架空の音楽用語辞典見出し

中級者[Intermeditate]

ちゅうきゅう・しゃ【中級者】[Intermediate]

⑴初級から上級の過程にある人のこと。
⑵謙遜しての自称。

[注釈]現実には明確に存在しない初級/上級の境目を意識したときに呼称として利用される。初級/中級/上級の分別は分野によって、或いは横断的に評価されるものであるため、最も具体性に欠ける広範な呼称として活用されやすい。

[症例]演奏・創作活動をリタイアする。創作活動の一環と称して遊戯や怠惰にふける。評論が一方的になり議論を好むようになる。オリジナリティ症候群に陥る。稀に死に至る。

[兆候]上級者を目指している場合、自己評価を比較対象として求めるあまり自己卑下する傾向にある。初級者の場合、いつまでも初級者のままだと自己評価して活動頻度が下がる。闇雲に活動に打ち込むあまり自己学習と身体的余裕を逸し、重篤な症例となるケースがある。


【余禄】
『初級・中級・上級の閾値の例』(著者による)

楽器(クラシック以外)
初級→[すべてのコードを理解し演奏できる/楽譜が読めて演奏できる]→中級
中級→[創作の傾向を自発的に研究し構築できる]→上級

創作(バンド・DTMなど)
初級→[一曲をミックスまで仕上げて完成させる]→中級
中級→[作品の傾向を自発的に研究し公表できる]→上級

※上級よりも上位のランクがある

※『架空の音楽用語辞典』より



ジョークですから本気にしないでくださいね
いやですけど、実際「自分は上級者なんだろうか中級者なんだろうか?」と悩んでいる人は多いようです。実際、明確な線引きは見たことないですもんね。なので敢えて具体的なラインを考えてみました。

例えば僕がレッスンしているケースをみると、ギターの場合はコードを見てすぐ弾けるようになることがまずは中級者のハードルなんじゃないかと考えています。コード楽器の場合はコードを、単音楽器の場合は楽譜を読んで演奏できるかどうかを1つの境目としてみるといいんじゃないかと思います。楽譜が演奏できるといっても難易度はピンキリですけどね・・・・まぁざっくりとそんな感じです。

音楽の創作に関して言えば、(これは楽器も一緒なんですが)創作活動をしいる時点でそれは初級者とは呼ばないと思います。初級者の最初のハードルは創作して自分の作品を残すところにあると僕は考えています。
(クラシックにしても録音して作品を残せたなら初級者じゃないと思う)

なので、初級者から中級者への距離感は人によってとてつもなく短い場合があります。僕もギターでコードを弾きこなすのに1年もかかりませんでしたからね。

ですが、そこから上級者と呼ばれる人との違いに頭を悩ますことになります。
世の中で表立って活動している人は、みんな途方もなくすごい人ばかりに見えるからです。そういった心理的なプレッシャーからくるモラトリアムが中級者というカテゴリを生むのではないでしょうか。

すごく大雑把にいえば、中級者から上級者にランクアップするときに必要なことは「研究」です。研究といっても物理学をやれだとか、専門書を読めという話ではなくて、自分はこういう傾向があるなぁだとか、こういう音楽が好きだとか、こういう音を選んじゃうな、みたいな小さなクラスタを意識的に記憶することが音楽における「研究」の一つです。創作も楽器も同様です。

その為の試行錯誤を始めた時点で、もう上級者と呼んで問題はないでしょう。
現状の結果がどうであれ、研究のルーティーンを体得したときからが上級者だと僕は考えています。
当然、研究の試行回数が多い人の方が精度の高い音楽を創作できるでしょう。

楽器に例えるなら、漫然と同じメニューを繰り返すより「できていないこと」を解決する練習をすることがこれにあたります。
DTMの場合、たとえば僕は「使ったことないシンセを使って曲を作る」ことをシリーズ化していますが、それを続けることで見えてくる動かしがたい自分を、彫刻のように掘り出しているような気がします。
なんにせよ、チャレンジが必要だということですね。

中級者をジョーク仕立てで病名みたいに書きましたが、それって表現者として成長するための思春期ですから、僕は「自分は中級者なのか上級者なのか」と悩んでいる人を優しい気持ちで応援したいです。
決して死に至らぬ程度に、がんばれ中級者!

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