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東京編:大統領@上野

上野発の夜行列車~。

最近、パンダが日本にやってきた。子供の頃、上野動物園にパンダを見に行った記憶が微かにある。
高校になってからは友人とアメ横に当時流行った軍物のジャンパーMA-1を買いに、大学時代に出来た彼女がこの辺に住んでいたから何かと上野には縁がある。というか彼女との思い出の街だな。

今では創業して60年くらいは経つオヤジ達の憩いの酒場が目当てだ。

アメ横のJRガード下中央に位置し、昼間から呑兵衛達で一際賑わいを見せるもつ焼き屋が有名店、その名も大統領だ。

昼間来ようが、夜来ようがここは常に繁盛している。店員さんの呼び込みもある意味名物の一つと言っていいだろう。

大概が中のカウンター席でなく外のテーブルの相席がほとんどだが、久々にカウンター席に座れた。

最初はビールかホッピーを頼むが、今回は酒(あったかいの)、大統領からいこう。
12角形の厚底グラスにあらかじめ温まっている酒がポットで注がれる。
これが、絶妙の燗具合で不思議と何杯でも呑める不思議な酒、名前も同じ大統領。福島の酒だ。

もちろん、もつ煮込みも頼まなくてはいけない。ここは豚でも牛でも鶏でもない、馬のもつ煮込み。頼むと威勢のよい店員さんが大鍋からよそってくれる。
具は豆腐と馬のもつに蒟蒻、最後に刻みネギがかかり一丁あがりだ。馬のもつだからヘルシーで豆腐は粗めだから味が染みてかなりの旨さだ。多少クセはあるが二杯目にいく人も少なくはない。以前、常連さんが「だけ」下さい!と注文していて、何かと聞くと豆腐だけの「だけ」だと教えてくれ、それ以来二杯目は「だけ」と決めている。注文すると店員さんの「だけ一丁!」が店内にこだます。
さて、もつ焼きを頼もう。必ず頼むのがもつ焼き盛り合わせ5本セットだ。手っ取り早くていいし、レバー、タン、コブクロ、ハツ、シロなどいっぺんに味わえるからだ。ここのタレは大好きでカラシ付きがまたいい。
あとお気に入りなのがプラスチック製の短冊メニュー。黄色と水色のコントラストが昭和の日本人独特の感性というか斬新で勢いを感じる。親父やお袋が田舎から東京に出てきたのは集団就職の時期で、若かった二人もこの上野駅を降りた。その頃からあった店と思うと何か感慨深いものがある。一度、親父とここで呑んでみたかった。酔っぱらった親父のくだらない「よっ!大統領っ!」が聞こえてきそうだ。

■自身のブログ 居酒屋ロマンティクス 2011年3月4日のブログより

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