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言葉の先にあるもの

会話が好きではない
自分の取るに足らない話を
嬉々として語る人間を見飽きたからか
それとも
言葉の先にあるもの
それだけを見たいからか知らない

7月が終わろうとしていた
この間本を借りたお返しに
ふと思いつきで持ってきた短歌集を
灰皿ひとつ分隣のあなたが
パラパラとみている

なんとなくその手つきから
目を逸らして
そわそわと煙草をいじる
向こうから祭囃子が聞こえる
微風が汗ばんだ肌を撫でる

しばらくするとあなたは突然
私の方に頭を向けてベンチに寝そべり

「読み終えるからまだ帰らないでくれ」

それだけ言い放った

わたしは
電車まで時間があるなんて嘘をついて
あなたがページをめくりながら
時々ふっと微笑う声をただ待っていた

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