akiko uchida | 内田明子

英訳専門の知財翻訳者のウチダと申します! どうぞよろしくおねがいします。

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最近の記事

実務者のための論理学的英文解釈法(1)

0. はじめに 論理学は西洋科学のみならず 、弁証法を始め撞着法や緩徐法などといったレトリックにおいても西洋文化の重要な一翼を担ってきた。したがって私は英文解釈に論理学の一部である記号論理学や集合論理学を活用することは不可能ではないはずだとずっと感じてきた。もちろん自然言語の全ての表現を記号論理学 や集合論理学で解釈できるはずもないことは重々承知の上での話である。しかし特定の分野、特に法解釈などにおいては論理学に基づいて英文を解釈することは非常に有用であるよう思えるのだ。特に

    • 測定値にもいろいろありまして

      こんにちは。特許翻訳者の内田明子です。 昨日Twitterでこんなアンケートをとってみました。 実はこれ、特許明細書の英訳時にかなり悩む用語なのですが、このアンケートを出した時点では「測定値」は"measurement"と訳すべきだと考えていました。 なぜかというと、もともとmeasurementには"value"の意味が入っているので、敢えて繰り返さずとも良いのではないかと考えていたからです。 ですがアンケートの結果では"measurement value"がトップ

      • What is "JYOTAI", and should we translate it?

        If you are Japanese-to-English patent translators, you might have seen lots of "jyotai" ("状態"), which means "state" or "condition", in Japanese patent applications. I believe that one of the reasons why they use "jyotai" so much is because

        • PCTルートにおける特許明細書の「逐語訳」の要否について

          先日、こちらの記事「人手翻訳vs.機械翻訳ガチバトル!」にて、どれが私の翻訳なのか、そしてどれが機械翻訳なのか、というクイズを出し、意見をTwitterのアンケートで募ってみたところ、次のような結果になりました。 (ちなみに、リンク先記事の①がDeepL、②がGoogle翻訳、③が内田訳、④がChatGTPが正解でした。) 驚いたことに、かなり多数の翻訳者勢が①DeepLに投票していたのです。(※なお、特許翻訳者でない人にもご協力いただきました。) 特に特許に関しては「逐

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          「パーキングロック状態」問題再び....

          昨日からずっと悩んでいる「状態」の訳し方ですが、「state」も使うのではないかというご意見を頂戴して、「パーキングロック状態」に近い訳語をUSPTOのデータベースの中から探してみました。良かったら参考になさってください。 下記は特許以外ですが、よかったらご参考にまで。

          「パーキングロック状態」問題再び....

          英訳者を悩ませる「状態」という魔物

          こんにちは!特許翻訳者の内田と申します。 引き続き、先日から取り上げさせて頂いている特許明細書の抜粋翻訳に関するテーマについて、ご紹介させていただきます。 過去の記事3件については下記リンクからどうぞ。 念のため抜粋と英訳を下記に再掲しておきます。 (原典抜粋A) (英訳A´) 「パーキングロック状態において」をなぜ"While the parking pawl 40 is locked"と訳したかという点についてご質問を頂いたので、今日はそのお話をしたいと思いま

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          「不適切」な機械翻訳

          先日「人手翻訳vs.機械翻訳ガチバトル!」という記事を書かせていただきましたが、今回はその記事で出したクイズの正解と、機械翻訳の問題についてご紹介したいと思います。 0. さて、私の翻訳はどれでしょう? こちら↑の記事で挙げた英訳は、それぞれ①DeepLによる翻訳、②Google翻訳、③ウチダによる訳、④ChatGPTの訳という順番でした。 さて、それぞれ精査してみていただけるとお分かりになるように、それぞれの機械翻訳には次のような誤訳がありました。 以下にもう一度原

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          「これにより」が意味する2つのこと

          特許明細書の英訳ではこんなシンプルな表現にも毎回悩まされます。 上記引用①および②の「これにより」は、それぞれ別のことを示していることにお気づきでしょうか。 まず前者は、「物理学的作用」について述べています。それに対し、後者は「ローラ本体を小型化する」、「剥離放電が起こることを低減する」という「論理的帰結」を述べています。 特許明細書では「作用効果」という言葉が良く用いられます。前者は「作用」すなわち物理学的な作用であるのに対し、後者は「効果」、つまり必ずしも物理的因果

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          人手翻訳vs.機械翻訳ガチバトル!

          ちょっとした実験です。 この↓のトヨタ自動車の明細書抜粋を、ChatGPT、Google翻訳、DeepLに翻訳させました。そしてそこに私自身の翻訳を紛れ込ませました。①〜④どれがどれだか判別できますか? またみなさんの好みの翻訳はどれでしょうか? ① In the parking lock state, the stopper 66 protrudes towards the support member 30, so that when parking on a sl

          人手翻訳vs.機械翻訳ガチバトル!