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時をかけてねがう夜

こんにちは、ビールとpeenatsです。ゴーワタナベ(GW)も早くも中盤ですね。皆さん、いかがお過ごしでしょうか。僕は、先週リリースされたaikoのニューシングル「ねがう夜」初回限定盤についてきた無観客ライブのブルーレイを見たりして過ごしています。副音声のaikoのトーク超おもろい。

そして今は、グレン・グールドの「ゴルトベルク変奏曲」を聴きながらこの記事を書いています。

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もしかしたらお気づきの人もいるかもしれませんが、僕は記事を水曜の夜にアップするようにしています(ビールの記事は不定期ですが)。それで、先週の水曜日は「ねがう夜」のリリース日だったんで、本当はねがう夜の記事を書こうと思ってたわけです。

サブスクで先行配信された音源を聴きながら、あれこれ、記事のプロットをぼんやりと頭の中で考えていて、ある日の寝る前に何となく考えがまとまったので「よし、明日文章化しよう」と思って寝ました。

でも、その晩の夢に出てきちゃったんです。大昔に好きだった人が。そのせいで、記事の内容は白紙に戻ってしまいました。さすがにその時は思いました。

嫌な時に浮かんでこないで
ねがう夜

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僕の夢は、時々、あきれるくらいわかりやすく僕の精神状況を反映することがあります。転勤して新しい部署に行く初日の前夜は、道に迷ってその部署にたどり着けない夢を見ました。大事なプレゼンの前夜には、本番でプレゼン資料をめくったら全然見たことのない内容に変わっていて頭が真っ白になり、後で上司に怒られる夢も見たことがあります。幸い、どちらも正夢にはなりませんでしたが。

今回も思い当たる理由が二つあります。一つは4月13日の先行配信以来、毎日ねがう夜を聴き続けていたうえに、aikoが方々のラジオでねがう夜にまつわる実体験を語っているのを聞いていたことです。

もう一つ理由――多分、こっちの方が直接の理由ですが――は、「神木隆之介の撮休」を見たことです。撮休シリーズは、撮影期間に突然できたお休み(「撮休」)に俳優が過ごす架空の一日、という設定のオムニバス・ドラマで、神木隆之介シリーズ以外には有村架純と竹内涼真のシリーズがあります。

その時僕が見たお話は、神木隆之介が撮休に成海璃子演じるピアノ講師のもとを訪ねてゴルトベルク変奏曲を習っているうちに、中学時代に気になっていた転校生の女の子を思い出し、母校を訪問。そしてそこで、不思議なタイムリープ体験をすることで…というものでした。

ここで、ゴルトベルク変奏曲が取り上げられているのは、2006年の細田守監督のアニメ版の「時をかける少女」へのオマージュです。時をかける少女では、主人公の少女がタイムリープを繰り返すことで、現実が徐々に変わっていくというストーリーです。それに合わせて、シンプルなアリアが変奏されていくゴルトベクル変奏曲がテーマとして選ばれている、というのがこの映画の素晴らしいところです。

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さて、現実世界。現実世界ではタイムリープなんてできないわけですが、ふと、夢を見ることはタイムリープの代わりなんだろうな、と思ったりします。その子が夢に出てくるときの舞台は、放課後の教室だったり校舎裏の小道だったりと、妙に鮮明な過去の記憶がそのまま浮かび上がってくることがよくあります。

記憶は風が吹いてもどこにもいかないまま
ねがう夜

でも、夢の中では、現実の過去では選ばなかった言葉や選択肢を選ぼうとして、でもそうすると夢特有の脈絡のない展開が待ち受けていて、一度たりとも同じ結末にはならずに朝が来てしまいます。そして、もう第15変奏くらいまで試したけど、朝起きたときはいつも「もう夢に出なくていいんだよ」と思います。タイムリープと違って、夢は自分ではコントロールできないし、なにより現実は何も変わらないので。

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そうこうしているうちに、かけていたゴルトベルク変奏曲も最後までたどり着きました。ゴルトベルク変奏曲の最終節は最初の主題のアリアの繰り返しなんですよね。ふりだしに戻る。そして僕も、「夢はタイムリープと違って回数制限がないんだよな」と思い直してaikoの歌詞におもいを馳せるわけです。

元気でいてね たまに夢でと願う夜
ねがう夜

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