用語集: 「乗数効果」

今回は「乗数効果」について見て行きましょう。

「乗数効果(multiplier effect)」: 経済学において、有効需要を増加させたときに、増加させた額より大きく国民所得が拡大する現象です。国民所得の拡大額÷有効需要の増加額を乗数という。マクロ経済学上の用語である。リチャード・カーンがもともとは雇用乗数として導入したが、ジョン・メイナード・ケインズがのちに投資乗数として発展させた。

具体的には、政府の支出や民間の投資などの一部の支出が経済全体に与える影響が、その直接の支出だけでなく、それが再循環することでさらなる経済活動を引き起こすという考え方です。この乗数効果により、初期の投資や支出が経済全体に対して何倍もの影響を及ぼすことがあります。

乗数効果の計算式は、以下のとおりです。

乗数 = 1 / (1 - 限界消費性向)

ここで、

  • 限界消費性向とは、所得が増加したときに、そのうち消費に回される割合のこと

乗数効果は、政策立案者が政策の影響を評価する際や、経済学者が経済の動きを分析する際に重要な考え方となります。また、経済の成長や不況からの回復に対する政策の効果を理解するためにも、乗数効果の概念は不可欠です。

乗数効果の要因として、以下のようなものが挙げられます。

  • 限界消費性向

  • 輸入性向

  • 利子率

  • 期待成長率

限界消費性向が高いほど、乗数効果は大きくなります。これは、所得が増加したときに、そのうち消費に回される割合が大きくなるためです。

輸入性向が高いほど、乗数効果は小さくなります。これは、所得が増加したときに、そのうち消費が国内の消費に回される割合が小さくなるためです。

利子率が高いほど、乗数効果は小さくなります。これは、利子率が高いと、投資が抑制されるためです。

期待成長率が高いほど、乗数効果は大きくなります。これは、期待成長率が高いと、投資が促進されるためです。

乗数効果は、経済の状況によっても変化します。不況時には、限界消費性向が高くなる傾向があり、乗数効果も大きくなります。また、経済が拡大している時には、利子率が高くなる傾向があり、乗数効果も小さくなります。

乗数効果は、経済政策において重要な概念です。政府は、乗数効果を利用することで、経済を刺激し、成長を促進することができます。

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