つばさ

男でも女でもなく。 そもそも、うまれてきたくなんてなかった人間の話。

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男でも女でもなく。 そもそも、うまれてきたくなんてなかった人間の話。

最近の記事

我慢しただけ報われれば楽だろうに

私の人生は我慢だらけだった。 貧しい家。発達障害で特に長子の私を嫌う母。母と同様に私を責める発達障害の疑いが存分にある祖母。怒るとものを投げるか、捨てないで欲しいと再三注意したものまで何もかも捨てる祖父。空気のような父。 いわゆる女腹の家系なので最初こそ珍しがられたが、弟が父の唯一の趣味であるスポーツを習いだしてからは顕著に蔑ろにされた。 母もこんな家に婿養子に入った父への同情かスポーツ少年団のことへ入れ込み、土日の夕食は手抜きでうどんだけが食卓に並べられることもあった

    • 体に悪いものでも

      私は十二歳で死にたいと思ったが何故か死にきれず、とうとう死ねなくなる出来事があった。これは、そろそろ時効なので好きな時にもう死んでもいいかもしれない。 子宮内膜にポリープの見つかったことは、今月のこと。 痛みが年々ひどくなり、痛みの感覚がグロテスクで生々しくなってきた。 女同士でも私は生理の話をするのは好きではない。常に痛みと不快感の伴うもので、ある昆虫の名を口にするだけでぞっとする人のいるように、聞くだけで不快になるワードだ。だから、SNSで逐一全世界へ報告する同性の

      • 決別

        私にはマイナーな趣味があり、一人その界隈の大家がいる。 とにかくマイナーな世界の趣味で、その大家の作品の出会いは幸運な偶然みたいなものだった。特に流行を気にせず、のびのびと気になるものに手を伸ばしたら、運良くその大家の唯一無二の作品の世界に届いたようなものである。だからこそ、その大家の作品は私にとても愛着のあるものだ。 今はその界隈自体が廃れるばかりのもので、もしかするとこのまま絶えるのではないかとすら思う。 大家と称する人の作品の評価は実に様々である。一方では一つの作

        • 私は女でいたくない

          毎月やって来る生理。その度に、特定の部分の痛みやPMSと呼ばれる症状の悪化に、いよいよ婦人科で検査を受けて、然るべき治療を受ける決意をした。 正直な気持ちとして、楽に苦しいことが前提の人生を生きられればいいといった感覚で、私の生物の雌の機能については、更年期障害のリスクなど、体に変調がないのなら、なくなればいいと思っていた。 検査は思ったより長引いた。婦人科の検査は歯医と似たような椅子に座らされる。椅子も動く。が、動きに特徴がある。 座らされた患者は、カーテンの向こうの

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