見出し画像

デイサービスへの転職は、キャリアアップにつながるのか?

世の中の全社会人の頭を悩ますキャリアアップ

「もっとスキルを身に付けたい」や「他の人にはないキャリアを歩みたい」など、色々な思惑を含めてのキャリアアップだと思います。

かくいう私もキャリアアップに頭を悩ませてきた一人です。悩みすぎて数年前に10円ハゲができました。ハゲた部分を櫛で突きながら教えてきた美容師は今でも許しはしない。

今回は理学療法士・作業療法士のリハビリ職に焦点をあてたキャリアアップに着目しようと思います。
みなさんが思うキャリアアップと言えば、スキルを身に付けることや給料が上がること、起業すること、地域で働くこと etc・・・

特に理学療法士・作業療法士の中には「将来的に地域・生活期で働きたい」という方は少なくないと思います。過去記事になりますが、現在地域リハビリ領域で働く理学療法士・作業療法士は約6万人いると推定されています。

多くの方が、地域・生活期に転職=訪問と考えているかもしれませんが、理学療法士・作業療法士がデイサービスへ転職したら、キャリアアップにつながると思いますか?

個人的には、デイサービスに対する印象は上記のツイートのような形で周知されているものだと思っています。

結論から言うと、デイサービスでキャリアアップは条件付きでできると思っています。今回は、世の中の理学療法士・作業療法士におけるキャリアアップに対する考え方と、デイサービスでもキャリアアップできる条件について話をしていこうと思います。

①リハビリ職のキャリアアップはスキルアップ?

理学療法士においての将来のキャリア設計でもこのような結果が示されています。

岩﨑裕子,2008 図は筆者作成

この研究では、分野に問わず理学療法そのものの知識・スキルの向上といった、知識欲を満たすことがキャリア設計に関わっていることが分かります。
この背景には「具体的なキャリアは決まっていないが、いつ・何か機会がある時のために」という想いや「目の前の患者・利用者の改善こそが自分のキャリアとしての誇り」なのかもしれません。

また、理学療法学生を対象とした先行研究でも、専門的な分野へ進むため他施設へ移動する事想定したキャリア計画を立てていることが示されています(長井真弓,2021)。
より具体的な将来のキャリアビジョンを想定した研究では「テクニックを向上させ、スペシャリストを目指す」が大半を占め、続いて「起業する(7.2%)」、「学位を取得し、教職を目指す(5.8%)」となっています(山田洋一,2012)。

理学療法士・学生を中心とした内容でしたが、このことから、多くの方がキャリアアップ≒スキルアップと捉えていることが分かりました。
ということは、デイサービスはスキルアップできる環境かどうかが、キャリアアップできる職場かどうかの分かれ目になるかと思います。


②デイサービスに限らず、生活期はスキルアップするイメージが薄い!?

生活期はスキルアップ(ここからはキャリアアップと同義語として使用します)ができる環境なのでしょうか?
こちらは独自調査した内容ですが、転職サイトにあった「生活期(訪問・老健・通所など)転職者へのインタビュー」の7例を抜き取って解析したものです。
結果としては5つの項目が抽出されました。

ムダにカラフルに分けてある5つの項目が転職者のインタビューから抽出された傾向ですが、ざっくりまとめるとどれもスキルを身に付けることや地位に就くことを明確に述べている内容はありませんでした
しかし、給料や待遇面ではハッキリ書かれている内容もあったため、当初の予想通りキャリアアップ目的で生活期へ転職するということは少ないのかもしれません。

また、学生を対象とした先行研究でも似たようなことが言われています。下図は理学療法学生を対象とした「介護保険領域(デイサービスや老健など)の職場イメージ」について1年生と4年生を比較したものです。

藤田大介,2015 図は筆者作成

図のとおり、職場の魅力(おもしろさややりがいなど)職場の自由さ(明るさや親しみやすさ)は実習を経験した4年生でもポジティブな印象を持ちやすいようです。
しかし、職場の科学性、つまりリハビリにおける科学性や進歩的な介入をしているような印象は実習未経験の1年生と比較すると低いようです。

職場の方針によってリハビリの知識・技術に関する教育への価値観は大きく変わると思います。しかし、多くの生活期の職場ではスキルアップに力を入れていることは少ないと思います。私の考える理由は以下の通りです。

①生活期は既卒が多いためスキルに関する教育に力を入れることが少ない
リハビリ職が少人数である職場が多いため、教育環境が整えられていない
③機器やリハビリを行う環境に制限があり、最新ツールを使うことが少ない
学術文化が乏しいため、介入の科学性が考慮されなくても済んでしまう
部署のトップがリハビリ職ではないことも多いため、スキルアップの重要性が認知されていない
医学的情報が乏しいため、元々医学的知識がないと太刀打ちできない

生活期という環境の限界もありますが、気合があれば①~⑤は何とかなりそうではないでしょうか?
最後に宣伝の意味を込めて気合があるUP Lifeのシステムを紹介しておしまいにしたいと思います。

③デイサービスでもスキルアップはできるはず!

そもそも弊社のデイサービスであるUP Lifeってどんな仕組みなの?と思う方もいらっしゃると思います。
しかし、それを一から説明すると長くなりすぎるため、気になる方はこちらのリンクから概要をご覧ください。

本当は他のデイサービスの方を巻き込んで「デイサービスでは○○のスキルアップできますよ!」と言いたいのですが、あいにくこんなコネはありません。
そこで、UP Life3店舗分の理学療法士・作業療法士のスタッフ7名を対象に「UP Lifeに入職して何がスキルアップをしましたか?」というアンケートをとってみました。こちらがその結果です。

スタッフが気を遣ってくれた部分もあるかもしれませんが、専門的能力と社会人基礎力がともに成長したと答えてくれました。また、両方の能力において具体的にスキルアップした項目も聞いてみました。

専門的な能力としては、病院ではあまりなじみのない目標設定や介護保険制度、生活に直結する社会参加IADL住環境・福祉用具、ヘルスプロモーションとしてリスク管理介護予防のスキルアップにつながったと結果が出ました。

また、社会人基礎力の面では長期間の関わりに必要な接遇面柔軟性、介護予防事業を行う際に必要な発信力働きかける力など、能動的に活動するための能力が向上しているようです。

そして、アンケートの最後には専門職としてどのくらい成長したかを直観的に回答してもらいました。

多くのスタッフが入職前より成長したと感じており、特に100%以上と回答した方が半数近くを占めました。
回答者の属性が若い年齢であることやほとんどが医療機関出身ということもアンケート結果に影響がでたと考えられます。

このアンケート結果から見る限り、職場によると思いますが、生活期でもスキルアップもといキャリアアップはできる!と言えそうです。

④本記事のまとめ

今回は生活期はキャリアアップできるのか?という話でした。
結論から言うと、職場によるが生活期でもキャリアアップはできる!ということが言えそうです。

多くのリハビリ職はキャリアアップ=スキルアップと捉えていることが先行研究や調査から変わったため、今回はその方程式に則って書いていきました。人によってキャリアアップの考え方は異なりますが、一参考にしてもらえると嬉しい限りです。

最後に主観にはなりますが、理学療法士・作業療法士にとってのキャリアアップ(起業を除く)の種類と手段の流れについてまとめましたので、ご参考にしてください。

簡単に言うと、目標となるキャリアとアウトカムから逆算しながら知識の蓄積と研究して、必要に応じて転職や社内の利益となる活動を頑張れがキャリアアップできるんじゃない?ということです。

⑤おまけ

UP Lifeはスタッフンのキャリア・スキルアップができるように自己学習支援制度として年3万円の補助や業績に応じた報酬体系、教育制度の充実化、外部連携などをおこなっています。

事業拡大に伴い、2023年9~12月にインターンを募集しますので、興味がある方は是非チェックしてください!
採用に関する見学・インターン募集や質問はTwitterでバズヤマ(@yamakentoooo)までDMをください。

最後までご覧いただき、ありがとうございました。

引用文献

山田洋一,丸山仁司: 理学療法士の自己認識から抽出した今後の育成課題 ─医療機関に勤務する理学療法士の調査─.理学療法科学 2012; 27(4): 385–389.
岩﨑裕子: 理学療法士の仕事意識に関する実証研究.文京学院大学保健医療技術学部紀要 2008; 1: 11-25.
藤田大介,小原謙一 他: 理学療法士を目指す学生が持つ介護保険領域の職場イメージに関する調査研究.理学療法科学 2015; 30(5): 661–665.
長井真弓,釼明佳代子 他: 理学療法士養成校の就職活動状況および就職先選択条件 ─東北地方の私立大学での実態─.理学療法科学 2021; 36(1): 59–65.

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?