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【格闘技観戦】Rizin40を見て

癌サバイバーべやっちの考える格闘技の価値

2022年は本当に格闘技にお世話になりました。闘病生活のあの無菌室で平本蓮vs鈴木千裕戦を見た経験は一生忘れないだろうし、退院後青木真也vs秋山を見て久しぶりに血が沸き立つ思いをしました。「シンプルに命をかけて戦う」それが自分の闘病している心になにかしらエネルギーを与えてくれたのは確かですし「感謝」しかないです。

今年後半は自分の格闘技を見る熱が相まってUFC、ベラトールも見始めました。MMAファンだったら絶対、絶対UFCファイトパスを購入して見た方が良いですよね。少なくともRizinだけ見るというのは格闘技ファンとしては勿体無いです。UFCファイトパスを購入して初めて見た試合はマッケンジー・ダーンvsヤン・シャオナンの戦いでした。柔術界のスーパーヒロインである美と強さを究極に兼ね備えたサーファーガールみたいな外見のダーンと中国憲法の使い手のようなヤンシャオナンの戦いは多様性を感じさせて美しかったです。

色々な価値観がありそれを「戦い」という場で相手をぶっ潰しにかかる。そしてその試合の後に両方が生きる。青木vs秋山戦は戦いまでの煽りと試合も完璧でした。あれは歴史に残る消費される事のない試合だったと思います。あれくらい消費されない試合を作るって本当に素晴らしい事でそれを見た私も生き返った感じがした。いや〜格闘技って良いですね。

Rizin40全体について思う事

ベラトール対抗戦と称して5試合ある訳ですが最初の3試合は少し勿体無い感じはします。武田光司選手はライト級の好選手で最近ではジョニーケースを破った選手ですがただまあ立ち位置的にRizinを代表してはいないと思うし、キムスーチョルはRizin代表というのはかなり強引ですがこういうちょっと半笑いになるような所をしてくるのがRizin流ではあります。堀口選手は立ち位置的に言えばどちらかと言えばRizin側じゃないのとは思ってしまいます。

寂しいのは朝倉兄弟がいない事でこれが少し影を落としております。朝倉兄弟は才能ある選手ですが癌闘病を通じてコンディション作りに詳しくなった身からみれば、少しもっと良いコンディションのトレーナーをつけた方が良い気がします。朝倉未来さんを見ていると少し首がストレートネック気味なのが最近気になります。頭痛が酷いとか手も結構怪我を重ねているので体全体のバランスが崩れているのではと危惧します。その辺のケアが雑なイメージがあって彼は賢い方で才能もある方なのでそこまで業界に未練もないようですがね。もうそこまで長く朝倉兄弟を見ることはないのかなとも思っています。勿体無いないとは思うのはファン心理ではあります。でも癌サバイバーとして言える事は自分の身体が削られても誰も面倒は見てくれません。周りの目が冷たかろうが出ない時は出ない、これが当たり前のスポーツマンシップと思います。

と思っていたら青木真也さんと柔術家の竹浦さんのVoicyで近い内容でお話しされていました。青木さんは「多くの選手は自分の短期的なパフォーマンスの向上と引き換えに健康をトレードオフとして差し出してしまっている。例えば過度な減量、水抜き、過剰なハードなスパーリングなど最たるもの。だからMMAは中々ライフスタイルとはなるのは難しいが柔術はそれが可能となる。」コナー・マクレガーは短期的にパフォーマンスを上げて一攫千金を成し遂げて悠々自適の引退生活を成し遂げています。朝倉兄弟はどちらかといえば健康を害するようなことをある程度許容しているやり方をしていると思います。

癌サバイバーとしては自分の健康を度外視して一時的なパフォーマンスを上げる事は見てて辛いしそこにSustinabilityを感じないのです。これは一般的な話にも言える事であり多くの巷にある健康論や手段は一時的なパフォーマンスを上げる事でしか結果を見ていないのです。

PPV放映はU-nextとAbemaとRizin fight passでしてどれもこれも似たような値段に設定されています。だったらRizin fight passなんぞ意味はない気がしますね。だってAbema プレミアムやU nextだったら他の番組や映画も見れる訳ですしいよいよrizin fight passなぞの存在価値がわかりませんな。で今回はAbemaのPPVを購入しました。何故かというとAbemaのアーカイブはかなり優秀で操作に慣れているのとRizin Fight Passのアーカイブがとんでもなくクソだからです。

第1試合 Yushi vs 中澤達也

第一試合はYushiの入場から始まります。しっかしYushiがここまでRizinの常連となるとは一年前は思ってもいませんでした。インスタのフォロワーを見てみたら微減していて笑ってしまいましたがフォロワーに綺麗な人とかがいてちょっと羨ましくもあります。どうも彼の客層はRizinとか格闘技を見る人というより彼の実業家としての活動が注目をされているのではと思います。生き方はとても真似できませんがそれなりに面白い人生であるとは思います。さあ今年はどういう入場を見せてくれるのでしょうかと思ってましたが相変わらずお金のかかった入場と踊りでしたがいや〜あそこまで恥ずかしくもなく踊れるのはある意味ぶっ飛んでいますよね。

試合はパンチで踏み込んだYushi選手に中澤選手の放ったハイキックが出会い頭でYushi選手にヒットしダウン。おお面白くなったと思いきやグラウンドは中澤選手見事なマグロっぷりを発揮していました。テイクダウンから終始Yushi選手がグラウンドコントロール。中澤選手は取り敢えず極められない事だけを優先し退屈なままフィニッシュ。いや〜流石にRizinのこの国際的な試合にもうYushi選手はいらなかったですね。流石にもう次はもう無しで良いと思います。

第3試合 中原由貴vs鈴木千裕

これが前座の第3試合か?と言える程良いカードだと思います。中原由貴選手は最近までシンガポールのOneに所属していてフェザー級のランキング選手でした。半ワクでコロナ禍でしれっとRizinに参戦している選手でどう見ても実力者なのですが全く影が薄い選手です。鈴木千裕選手は平本選手と対戦したものの売れず。ママ活問題があった事により平本選手にいじられ倒される事でupしてきたという不思議な選手です。ただ彼はMMAとキックの二刀流をしておりどちらもかなり完成度が高い選手です。昇侍選手にカウンター秒殺のイメージはあるもののここの所打撃も振り回すだけでなくかなりMMA用のコンパクトのある打撃になっており成長著しい選手です。鈴木千裕さんは少し天然な所があり発言が微妙に天然がかっておりその辺に対しての平本さんのいじり能力の高さは格闘技界随一だと思います。

どっちが勝っても負けてもお互いにアップになるような試合であり来年以降のフェザー戦線を占う上での良い試合だと思いました。打撃、組みともに出来てスクランブルの戦いもありどちらにも勝機もあり勝負論のあるカードでしたね。

試合は打撃はボクシングスタイルの中原選手の打撃が有効でさらにテイクダウン攻防では流石の鈴木選手は組み力を発揮してテイクダウンを取らせずの一進一退の攻防。このままいくと中原選手の判定勝ちかなという流れで撃ち合いの中で鈴木選手のパンチが連続ヒット、あっという間のノックアウト劇でした。この辺の鈴木選手の「今持っている感」が凄く出た試合だったと思います。鈴木選手は来年は上位ランカーとの戦いが組まれると思います。平本選手とともに勝ち上がって来年か今年大晦日にもう一度リマッチしてほしいものです。

第6試合 平本蓮vs X

平本蓮さんは割と格闘技を辞めてもキャラクターで食べていける人ですが格闘技大好きだし純粋な人だとも思います。私は彼のアメリカ生活の中でやっていたYoutube liveが大好きでした。


凄く人間臭い人だと思うしアーティストの感性を持っていると思うのですね。私はRizinの中で誰と飲みたいかとなったらダントツで平本蓮選手です。その面白さ、ユニークさは格闘技界の中での朝倉未来さんも重鎮青木真也さんも完全に読み違えているな、見えてないなと私は思っています。青木さん曰く平本さんは典型的なSNSファイターでファンを短期的にしかグリッド出来てない、と語っておられます。ここだけは青木さんはかなり読み違えていると私は感じています。私は青木さん信者なんですが青木さんて典型的なパチスタタイプで自分の「思想・信念・主義・主張」と相容れない人は自分の頭から除外否定しがちな人でそこが彼が感動的な試合が作れる人でもあるが逆に弱さにも思えます。型がありそこに拘る人だからこそ型にハマらない人を読み切ったり評価できたりしない人なんだと思います。

対戦相手はもう予想通りの梅野源治選手でした。それにしても良く出てきてくれましたよね、梅野選手にはそこまで得はなかったと思うのですよね。試合は体重やルールでどう見ても平本選手有利でそこいらは平本選手も梅野選手を茶化さずにリスペクトする発言をマイクでしていたのでホッとしました。

あとセコンドでシバター&久保優太が見るからにやらせ的なプロレスファイトをしていましたがこれは本当にいらなかったですね。私が思うに久保裕太さんは何を考えておられるんでしょうか、これが価値を下げる事になるとも気づかずに。

第9試合 井上直樹vs滝澤謙太

この試合も面白いカード。井上直樹選手も滝澤謙太選手も久しぶりの戦いなのですね。バンダム級は去年の大晦日が一番の盛り上がりでその後朝倉海選手が長期欠場でこのバンダム級は流れが止まっていた感があります。この一年をどう過ごしたかそれがこの一線で見られると思います。

試合は話にならない程の井上選手の圧勝。この選手なんで扇久保選手に負けたんかなと思いました。出来れば扇久保選手とのリマッチからの来年はベラトール選手との誰かとやってくれないかなと思います。ただこの選手にもう一つ乗れないのはマイクパフォーマンスをしないからですね。去年リング上の勝利者インタビューでRizinガールにボードを持たせて代わりに喋らせていましたが凄く気持ち悪かったのを覚えています。私もとても口下手ですし今もそうです。でもそれは克服できるもの。その口下手な人が思いを吐露するから感動できるのであってそこから逃げるのがどうも気持ちが悪いというか乗れないところではあります。

第10試合 伊澤星花vsパクシウ

元々チャンピオンである伊澤選手が希望して始まったこの女子スーパーアトム級グランプリでしたがやる必要があったのか、という盛り上がりでした。浅倉カンナ、Rena、浜崎朱加というこの10年くらいを支えてきた女子格闘技選手が次々と予想通り敗退していく中でこの美しい筋肉を持つコリアンファイターのパクシウが強さをアップしているのが救いでした。私思うのですがOneで計量失敗しまくって顰蹙を勝っている華があり強さもある平田樹をRizinに引っ張ってきたら良いんじゃないかな〜と思います。

この試合は楽しみですがこの試合にもし伊澤選手があっさり勝つような事があればもうベラトールかOneで伊澤さんは見たいと思ってました。勝手なファン心理ですが。だって格闘技ファンではありますがRizinファンではありませんからね。

試合は終始膠着状態でした。テイクダウンをしてグラウンドの展開をしたいグラップラーの伊澤選手と徹底的なテイクダウンディフェンスをして立ち勝負をしたいパクシウ選手。とはいえ伊澤選手もパンチ、蹴りなどが決して弱い訳ではなく切り札が多い分伊澤選手の方が有利と思っていた訳ですが結果は一度もテイクダウンは取れず。パクシウ選手のテイクダウンディフェンスの強さが優った形でした。伊澤選手からしてみればやりたい事が全くできなかった訳でその意味ではパクシウ選手がしてやったりの試合ではあったと思います。ただ立ち勝負で意外に伊澤選手のパンチが当たるシーンもありパクシウ選手も完全に取り切れた訳ではありませんでした。この試合はもうドローでよかったと思うのですよね。

ただまあ伊澤選手、パクシウ選手がこの階級では一歩抜きん出た選手になり、今後の展開はどうするのでしょうか。それこそ女子でOneやベラトールで対抗戦をやったら良いと思うのですよね。

第11試合 武田光司vsガジ・ラバダノフ

ガシ・ラバダノフ選手はあのハビブ・ヌルマゴメドフ系列の選手でベラトール歴は短いです。ちょっとわからなかったので最近のベラトールのボビー・キング戦を見ましたがトップポジションからのパスワークなどのグランドテクニックに長けている選手と感じました。武田選手はレスラーで組み力が強くラバダノフからトップポジションを取り漬ける展開にならなけれな恐らくは厳しい戦いになると思いました。スクランブルになったらあっさり一本をとる力がこのラバダノフにはあるのですよね。

1ラウンド後半にラバダノフ選手の放った右ストレートがモロに武田選手がモロにダウン。その後のラッシュでフィニッシュかと思いきやど根性で耐えて1ラウンドのゴングを聞きました。レフリーによってはここで止められていてもおかしくなかったと思います。2ラウンド以降武田選手の気迫に押されたか互角の戦いが続きスクランブルで上を取り返すシーンも見られました。判定はまあ妥当で武田選手は十分過ぎる善戦はしたと思います。ただし根性&フィジカルで勝負するタイプで観客受けはするでしょうがどこかで身体を壊すというリスクの大きい戦い方をしていると思いますね。

第12試合 キム・スーチョルvsファン・アーチュレッタ

最近のRizinの試合で扇久保選手に打投極の全てで上回り存在感を見せたキム・スーチョル選手ですが何故この1試合でrizin代表なのでしょうか。ライトファン層にとってはどちらを見てもお前誰やねん的な試合になるでしょう。ただこのカードはMMA的にはとても良いカードになると思っていて打投極が高レベルで融合できた選手であります。ファンアーチュレッタは堀口さんが出場していたベラトールグランプリに出場しているまあベラトールでもトップ選手となりますので実績的にみてもファンアーチュレッタだとは思いますが一方的になるとは思えずこれぞMMAという良い試合になると期待していました。

予想通りベラトールvsRizin対抗戦の中でも一番良いカードになりました。目まぐるしい打投極の展開でアーチュレッタ選手がしばしばテイクダウンをするもスーチョル選手の立つ力が強く一進一退の攻防になりました。3ラウンドはスーチョル選手がスピニングチョークでアーチュレッタ選手をあわやフィニッシュするシーンもあり互角の戦いを繰り広げたと思います。アーチュレッタ選手は不恰好なルックス、ファイトスタイルながらちょっとチャーミングな面もあり日本では人気が出るのではないでしょうか。ですがRizinバンタム級では井上直樹選手ぐらいしかもはや戦う相手がいないのでもうベラトールに行けば良いんじゃないでしょうか。

第13試合 扇久保博正vs堀口恭司

ここは余りにも勝負論のない戦いになると思われます。堀口選手にしてみれば2回戦って2回完勝している相手にもう一度戦う意味はないと思われます。KOか一本取れるかは堀口さんのコンディション次第でありまあ見てて退屈な試合になると思います。恐らくはRizinも組みたくなかった試合でしょうし堀口さん受けたくない試合でしょう。青木さんはフライ級に堀口さんが落としての調整試合だと仰られていてまあまさに、という感じではあります。

試合はもう完膚なまでに堀口選手の完勝。堀口さんはサイズにも恵まれてないし身体能力そのものは別に扇久保選手も負けてはいないと思います。違いは身体操作の違い。とにかく堀口さんは柔らかく鋭い感じです。カーフを効かせた時点で立ちの攻防の優劣は完全に堀口サイド。寝技の攻防でも終始サイドコントロール、バックコントロールで扇久保選手はもう極められないのが精一杯でしたね。ここまで差があるのか、という試合でした。

このRizinとベラトール対抗戦が実現しているのは多分に元ベラトールチャンピオンである堀口恭司さんによる所が多いですよね。フライ級での堀口選手の今後の活躍に期待です。

第14試合 クレベル・コイケvsパトリシオ・ピットブル

このベラトール対抗戦の中で一番実力差があり且つ残酷なショーになる可能性もあるのがこの試合と見てました。全ての面で超ハイレベルにあるピットブルに対し打撃に穴があり柔術の力一点の強さでRizinのチャンピオンになったクレベルコイケ。最近はれずリング力が凄く上がっており9月の牛久選手との戦いではあっさりテイクダウンを取っていました。とはいえピットブルに打撃で打ち勝てる筈もなくテイクダウンを取れる図が想像できません。一点あるとすればピットブルにテイクダウンされた後の下からの十字、三角が1発勝負で入ればという一点しか勝ち目が見えません。

試合開始後二人の距離が凄く近い、ほぼボクシングの距離に近い。ピットブルにしても
クレベル選手のテイクダウンや打撃を全く怖がっていない。にも関わらず全くピットブルは行かない。クレベル選手が幾つかテイクダウンや投げを決めてもそこからは何もない。引き込んでクローズドになった時どうなるかを見ましたが普通にクローズドを割って立ったピットブルは脅威でした。この試合自体はピットブルはそこまで行かなかったので差は出なかったと思うのですが実力差は相当だと思います。私の見立てではチャンピオンであるクレベル選手に花を持たせる形で敢えてそこまで追い込まなかったのだと思います。

第15試合 ホベルト・サトシ・ソウザvs AJ マッキー

この試合はRizin40の最後の試合であり最後に大きな花火が上がるかはソウザにかかっています。AJマッキーは言わずとしれたベラトールのスター選手ですが最近フェザーからライトに上げた選手で前日の軽量でもフィジカルではサトシの方が分厚く見えました。フェザーでは異色の長い手足を生かし戦ってきたがサトシが最初それを受けきって組みの展開になればかなりチャンスはあると見ます。

試合が始まると立ちは少しマッキーよりだがソウザも骨格がマッキーより大きい感じがあり完全に押し負けてない感じ。名選手どおしの戦いは凡戦になる事が多いのですがまさに今回がそれにあたりました。お互いの極め力とディフェンスが強くお互いが決めどころがない感じでした。3ラウンド目にサトシがマッキーをバックコントロールし四の字ロックしたにも関わらずまだマッキーの方に余裕があるのは脅威でした。恐らくもう何度やってもサトシはマッキーを極めることが出来ないし、マッキーもサトシをフィニッシュするのは難しいと思います。お互いが強いというとしか思えなかったです。

判定はまあマッキーだろうけどサトシに上がってもおかしくはないように思えました。
判定はおかしい、いやおかしいと考えるのはおかしいなど議論が湧き上がっているのですがまあ私的には価値はないと思います。格闘技界にいる訳でもない、当事者でもない人にとってはどうだって良い話です。それより試合から何を感じるか、それを自分の人生にどう生かしていくかそれが全てですから。

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