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AIプロジェクトのスライド構成


概要

AIプロジェクトに携わる方は、おそらくスライド作成を頻繁に行うことが多いでしょう。

以下では、AIベンダーやAI関連のコンサルティング業務を担当する方々に向けた、よく利用されるスライド構成についてまとめています。

構成

1. タイトル

プロジェクトの名前、日付、作成者の名前を記載します。

PoC(Proof of Concept)の場合、プロジェクトの名前は「フェーズ1 プロジェクト名」や「Phase1 プロジェクト名」といった表現で紹介されることが一般的です。時には、「フェーズ1.5」のように小数点を用いた表現も見られます。

小数点を使用する場合は、PoCの1フェーズほどの大規模なプロジェクトではないが、1ヶ月程度の短期間の検証を実施したい状況を指します。

2. 目次 or アジェンダ

スライドの全体構成を簡潔に紹介します。目次、もしくはアジェンダと好みで記載しましょう。

3. 背景と目標

AIプロジェクトの背景、目標について説明します。

PoCの場合、背景の説明には過去のフェーズに関する情報も含めてください。

過去のフェーズの結果が詳細である場合は、補足資料としてスライドの後半に追加すると良いでしょう。

目標に関しては、それぞれの課題に対する解決策として一対一で記載することが重要です。具体的に記載することで、テーマがぶれることを防ぎます。例えば、工場での外観検査を行うケースを考えてみましょう。

  • 課題:工場で製品の検査を人手で行っており、大量の人的リソースを必要としている

  • 目標:AIを活用して外観検査を自動化し、人件費削減を実現する

目標にROIの要素を含めることも可能です。単純なPoCの場合は、AIの目標性能となります。

目標には定量的な値を用いる方が、プロジェクトの成功確率は高まります。

4. データセットの概要

プロジェクトで利用されるデータセットのソース、データ量、および特徴について詳細に説明します。

データに関しては、最近では商用利用可能なライセンスを持つデータが多く存在しますが、そのライセンス情報は必ず明記するようにしましょう。AI研究で公開されているデータセットの中には、研究目的での使用に限定されているものも多いので注意が必要です。ライセンス周りですが、ネストしている場合もあるため注意深く確認しましょう。

また、データ量に関しても必ず明記し、そのデータ量がプロジェクトにとって多いのか少ないのかといった定性的な評価にも言及すると良いでしょう。

5. データ分布の分析

データセットの統計的分析、データの偏りがあるかどうかを示します。

分析としては、基本的なデータ全体の把握と応用的な複雑なデータ同士の関係を記載すると良いです。

基本的な分析は以下の4つです。

  1. 記述統計: データの中央値、平均、標準偏差、最大値、最小値などの基本的な統計量を計算します。

  2. ヒストグラム: データをビン(区間)に分け、各ビンに含まれるデータポイントの数を可視化します。

  3. 箱ひげ図: データの分布、中央値、四分位数、外れ値を視覚的に表されます。

  4. 正規性のチェック: データが正規分布に従っているかを確認します。

応用的な分析

  1. 多変量解析: 複数の変数間の関係を分析します。例えば、主成分分析(PCA)や因子分析などがあります。

  2. クラスタリング: 類似の特性を持つデータポイントをグループ化する非教師あり学習手法です。例えば、K-平均法や階層的クラスタリングがあります。

  3. 異常値検出: データセットの中で異常なパターンや外れ値を特定します。例えば、DBSCANやIsolation Forestなどの手法があります。

  4. 時系列分析: 時間によって変化するデータのパターンを分析します。自己回帰モデルや季節性分解などが該当します。

6. AIモデルの選択

使用したAIモデルの説明と選択した理由を説明します。PoCの場合、多くのモデルで学習した後に、最終的な選択を行います。

AIモデルについては、論文の図なども活用し視覚的にも理解できるようにしましょう。利用した図については、出典を記載しましょう。

7. モデル構築プロセス

モデルの構築においては、トレーニング方法、使用されたアルゴリズム、特徴選択のプロセスについて詳細に説明します。

さらに、ハイパーパラメータの調整方法や、モデル評価の基準なども記載することが重要です。また、モデルのトレーニングに用いたデータセットの前処理手順や、データの正規化方法についても紹介しましょう。一連のフローで図で示されていると良いでしょう。

スライドの内容が多い場合は、備考としてスライドの最後の部分に移動させるか、別の補足資料として用意しましょう。

8. 性能評価と妥当性検証

モデルの性能を評価するための評価指標やテスト結果、及び妥当性検証の方法を説明します。ここでは最初に設定したROIを達成したかどうかも間接的か直接的か言及できます。

9. 結果の解析と解釈

モデルの予測結果に関する詳細な分析を行い、その結果の解釈を説明します。

10. 課題とアクションプラン

プロジェクトの課題、及び改善のためのアクションプランを記載します。

PoCであれば、次にフェーズに向けての何を行うのかを書くケースが多いです。

11.まとめ

プロジェクトの主要な結論、及び今後の方向性についての提案。

参考文献

スライド内で使用したデータソースや文献をリストアップします。

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