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【雑文/近況】腰が痛い話

 プロフィールにも書いていますが、私は属性としては会社員です。

 ものにもよりますが、2~3年かかるプロジェクトに参加し、終わったら次のプロジェクトの開催地へ移動するという転勤族。だいたい最初と最後が忙しく、今関わっているものの一番の山場をこの3月に越えました。まだ山を下っている最中ですが、やれやれです。そしてもうちょっとしたら引っ越しです。やれやれです。

 まあそんなストレス社会で、どう考えてもストレスが原因な気がする腰痛(とそれに関わること)に苦しんでいますので、今回はそんな腰が痛い話を。きっと物書きのみなさまも腰痛持ちの方がいらっしゃると思いますので、同病相憐れむ感じで生ぬるーくご覧ください。

 くだらない内容ですが無駄に長いので、お暇なときにどうぞ。



お客様の中に、ぎっくり腰の経験者はいらっしゃいませんか?

 先程グーグル先生に訊ねたところ、50人に1人くらいの割合で経験者がいるらしい。思っていたより少ない。クラスに1人もいない。

 経験したことの無い方には全然ピンと来ないと思うけど、別名は「魔女の一撃」だ。まさに、である。

 正式には「急性腰痛」というらしい。主には腰椎の捻挫、筋肉・靭帯の損傷。要するにケガみたいなものだから、下手に動かさず安静に治るのを待つ。だけど、人間は腰を動かさずに日常を過ごせない。

 私は先日のを除けば今までに3回、魔女に狙われた。特に3回目は、頭に「救急車」の文字が浮かんだほどである。

 朝起きて、立ち上がろうとした矢先の一撃。あまりの痛みにそのまま布団に倒れ込んだ。痛みが激しすぎてピクリとも出来ない。悲鳴しか出ない。と言うか荒い息をすると体が動くので、浅く小刻みに吸う。

 少し落ち着いたところで携帯の位置を確認。倒れた場所が悪く、手を伸ばしても届かない。痛みに耐えながら少しずつ体を旋回させ携帯を手にすると、母に救援のメールを送った。

 当時は同居していたため、すぐに駆け付けてくれた。全く動けないことを説明し、病院に行くことすら不可能なことを伝える。ちなみに自由に動かせたのは肘から先と、足の指だけだ。足首を動かすと腰に響いた。体はつながっている、と痛いほどわかる。痛い。

 ただ寝ているしかないのだが、こうなるとすぐに困るのが栄養と衛生。幸い栄養面は、同居していたため、寝ころんだ状態でも食べ物を運んでもらい食べることが出来た。水も吸いのみ(ってわかるでしょうか?)があったので、何とかなった。

 問題は衛生面。特にトイレ。とてもじゃないがトイレまで行けない。というか一帖分の布団から出ることが出来ない。

 これまたありがたいことに同居していたため、母の提案で介護用のオムツを体の下へ何とか敷いてもらう。「さあ、いつでもどうぞ」という体勢が整ったものの、出ない。

 最後におねしょをしたのはいつだろうか。覚えていないが数十年前だ。出そうと思っても出ないのだ。不思議なことに。

 結局オムツ作戦を諦め、簡易トイレを持ってくる作戦に切り替えた。以前自宅で老人介護をしていたことがあったため、こういったものはすべて揃っていた。本当にありがたい。

 だが、簡易トイレとはつまり起き上がらなければならない。立ち上がり、座らなければならない。激痛である。だが激痛に勝る尿意である。

 小一時間かけてトイレを済ませ、また布団へと倒れこんだ。なお、水分はほとんどが痛みに耐える汗となり流れているのでトイレの回数は少なくて済んだ。

 翌日、杖等があれば多少は動けるようになったため、病院に行き、安静に過ごして一週間程度で通常通り動けるようになった。

 ちなみに、甲斐甲斐しく介護をしてくれた母は、ぎっくり腰未経験である。とても心配してくれたが、笑いはどうにも止められなかったらしい。

 ぎっくり腰の人を端から見るのは面白いだろう。でも笑わないでください。本人も笑いたいのを必死で我慢しているの。(笑うと腰に響くのです)


魔女、襲来

 まあ、そんな経験をしているものだから、一人暮らしの今再発すると大変なことになる。救急隊員にアパートの鍵を破壊して入ってきてもらわなければならない。さすがに、現実には起こってほしくない。

 普段からストレッチを意識的に行い、とにかく傷めないように気を付けているものの、忙しくなるとそうはいかない。パソコン作業も多く、中腰の仕事も案外ある。重いものを運ぶ機会も増える。

 時々、体が固まってきたなと感じ、必死で伸ばしていたのだが、とうとう魔女がやってきた。止まったら寝そうなくらいクタクタな体を奮い立たせ、洗濯物を干していた私に3連続で攻撃を浴びせた。

 もはや洗濯物など干せない。私にできるのはただひとつ。夜中に叫ぶことだけだった。(ご近所さんスミマセン)

 何とかベッドへ移動し、倒れ込むように気絶した。



今は白馬の王子様より、白衣の老医師に会いたいの

 翌日、残念ながら夢でなかったことを激痛により実感する。振り返ると干しかけて生乾きの洗濯物。気になるがそれどころではない。

 以前病院で取得したコルセットを巻き、なんとか立ち上がると、気合いと根性で身支度をして、車に乗り出勤。したものの、車から会社の入口までは動けなかったため、そのまま整形外科へ走ることとなる。

 整形外科の駐車場に止め、なんとか車から降りる。入口までは約20mといったところ。手摺等は無い。元気な人なら10秒でたどり着く玄関が果てしなく遠く見える。車体に体重を預けながら、玄関を眺めていると、隣に停まっていた車から、よたよたとおじいさんが降りてきた。

「ああ、あんた、かわいそうに。腰が痛いかね。手ぇ貸そうか」

 ああ、優しいおじいさん。お気持ちだけで充分です。80代に同情される30代は、腰以外も痛くなってきます。

 お礼とお断りを述べ、逃げるように玄関へ向かった。その場から逃げ出したい気持ちが新たな力となり、無事病院内へ入ることができたのだ。ありがとう、おじいさん。

 さて、病院は靴を脱ぎスリッパに履き替えるというジャパニーズスタイル。腰を曲げられない人間にとって、床から靴を持ち上げるのは至難の業だ。結局自力で靴箱にしまうことは出来ず、病院の受付の方にお願いすることとなった。

 何とか受付で名前と症状を伝え、受付のカウンターにしがみつき、呼ばれるのを待つ。椅子に座ることは腰を曲げること。私には高等テクニックである。ふと待合室の椅子を振り返ると、80代のおばあさんが心配そうにこちらを見つめていた。おそらく車で待っていたおじいさんの奥方だ。なんかもういたたまれない。

 順番を前倒して対応してくださり、問診→レントゲン→問診と続く。レントゲンをみると、骨盤を構成する仙腸関節と腰椎の3か所に捻挫があることがわかった。仙腸関節は、出産時に広がり赤ちゃんが降りてくるらしいが、普段は靭帯で固定され動かないところ。そこが緩んで動き、痛くなっているらしい。またその中間に位置する背骨の下の方、腰椎も同じく傷んでいる。

 こちらは場合によっては、脊柱管狭窄症とかヘルニアとかの病名がつくやつだ。要は、骨の間のクッションが飛び出て神経に触っている可能性もあるけれど、判断するには立った姿勢・屈んだ姿勢でレントゲンを撮る必要があるらしい。仮にまっすぐの姿勢を180度、屈んだ姿勢を90度としたら、私の可動範囲は160-170度。今は無理です。

 とりあえず痛みを消すため、尾骨のあたりから注射をしていただく。5分もすると、朝とは見違えるくらいまっすぐに立てるようになる。ちょっと前まで痛かったので、こわごわと動くが、動ける。

「ありがとうございます! これで仕事に行けそうです」

 笑顔でお礼を述べると、医師と看護師にひかれる。

「え、行くの?」

「え、ダメなの?」

 見つめ合う2人。

「あんまり強くすると痺れるから、注射も弱めだよ。多分1,2時間で切れるから、安静にしててください」

 釘を刺され、注射が聞いているうちに早々に退散した。

 とりあえず会社に顔を出しに行く。なんと駐車場から玄関まで歩ける。快挙である。脳内で「クララが立ったわ!」の歓声が上がる。事の次第を説明し、痛み止めが切れるまで手元の仕事をしようとしたところ「お前帰れ」と出会う人全員に言われた。半笑いで。

 腰が痛い人は本田技研のASIMOに似ている。上半身はまっすぐではなく少し前傾姿勢。膝を軽く曲げ、まっすぐにならない上半身をカバーする。何なら上半身の動きも少し緩慢になる。慎重な動き方が実に似ている。理にかなった動きなのだと思う。さすが本田技研だ。だから笑うな。リスペクトしろ。

 結局家に帰り、ベッドに倒れ込むと気絶した。



むくみは女性の大敵

 病院で1週間分の飲み薬をいただいた。1日2回、朝晩に飲む。痛み止めと捻挫の炎症を抑える薬だ。病院で処方される痛み止めは良く効く。プラセボな部分もあるかもしれないが、朝7時に飲むと晩7時に、朝8時に飲むと晩8時に痛みがひどくなり、「ク、クスリを、おいらにクスリをくれよ」と騒ぎながら残業を打ち切り帰ることとなる。

 しばらくはコルセットを巻き骨盤を固定し、損傷が早く良くなるよう栄養価の高いものを意識して食べ、安静にする。おかげさまで1週間経つとかなり楽になった。

 だが、その1週間で悩まされたのがひどいむくみだった。もともと薬を処方されるときに「胃腸は強い方か」と3回訊かれた。結構きつい薬なのかもしれない(医師がかなり年配だから何度も訊かれた可能性もある)。胃腸の荒れは無かったように思うが、足はパンパンに腫れた。毎朝、靴に無理やり足を押し込み一日を過ごす。ふくらはぎは膨らませた風船のようで、押したら破裂しそうだった。マッサージをしたいところだが、腰は曲げにくい。ろくにケアもできず、1週間薬を飲み続けた。

 毎朝計っている体重は1週間で3kg増えた。まあ、水太りというのは結構kg単位で変わるらしい。薬が無くなり、普通に歩けるようになったのだ。次第にもとに戻るだろうと期待した1週間後、1㎏減った。3kg―1㎏=2kg増。

・・・・・・解せぬ。🐤💢

 ここ1、2週間で地球の重力に変化があったのかもしれないとも思ったが、腹回りの膨れ方からすると、自重の変化の可能性も捨てきれない。コルセットを巻くことで落ちた筋力を何とか取り戻しつつ、摂取エネルギーを減らそうと考えた。

 その一方、仕事は佳境へと入る。今までお世話になっていた人たちが次々と現れ、互いに労い、ゴールまで走りきる。と同時に、滅多に合わない方ばかりだ。せっかくなので昼食or夕食でも、となり、その1週間で5日外食することとなる。2kg増。

・・・・・・解せ、るけど認めない。🐤💢

 少し強引にくくってしまえば、腰痛のせいで計4kgも体重が増えてしまったのだ。ゆるすまじ、魔女。


 お前にはまだ早い

 魔女の攻撃の傷も一度は癒えたが、また少しずつ忙しさに合わせて腰が固まってくる。もともと腰を曲げたり伸ばしたりがしにくく、ずっと座った後に立ち上がると体がまっすぐになるまで時間がかかる。

 医師の話では、ぎっくり腰の時にコルセットを巻くと、周囲の筋肉が落ちる。そのためコルセット無しで動けるようになったら、少しずつ筋力を取り戻さなければならない。腰周辺は腹筋・背筋ではなく、体をねじる動きが大切らしい。筋トレ、というほどではないがストレッチをしていこう。

 そう思いながら、仕事のヤマを越えたこともあり、少し真面目に整体へ通おうと決意する。早速、近所の整体屋さんに連絡をすると、魔女との激闘の話や医師の話等もお伝えしつつ、担当者に色々チェックしていただく。

「見たところ、ヘルニアのような神経に触っている様子は無さそうですね。ただ、筋肉が異常に硬くなっています。この状態で無理やり伸ばそうとしても伸びないので、少しずつ刺激を与えてリラックスさせていきましょう。自宅でも1日片側2分で良いのでこんな風にやってみてください」

「あと筋膜が完全に貼りついてますね。むくみもあります。1日水を1.5Lを目安に飲んでください。コーヒーとか飲んだらその分追加で飲んでくださいね」

 処置をしていただきながら、説明を受ける。私にはとりあえず魔女に与えられた4kgの重りを外すという火急の命題があるのだ。

「筋トレとかストレッチとかしたいんですけど、どういうのが良いですか?」

 整体師はうーんと呻り「筋肉が固まっているので」と長々とした説明を繰り返した。とりあえずは、1週間はじわっと刺激を与えて筋肉を緩めること、そして毎日1.5Lの水を飲むことを約束させられた。要するに「お前にストレッチはまだ早い」とのことだ。ストレッチするな、は初めて言われた。

 ちなみに私は比較的水は飲む方だと思う。お茶を飲むために湯を沸かして、何か淹れるのが面倒くさくなり湯を飲むのが通例。けどどれだけ飲んでいるか量ったことはない。帰りにお店によってみたら2Lで100円程度だ。分かりやすいのでペットボトルを買うことにした。

 そういえば、水を飲むダイエットというのをみたことがある。一日2L飲んで痩せるなら、一日100円だ。下手なサプリより断然安い。筋膜リリースもさることながら、体重が減ってくれたらかなり嬉しい。せめて魔女に増やされた分だけでも。


魔女、再来

 筋肉に刺激を与えるのに、テニスボールを使うように言われ、家を探すと出てきた。むかーし何かしらの機会に買ったやつ。習った通りにじわりじわりと押し当てる。

 が、そうは言ってもじっとしていては腹も減らず体重も落ちない。ちょっとずつあちこち伸ばしていたら、やられました。いつの間にか至近距離まで迫っていた魔女に、会心の一撃を食らう。私にできることはただ一つ。1か月前と同じく、夜中に叫び、這うようにしてベッドに倒れ込んだ。

 翌日朝、夢でなかったことを確認し(というか寝てる最中も痛いのであまり眠れないのだが)、会社には寝ころんだ状態で電話し休みを取る。なお、痛みの程は前回以上。とりあえず夕方まで寝てみたが一向に良くなる気配がなく、諦めて起き上がる。着替えられないのでそのままでコートを羽織り、根性だけを味方に、前回と同じ整形外科へ向かった。

 前回と同じく受付にしがみついて呼ばれるのを待ち、看護師さんに抱えられながら部屋に入る。何とかうつぶせになり、前回同様痛み止めの注射を打ってもらうが、今回はほとんど痛みが取れない。いや、取れているのかもしれないが、自力で立てるようなレベルではない。3人がかりで無理やり立たせてもらい、這う這うの体で帰路に着く。

 こんな状態なのだ。一人でトイレへ行くこともままならない。何とか入院させてもらえないか、と相談したものの、そこは個人病院。そういう設備が無いと断られ、ダメもとで総合病院の夜間へも飛び込んだが「ごめん、無理」と断られる。(実際には親身に聞いていただけたが、無理なものは無理らしい)体力もとっくに限界突破していたので何とか家に帰り、ベッドに這い上がると「ひさしぶり、元気? ときに明日こっち来れる?」と母にヘルプを伝えた。

 親の愛は無償の愛。翌日本当に来てくれました。とりあえず床に落ちて拾えなくなっていたものを拾い(ペットボトルのフタとか、ゴミ箱に入れるつもりが入らなかったゴミとか)、掃除、洗濯、買い出しをしてくれ、例によって私のヌルヌルとした動きを笑う。数日滞在し、なんとか自力で生きていけるところまで面倒を見てくれた。その節はありがとうございました。

 自力で動けるようになった頃に、総合病院で人生初のMRIに入る。前回の魔女の攻撃から早すぎる猛追のため、他の病気を疑われているらしい。その場で結果はきけず、後日担当医からとなる。

 結論としては腫瘍等は見当たらず、ヘルニアはちょこっとあるけど神経には当たっていない様子。

「やはり骨盤の方から来てるようだから、しばらくコルセット巻いて安静にしててください。3ヶ月」

「え、3ヶ月⁈」

「うん。3ヶ月。あ、ストレッチもダメね」

 近々、引越しの荷づくりするんですけど…とは言えず、ごにょごにょと口の中で濁して退散した。

 まあそんなわけで、安静に過ごす毎日……が送れる時期ではなく、執筆活動もわりとストップ中です。そして書かないと書けなくなる気がしていて、気が気でない。

 いやそっちも気になるが、もっと気になるのは腹回りだ。魔女の置き土産が完全に定着しているのではないだろうか。安静に過ごしつつ4kgを返納する方法、どなたか教えてください。

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