを感じないからです。

花をコーヒーに替えれば、文章になる。

「喫茶店に入った。コーヒーを飲んだ。」なら、”○”になります。

また、分かりやすい表現は,懇切ていねいな表現とは違います。

内容をかみ砕いて易しく書き表す親切心さえあれば、“分かりやすい”表現が実現できると考えては間違います。

スピード感のない、冗長でくどい表現になり、結局、何が大切なのかが伝わりにくくなってしまいます。

たとえば、機器の取扱説明書において、こうした“ていねいさ・親切心”が発揮されれば、説明書は分厚くなり、早く機器を使いたいユーザーにもどかしさを感じさせてしまうでしょ。

「飛躍した説明を避ける」ことは、正しいのですが、だからと言って“懇切ていねい”すぎる解説であってはならない。

では、どうすればよいのか?

その答が文章表現のもつ“結束性”の利用にあります。

“結束性”とは,文には明示されない、文と文のあいだの見えない結びつきや整合性のことである。

われわれは、文章理解を行うに当たって、文に明示されていないことでも、さまざまな知識や約束事を動員して、「行間」を「埋めながら」読み進んでいます。

そのような知識や約束事によって支えられた結びつきが“結束性”なんですね。

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