見出し画像

楽曲解説/歌詞対訳#1 『I'll Take You Anywhere』

令和にもなり、心機一転新たな試みということでBearwearのメンバーが様々なことを発信する場としてnoteを開設しました。

まずは作詞のKazmaと作曲のKou二人によるセルフライナーノーツ的な楽曲解説第一弾。

ミニアルバム『DREAMING IN.』収録、Track.1の『(intro)』から始まるアルバム1曲目の『I'll Take You Anywhere』を紐解いていきます。

楽曲解説

1曲目はチル&ポップな、『I’ll Take You Anywhere 』を解説します。

エモーショナルの対極にあるという意味ではBearwearの中では最もポップかもしれない楽曲です。

スーパーオーガニズムやPhum Viphuritなどのアジア人やアジア出身のインディポップバンドが頭角を現し始めたことを肌で感じた2018年の春に制作しました。

メンバーに送ったデモ段階の原題は“Surf Emo”。アジアを感じさせるヨナ抜き音階を使い、熱帯の感性でサーフなチルソングに仕上げています。

2018年以降のアジアのインディロックシーンの進歩は凄まじく、欧米のインディロックの語法をベースにアジア各国の文化、温度感、生活感を持って再解釈したバンドが、欧米で逆輸入的に発見され始めています。

5/18にタイ・マニラのイベント<SUMMER NOISE2019>でJapanese Breakfast、Phum Viphurit、Last Dinosausと共演したり、その直後5/28からジャパンツアーを行うなど、定期的にアジア圏でライブをしているTurnoverは、リフでヨナ抜き音階(ペンタトニックスケール)を多用していて、アメリカのバンドでありながらアジア的世界観と共鳴している部分があるのも興味深い。

土着的・民族的なルーツからエキゾチシズムを持って欧米に評価される東南アジアのインディミュージシャンや、欧米最先端のトレンドを掴んでいる韓国のアイドルらがいる中で、ガラパゴス化したポップカルチャーが根付いている日本から如何にして世界に向けアイデンティティを発信できるかが、これからの日本のアーティストの課題になってきそうですね。

歌詞/対訳

Are you staying here tonight?
I’ll take you high above
We can fly around through the night
And slowly the morning comes
I’ll be waiting for you to wake with an late breakfast in hand 
I can make you dance all night
I can make you fly like a butterfly
Fluttering in the sky all night
Anywhere we go
 And If you are scared
I will burn everything for you
So tell me if it’s still too dark
Than I will light up the moon for you

今夜は泊まっていくの?
空高く連れてくよ
一晩中いっしょに飛べる
だんだんと朝になり
君が起きるのを待ちながら遅めの朝ごはんでも作っとく

一晩中君を踊らせよう
蝶みたいに羽ばたかせて
一晩中空を飛び回り
どこへ行こうか
 もし怖いなら全部燃やしてあげる
それでもまだ暗いって言うなら
月に火をつけるよ
月が燃え尽きるまで

歌詞解説

Kouから送られてきてこの楽曲を聞いた時に感じた「ゆったりサーフ」なサウンドが、「アホでナンパな青年」のイメージにつながって、それを自分と重ね合わせながら書いた歌詞です。

サーフなんだけど、どこか体の力が抜けちゃうようなこの曲は、サーフィンしてるようなギラギラビーチで明るい人ではなくて、陽気な夏に憧れてるちょっとズレた男くらいのほうが合うなと。

愛が高まりすぎて空回りしている青年のお話。

他の誰よりも愛情を注いでるし、なんでもしてあげるのに。俺が誰よりも楽しませられるのにって想う一方通行な愛情。

「もしかしたら今夜一緒に朝までいれるかも」っていう先走り気味な思考と、その子を喜ばせるためなら全部燃やし尽くてしまうほどの過剰な行動。

曲名から察する人も多いですが、Penfoldというエモバンドの名曲『I'll Take You Everywhere』と対となる意味合いで書きました。

Penfoldの『I'll Take You Everywhere』は、昔は心を許し合ってたけどもう会えなくなってしまった愛する人のことを考えながら「今戻ってきてくれればどこにでも連れて行くのに…」と嘆く曲。

それに対してこの『I'll Take You Anywhere』は、まだその段階にもなれていない、信頼関係も築けてない相手に対して「どこにでも連れて行くしどんな景色でも見せるから愛してよ!」と必死に伝えようとしている曲です。

MVについて

MVはこみゅにけいしょん/poollとして音楽活動をしているイラミナさんに依頼しました。

イラミナさんはもともと知り合いだったわけでもなく、彼の活動を前々からチェックしていたわけでもなく。

イラミナさんのソロプロジェクトである、こみゅにけいしょんのMVがTwitterで流れてきたのが最初の出会いでした。まさに僕らが次のMVとして求めていた空気を醸し出すトリッピーで毒々しいコラージュMVに一目惚れ。

ディレクターは誰なのかなと思って調べたら、まさかのイラミナさん本人によるDIY制作でした。しかも初めてちゃんと作ったコラージュ映像作品だというのも驚き。

もうこの人しかいないでしょってことで速攻DMで映像依頼のメールを送りました。

「私で良ければ是非」と快く引き受けてくれて、イラミナさんの家に行って酒飲みながらグリーンバックの前で撮影したりなどフランクに楽しく撮影して完成したのがこのMVです。

この映像についてイラミナさん自身もブログで各シーンや制作背景を解説してくれているので是非チェック↓

cover photo by ly0h


読んでくれてありがとうございます!よければサポートお願いします!頂いたサポートはBearwearの活動費になります