【日常エッセイ①】キングスマンとテテとドルチェ&ガッバーナー現象

2015年某日、その頃は仕事をせずに一心不乱に勉強をしていた時期だった。ある朝、ベッドの中で突然嫌になった。もう全部嫌だ。投げ出したい。今日はサボろう。なんか思い切りグレたい。

なかなか起き上がれないでいると、友人から「グレないか?」と連絡が来た。正確には「面白いスパイ映画があるんだけど見ない?」だ。「はい、グレましょう、行きます」
スパイ映画と言ったら英国紳士風ユパ様のようなダニエル・クレイグの007しか分からん。分からんというより、アクションでピストルバンバン系は苦手だ。見ていてやかましい。なはずだったが、この「グレないか?」な映画は、全く前知識が無いのにも関わらず、「これを見たら私の中で何かが始まってしまう」という予感があった。
私のこの予感はなかなか当たるのだ。

開始十数分。
エグジーに堕ちた。序盤も序盤、開始わずか十数分で。

腹違いの小さな妹を優しい笑顔であやしたと思ったら、「こ憎たらしい顔」で舌を出し、盗んだ車を逆発進!なにこのギャップ!
そう、この3年後にどハマりするBTSテテと同じギャップを持っていたのだ。
小さな子供を優しい笑顔であやしたと思ったら、「あざけ微笑む顔」で舌を出し、こちらを妖艶に挑発するキムテヒョン。この頃から、私がテテにはまる下地が出来上がっていたのだ。

時を戻そう。

その日から私の頭の中は寝ても覚めてもエグジー。テレビから流れる「マック エグチ」のCMもエグジーに聞こえてニヤニヤする始末。背中を丸めてエグジーの画像を見る姿はさながらグラビアアイドルに夢中になる中学生男子。

もはやエグジーの事しか考えられなくなった私は、その後20回、エグジーに会いにいそいそと映画館へ行く。もはや「キングスマンを見に行く」ではなく「エグジーに会いに行く」状態。エグジー以外の台詞はほとんどBGM。

その頃仕事を再開していた私は、キングスマンを20回も見に行く女として、かなりの映画通だと勘違いされてしまっていた。でも違うんだ。キングスマンを見に行ってたんやない。エグジーを見に行ってたんや。旬の映画とか全然わからへん。映画だと思ってないんや、エグジーのプロモーションビデオだと思って見に行ってるんや。「最近見た映画なんですか?」「あ...キングスマンです...」「見たい映画とかありますか?」「あ...キングスマンです。また新宿でやるからまた...」この人はキングスマンのなんなんだ。おそらくこんな思いをさせていただろうに、話しが噛み合わないまま、邦画に誘ってくれた同僚の優しさよ。

そして、キングスマンもそろそろ上映期間が終わる時期になって来ると、来場するのは女性の1人客ばかり。「みんな私と同類だな。プロモーションビデオとして見に来てるんや。1人でひっそり見たいんや。あなたの推しはエグジーかハリーかパーシヴァルかマーリンか?」などと思っていたら、となりのオナゴ、開始数分で泣いてるやんけ!上には上がいた。さすがの私もここではまだ泣けない。あと10回くらい行ったら私も開始数分で泣けるだろうか。いや無理だ。だって私が見てるのはエグジーのプロモーションビデオだ。この女性はきっと会社でキングスウーマンと呼ばれているに違いない。あぁ、私と同じようにプロモーションビデオとして見に来てるだなんて少しでも思ってしまったことを床に頭をこすりつけて謝りたい。キングスウーマンはちゃんと映画として見に来てるんだ。ちゃんとキングスマンを映画として愛しているんだ。こんなヨコシマな思いで見に来てるのなんて私ぐらいだ。

その後、反省した私はキングスマン20回見ましたなんて言うのは嘘と同じだと思い、戒めの気持ちで「エグジーなら20回見ました」、と言うことにした。(言ってないが)

そしてその後の私のエグジー熱は、キングスマン2のエグジーの冴羽獠化にて、「女を手玉に取るなんて立派なスパイに成長して...。舌出して盗んだ車を逆発進させたエグジーはどこぞ?よくぞ成長致しました」と、過去の「心の彼氏」との思い出として夢女箱にそっとしまった。

そしてきたる2018年、テテとの出会い。
エグジーと初めて会った日と同じ、例の予感はしていた。「これを見たら私の中で何かが始まってしまう」

fake loveのMVだった。

そして開始数分、堕ちた。
キムテヒョンに。

一瞬だけ映る垂れ目のすっごく可愛い子がいる。ほんとに一瞬。でも残像が凄い。脳裏に焼き付く。誰?

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そこから検索してあっという間に沼落ち。

テテとタロン君(エグジー役の俳優)は重なるところがたくさんある。自然に囲まれて育った生い立ち、優しく、美男子の外見とはうらはらに素朴で、ピュアで、照れ屋で、家族をとても大事にしていて、人気が出ても決して偉ぶらない。

でも私は圧倒的にテテが好きだ。テテに会うためにタロン君に会ったとしか思えないほど好きだ(よー言うわ)。テテはね、心がお星様を見ているんだよ。どんなになっても。そんな人いないよ。

しかし、あんなに愛したエグジーだ。そして今、こんなに愛しているテテだ。オタクとしてエグジーとテテへのオタク礼義はわきまえているつもりだ。「(心の)元カレ」と「(心の)今カレ」は重ねたりはしないっ!なんて思っていた私の心を揺るがす大事件が。

テ...テテが...!テテが...!
エ...エグジーのコスプレをしている!!!!(流れてきた2016年のシーズングリーティング画像を見てしまった私)

テ...テテ、あなたが来ているそのジャージは私の(心の)元カレが着ていたものよ!そのキャップは...(以下同文)

これはまさにドルチェ&ガッバーナ現象。


♫別に君(エグジー)を求めてないけど 
横にいられると(テテにそのジャージを着られると)思い出す
君のドルチェ&ガッバーナの(アディダスの)
その香水(ジャージ)のせいだよ

別に君(エグジー)をまた好きになるくらい
君(エグジー)は素敵な人だよ
でもまた同じことの繰り返しって(エグジーの冴羽獠化ってことで)
僕がフラれるんだ♫

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BTSがキングスマンコスをする度に、ドルチェ&ガッパーナ現象で苦しむオタクがいることをBTS事務所は覚えておいて下さい。

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