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つくづくとのっぺらぼうな街に住む

2021.10.7(木曜日) In the city

雲はなくただ青い空が広がっている。

幼稚園児でも簡単に描けそうなくらいのっぺらぼうな空だ。少し汗ばむ鼻の先を気にしながら私は買い物に行くために通りを歩いていた。私の前には観光客らしきふたりの若い女性が周りを見渡しながら大きな声で話しながら歩いている。

「大阪っぽいよね」

「うん、うん、わかる。大阪っぽい」

私はどこが大阪っぽいのだろうと疑問に思いながら同じように周りを見渡す。私が見る限りでは大阪っぽいものなんてどこにもない。心斎橋辺りを歩くと確かに「ザ・大阪」というものが多くあるが、梅田はもう東京の街並みと変わらない。たこ焼き屋もお好み焼き屋も商業ビルの中に入ってしまって並んでいるお客さんは観光客ばかりだ。よく他府県から遊びにくる知人に「大阪らしいところに行きたいんだけど、どこがいい?」と聞かれることがある。私は梅田でも心斎橋でもなく新世界を勧める。でも評判はイマイチだ。コア過ぎるのだろう。人は「それ」ではなく「それっぽい」ところを求めているのだなと思う。完全な「それ」は観光客にとってはとても受け入れるにはハードルが高いのかもしれない。この若いふたりはどこから来たのかわからないが、新世界に連れて行ったら外国に行ったような気分になるのだろうなと、想像したらおかしくなってひとりで笑った。それっぽいものはうまい具合に私たちの好みに修正されて目の前に現れる。その安心感は、いいのか悪いのか。

彼女らは大阪っぽいねと言いながらスターバックスに入っていった。

午後、宅配便が2つ届いた。ネットで靴下を注文していたのが届いたのだ。最近、指なし靴下にハマっていて、自分で普通の靴下の先っぽを切って折り返して縫って作っていたが、やっぱり靴を履くとズレたりしてうまくいかない。ネットで探したらいろいろあった。こういうのを欲している人がいることに驚いたけど、私とは欲する理由が違うようだ。私は靴を履いた時に指先が靴下で覆われているのが嫌で、靴の中で指がおおらかにのびのびとしていて欲しいと思っている。5本指靴下にも挑戦したが、あれは履くのに手間がかかってしまうから嫌だった。で、自分で考えたのが指なし靴下。他の人は足を冷えさせないために履くらしい。指を出していることで足の温度調節がうまくいくらしいのだ。それとヨガをする人も履くらしい。用途は違えど、既製品があってよかった。今はお試しでいろいろ履いてみて気に入ったのをリピしようかと思っている。

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お試し中。新しいことを知るのは楽しいわ

今夜はお刺身。

魚屋のお兄さんに世辞を言われてその気になって中トロとヒラメの刺身を買ってしまう。世辞と分かっていても今はそういう商売の仕方をする人が少なくなってきたから新鮮な気持ちで買った。私が子供の頃は母と魚屋に行くと魚屋のおじさんが母に「奥さん今日も綺麗だねぇ〜お嬢ちゃんも可愛いし羨ましいねぇ〜」なんて世辞を大声で言い、母も承知の上で「あらそう?」と笑いながら魚を買っていたのを思い出す。魚屋も魚が売れるし、買った方も世辞と分かっていても上機嫌になる。ウィンウィンな取引だったんだな。

今夜は日本酒かな。

楽しみ。




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