恋人と父親

2021年1月26日 23:58

ちょっと前の下書き

「娘は父親に似た人を好きになる」という。その「似かた」は見た目だったり性格だったり、人それぞれ。同じ人間なのだから、探そうと思えばひとつくらい似たところがあってもいいような気がする。

さいきん、一番よく会う友だちに恋人ができた。喧嘩してぶつかって一喜一憂している姿がカワイイのと、わたしにあんまり構ってくれなくなって寂しいので、わたしも恋人がほしいな！と思うことがある。でも今の生活が楽しいから、言うほどほしくないのかも。でもあるよね！「欲しいな曲線」が爆右肩上がりすること、あるよね！

見た目が父親に似た人を好きになったことはない。これからもないだろうな。でも、最近「恋人に求める条件でこれだけは父親の影響があるかも」という部分を見つけてしまった。

いくらか前に、ある人と付き合いかけて、なんだかきちんと踏み切れなくて、結局なあなあになってしまったことがあった。
その人はわたしに告白をする数日前、周りに「わたしより誰々ちゃんのほうが顔はカワイイ」と漏らしていたらしかった。
飲みの席での軽口。照れ隠しだったのかもしれないし(わたしにばれた時そんな風に弁明していたような気がする)、「それでも好きになっちゃったんだよな〜」的な惚気混じりの意味合いだったのかもしれない。だから、べつに気にしなければいいはずなのだけれど、でも、

わたしはその発言がぜんぜん許せなかったです。ごめんなさい。

彼は人間的にまっすぐで、そこが眩しくて美しく見えた。いいヤツだったし、これから色んなところへ行って、色んな話をして、同じ映画を観て泣いたり笑ったりすればきっとそんな些細なことは忘れられるだろうなーと思った。思ったんだけど、こんな些細なことがどうしても許せませんでした。彼の顔を見るたびそのことが思い出されて、悔しくてアーア、こいつわたしのことカワイイと思ってない人間なんだな、ってことばっかり考えてました。

これがトラウマになってわたしは恋人を作るのが怖くなった……なんてことは全然ないのだけれど、この時わたしは気づいてしまいました。「もしかしてわたし、恋人に『世界でいちばんカワイイ(しかも相対評価で)』と思われたいんじゃないか？」と……コワイ！自分がコワイ！！！！！！！

だってそんなことたぶん一生あり得なくない？わたしだってどんなに好みの顔の人と交際したとしても「冷静に考えて答えてね。吉沢亮とどっちがかっこいい？」って言われたらそれは吉沢亮……ってなっちゃいそうだもん。
世界中に、わたしのことをカワイイなーとか好みのタイプだなと思ってくれる人は幾人かいるはずだけど、絶世の美女！サイコー！世界一！と思ってくれる人なんて、わたしがミラジョボヴィッチに変身しない限りいないと思うんだよね。うちの父親以外。

わたしは両親にものすごく愛されて育った自覚がある。それがわたしの自己肯定感の源であり、あらゆる自信に繋がっている。あえて聞いたことはないけれど、父親は絶対わたしのことを世界一カワイイと思ってると思うし、聞いたら絶対そう答えてくれると思う！聞かないけどね！違ったら嫌だし！うちの父はそれだけ信頼に足る人なのだ。わたしに対して愛情を注いでくれたのだ。絶対にわたしの容姿の悪口なんて言わないのだ。絶対わたしがプリンセス。たぶん母親がクイーン。わたしと母親が父親の中でツートップ美女なのだ！！！！！！あえて聞いたことはないけど！！！！！！！！違ったら嫌なので！！！！！！！！！！！でもそう思っていてくれ！！！！！！！！　

いまふと「これで父親が不倫とかしてたらヤだな」と思った

でも、真実はどうあれ、娘に「わたしの父はわたしのことが世界でいちばんカワイイんだ❤️」って24年間も信じさせることができた父って最高じゃない？本音がどうであれ、そう信じられるだけの愛をちゃーんと受け取ったよ！！イヨッ子育ての成功者！！！！！

ちなみに父親は車のドアも開けてくれる。ジェントルマン！料理もやればできる。もっとやって！あと片づけもちゃんとして！お母さんと仲良くラーメン食べて！中性脂肪に気をつけて！

恋人に求めることは富よりも、権力よりも、「あなたが世界でいちばん美しい」もしくは「ぶっちぎりであなたがいい」という態度を示してくれることだな。いまのところ。早くこのルッキズムから抜け出して、自分で自分の価値を信じることができたら、他人にそれを求めることもなくなると思う。正当に自分を愛すぞ！

よく考えたら、長く続いた恋人は、ほんとの本音は知らないが、世界でいちばん美しいと思わせてくれるタイプだった。男だけの仲間うちで「顔は普通だけどね」とか言わないだろうなという信頼があった。世界でいちばん美しいと「思わせてくれる」というのは、わたしにとって最大の信頼になるんだってことを教えてくれた。ありがとう！夢を見させてくれて！また誰かを世界一にしてね！