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ビールでよく聞く『ホップ』ってナニモノ!?

こんにちは!
クラフトビール専門ポータルサイトを運営しているビールの縁側です。


ビールが好きな人なら一度は聞いたことがあるはずの『ホップ』

CMでも「○○ホップ使用」や「ホップの苦みが~」なんて言葉をよく聞くかと思いますが、『ホップ』ってどんなものかご存知ですか??

ビールの世界では当たり前のようによく聞く『ホップ』。
なんとな~く植物というのは知っていても、どんな植物なの?なんて具体的に聞かれると意外と説明に困ってしまったりします(笑)


そこで今回はこの『ホップ』って一体なんなの!?という謎に迫りたいと思います!

クラフトビールの世界でよく使用されるホップの種類や、意外と知らない栽培方法などもご紹介していますので、ぜひ次の一杯を選ぶ時の参考にしてみてくださいね♪


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1.『ホップ』とは

ーアサ科カラハナソウ属のつる性の多年生植物です。

…って聞いても全く馴染みがなくてイメージがわきませんね(笑)

ホップと聞いてよくイメージするのは、


『ホップ』のイメージ

こんな松ぼっくりのようなものだと思います。

でも実は、これは「毬花(きゅうか)」と呼ばれるホップの『実』の部分


ホップの全体像となると、こんな感じなんです!

ホップの様子
ホップのつる

つる性で毬花ががたくさんなっている様子は、何となくブドウのようにも見えますね。

ホップは西アジアが原産で、冷涼で乾燥した地域が主な産地です。
世界的な名産地にはドイツ東南部ハラタウ地方、ドイツ西南部テトナング地方、チェコ北西部ザーツ地方などがあります。


2.ビールでの役割

ー苦味を与える

これは最近ではよく耳にするホップの効果かもしれません!
ホップの実である毬花のかさの中には、黄色い「ルプリン」と呼ばれる部分があります。

小さな黄色いつぶつぶが『ルプリン』です!

ルプリンの中に含まれる「アルファ酸」という成分は、煮沸することによって「イソアルファ酸」という成分に変化し、ビールにとって様々な重要な役割を果たします。

その1つとして、ビールにとっては欠かせないあの『苦み』

近年とても人気のある『IPA』は、くぅ~っ!!!と言いたくなるような苦みが美味しいビール。

IPAのこの魅力的な苦みを作っているのが、ホップなんですね。


ー香りを与える

『ホップ』と一口に言っても、実は品種が100種類以上もあるといわれています。

ホップは苦みだけでなく爽やかな香りを持つ植物なので、ビールの香りづけに特化した「アロマホップ」という品種もあり、柑橘系フルーツのような香り、華やかなフローラルな香り、青草のような香りなど様々な香りを持つ品種が作られています。


ー泡持ちを与える

ホップを煮沸することで生まれた「イソアルファ酸」は、ビールに苦みを与えるだけでなく泡持ちがよくなる効果もあります。

ビールに含まれるタンパク質とイソアルファ酸が結合し、炭酸ガスの気泡をコーティングすることでクリーミーで壊れにくい泡の層を形成します。

ビールの泡は液体部分より苦味を感じるといわれることがありますが、これは苦味成分であるイソアルファ酸が泡の表面に集まっているためだったんですね!


ー殺菌効果を与える

ホップは雑菌の繁殖を防ぐ殺菌効果がある植物と言われています。

冷蔵技術が乏しく食品への殺菌方法が確立される前の時代には、殺菌効果を持つホップが重要視されていました。

前項で『IPAはホップが大量に入っており苦みが美味しいビール』と書きましたが、IPAがホップマシマシになったのは美味しさを追求しただけではないんです。

イギリスから当時植民地だったインドまで船でビールを輸送するしかなかった時代、ビールが腐敗しないように殺菌効果を持つホップを大量に投入したことが実は始まりといわれているんですよ!


3.ホップの品種

現在では100種類を超えているホップですが、よくクラフトビールに使用されている代表的なものをご紹介します!

ー海外産

*シムコー(産地:アメリカ)
グレープフルーツやパッションフルーツのような香りと、草や大地を思わせる香り。

*シトラ(産地:アメリカ)
グレープフルーツやライムのような柑橘系の香りと、パッションフルーツやベリーのようなフルーティさ。

*モザイク(産地:アメリカ)
パッションフルーツを思わせる香りや、柑橘、ハーブ、土などの香りが複雑に絡み合い、まるでモザイク画のようであることが名前の由来です。

*マグナム(産地:ドイツ)
ビタリングホップと呼ばれる苦みに特徴を持つホップの代表的な品種。ホップの爽やかな香りを邪魔しないクリーンな苦味で世界中で使用されています。

*ギャラクシー(産地:オーストラリア)
グレープフルーツやレモンなどの柑橘系やパッションフルーツなどの南国系の香り。華やかさが強調されることが多いですが、草や大地のような香りとなることもある、その名の通り壮大で不思議なホップです。
(ちなみに筆者はギャラクシーホップ大好きです!(笑))


ー国内産

*ソラチエース(産地:北海道空知郡)
1984年にサッポロビールが開発したホップの品種。
レモン、ハーブ、針葉樹など、他のホップにはない個性的な香り。

*IBUKI(産地:岩手県遠野市)
現在、国産ホップの96%が東北地方で栽培されているといわれていますが、その中でも代表的な品種がこの『IBUKI』。
フローラルで華やかな香りと柑橘のような爽やかなアロマを合わせ持っています。

 ▼遠野麦酒ZUMONA(岩手県遠野市)のクラフトビールもチェック!


*MURAKAMI SEVEN(産地:岩手県遠野市)
キリンビールの技術者である村上敦司さんが育種した国産ホップ。
いちじくやミカンのような香り。


4.ホップの栽培方法

ー栽培シーズン

ホップは多年生の植物で、一度栽培すると数十年は毬花が収穫できるといわれている丈夫な植物ですが、暑さには弱く、一方で寒さや乾燥に強い性質を持っています。
このため、日本では東北地方や北海道などの寒冷な地域での栽培が盛んになっています。

ホップの栽培は、例年4~6月頃に苗植えを行い、つるを成長させます。

そして、ビールにとって重要な毬花ができるのは夏以降。
8~11月頃にかけて、複数回の毬花の収穫を行います。


ーホップの栽培手順

①水はけがよく風通しのいい土壌に苗を植えます。

②フェンスや支柱を立て、それに沿うようにつるを上に伸ばしていきます。
(夏には緑いっぱいのグリーンカーテンになるそうですよ!)

③毬花が実ると、1つ1つ収穫を行います。
採れたてのホップは通常よりも香りがフレッシュで、グレープフルーツのような爽やかな香り!

④毬花の収穫が終わるころになると残ったつるは枯れてしまいますが、翌春にはまた発芽します。


ーフレッシュホップビールは希少!

毎年8月頃になると収穫が始まるホップ。
この摘みたてのホップを『フレッシュホップ』と呼びます。

収穫したホップを使用してビールの仕込みを始め、世の中に出てくるまで約2か月ーー

そう!
この時にしか味わえない、摘みたてホップの味を楽しめる希少なフレッシュホップビールが10月頃から登場し始めます。

世界的にも『オクトーバーフェスト』が有名なように、ビールの世界にとって10月はまさにお祭りシーズン!

この時期にしか味わえない限定ビールなどがどんどん発売されるので、ぜひ楽しみにお待ちくださいね♪


5.まとめ

今回はよく耳にするけど意外と知らない『ホップ』のヒミツをお届けしました!

国産のホップは主に東北より北の地方で栽培されており、一般流通もしていないのでなかなか目にするのは難しいところ。。。

香りや味までお届けできたらいいのになぁ!!というもどかしい思いでこれを書いていますが(笑)、ホップのイメージがなんとなく湧いてもらえたらうれしいです。


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